ボタン付けで意外と大切なのが、最後の玉止めです。
ボタンは、服を着たり脱いだりするたびに引っ張られる部分です。
そのため、縫い終わりの糸始末が甘いと、ボタンがぐらついたり、糸がほどけたり、最終的にはボタンが取れてしまうことがあります。
特にシャツ、ジャケット、コート、パンツのウエスト部分など、力がかかりやすいボタンは、玉止めの仕方で仕上がりの丈夫さが変わります。
この記事では、ボタン付けにおける玉止めの役割、基本のやり方、糸足を作る場合の処理、きれいに仕上げるコツを詳しく解説します。
ボタン付けの玉止めとは
玉止めとは、縫い終わりの糸を結んで、縫い目がほどけないようにする処理のことです。
ボタン付けでは、縫い始めと縫い終わりで、それぞれ糸を固定します。
縫い始めに糸の端へ結び目を作ることを、一般的に玉結びといいます。
一方、縫い終わりに糸を止める処理を玉止めといいます。
簡単に分けると、次のようになります。
| 種類 | 使う場面 | 役割 |
|---|---|---|
| 玉結び | 縫い始め | 糸が布から抜けないようにする |
| 玉止め | 縫い終わり | 縫い目がほどけないようにする |
どちらも大切ですが、ボタン付けで特に仕上がりの強度に関わるのは、縫い終わりの玉止めです。
ボタン付けで玉止めが重要な理由
ボタンは、飾りとして付いているだけではありません。
服の開閉に使うため、日常的に引っ張られたり、ねじれたり、摩擦を受けたりします。
そのため、普通の縫い目よりも糸に負担がかかりやすい部分です。
たとえば、次のようなボタンは特に取れやすいため、玉止めを丁寧に行う必要があります。
- シャツの前立てのボタン
- 袖口のボタン
- ジャケットやコートのボタン
- パンツやスカートのウエストボタン
- ボタンホールがきつい服のボタン
- 厚手の生地に付いているボタン
玉止めがしっかりできていると、糸が抜けにくくなり、ボタンが長持ちします。
反対に、玉止めが小さすぎたり、糸端を短く切りすぎたりすると、使っているうちに結び目がゆるみ、ボタンが外れやすくなります。
ボタン付けの基本的な流れ
玉止めだけを見る前に、ボタン付け全体の流れを確認しておきましょう。
一般的なボタン付けは、次の手順で行います。
- 針に糸を通す
- 糸端に玉結びを作る
- 布の裏側から針を出す
- ボタン穴に糸を通して縫い付ける
- 必要に応じて糸足を作る
- 縫い終わりの糸を固定する
- 玉止めをして糸端を処理する
玉止めは最後の工程ですが、実際にはその前の縫い付け方や糸足の作り方も、ボタンの丈夫さに大きく関わります。
基本の玉止めのやり方
ボタンを縫い終わったら、糸がほどけないように玉止めをします。
基本的な手順は次の通りです。
ボタンを縫い付ける
まず、ボタン穴と布を数回往復して縫い付けます。
シャツのような薄手の服であれば、ボタン穴に2〜4回程度糸を通すのが目安です。
厚手の服や負荷がかかる部分では、やや多めに縫って強度を出します。
ただし、縫いすぎるとボタン穴が糸で詰まったり、ボタン周辺がごわついたりすることがあります。
糸の太さやボタン穴の大きさに合わせて調整しましょう。
針を裏側または糸足の根元へ出す
ボタンを縫い終えたら、針を布の裏側に出します。
薄手のシャツやブラウスなど、糸足をほとんど作らない場合は、布の裏側で玉止めをするときれいです。
一方、ジャケットやコートなどで糸足を作った場合は、布の裏側だけでなく、糸足の根元で糸を固定する方法もあります。
糸足の中に玉止めを隠すと、表から見えにくく、仕上がりもすっきりします。
裏側の糸や布を少しすくう
玉止めをする位置が決まったら、裏側の縫い糸や布の繊維を少しだけすくいます。
このとき、布を大きくすくいすぎると、表側に針目が出ることがあります。
逆に、すくう量が少なすぎると、結び目が安定しません。
目安としては、裏側の糸や布を1〜2mmほど軽くすくう程度です。
針に糸を2〜3回巻きつける
布や糸をすくった状態で、針に糸を2〜3回巻きつけます。
薄手の生地なら2回程度、厚手の生地や力がかかるボタンなら2〜3回程度を目安にするとよいでしょう。
巻きつける回数が多すぎると、結び目が大きくなり、ごろつきの原因になります。
反対に、巻きつけが少なすぎると、ほどけやすくなることがあります。
巻いた糸を押さえながら針を引き抜く
巻きつけた糸がゆるまないように、指先で軽く押さえながら針を引き抜きます。
このとき、急いで糸を引くと、結び目が根元から離れた位置にできてしまうことがあります。
玉止めは、縫い目の根元に小さく作るのが理想です。
糸をゆっくり引き締め、結び目が縫い目の近くにできるようにしましょう。
糸端を布や糸足の中に隠して切る
玉止めができたら、すぐに結び目の際で糸を切らないようにします。
結び目のすぐ近くで切りすぎると、使っているうちに糸端が抜け、玉止めがほどけやすくなることがあります。
よりきれいに仕上げるには、針を布の間や糸足の中に少し通してから糸を切ります。
こうすると、糸端が目立ちにくくなり、ほどけにくくなります。
糸足を作る場合の玉止め
ボタン付けでは、生地の厚みやボタンの種類によって、糸足を作ることがあります。
糸足とは、ボタンと布の間に作る糸の柱のような部分です。
ボタンを布にぴったり縫い付けすぎると、ボタンホールに通しにくくなることがあります。
特にコートやジャケットなど厚手の服では、生地に厚みがあるため、ボタンと布の間に少し余裕が必要です。
その余裕を作るために、糸足を作ります。
糸足を作るメリット
糸足を作ると、次のようなメリットがあります。
- ボタンが留め外ししやすくなる
- ボタンホールに通しやすくなる
- 糸にかかる負担を軽減できる
- ボタンが取れにくくなる
- 厚手の生地でも自然に仕上がる
特に、ジャケットやコートのように生地が厚い服では、糸足を作ることでボタンの動きに余裕が生まれます。
糸足を作ったあとの玉止め方法
糸足を作る場合は、ボタンを縫い付けたあと、ボタンと布の間に針を出します。
次に、ボタンの根元にある糸の束へ、糸を数回巻きつけます。
これにより、糸足がまとまり、ボタンがぐらつきにくくなります。
その後、糸足の根元に針をくぐらせて糸を固定します。
最後に玉止めをし、針を糸足や布の間に通してから糸を切ると、糸端が目立ちません。
厚手の服では、単に布の裏側で玉止めするだけでなく、糸足の根元でしっかり固定することが大切です。
生地別の玉止めのポイント
ボタン付けの玉止めは、服の生地によって少しずつ適した方法が変わります。
薄手のシャツやブラウスの場合
薄手のシャツやブラウスでは、生地が薄いため、大きな玉止めを作ると裏側で目立ちやすくなります。
また、糸を強く引きすぎると、ボタン周りの生地がへこんだり、しわが寄ったりすることがあります。
薄手生地では、次の点を意識しましょう。
- 玉止めは小さめにする
- 糸を強く引きすぎない
- 大きな糸足を作らない
- 糸端は布や縫い目の中に隠す
- 表側に針目や結び目が出ないようにする
薄手の服では、糸足をごく短くするか、ほとんど作らずに縫い付けることもあります。
ただし、ボタンホールに通したときに生地が引きつれる場合は、少しだけ余裕を持たせるとよいでしょう。
厚手のジャケットやコートの場合
ジャケットやコートのような厚手の服では、ボタンに強い力がかかります。
この場合、ボタンを布にぴったり縫い付けると、ボタンホールに通しにくくなり、糸に余計な負担がかかります。
厚手生地では、次のような処理が向いています。
- ボタンと布の間に糸足を作る
- 糸足の根元に糸を巻きつける
- 糸足に針を通して固定する
- 玉止めを糸足や裏側に隠す
- 糸を強く締めすぎない
厚手の服では、玉止めだけで強度を出そうとするよりも、糸足をしっかり作り、その根元を巻き締めてから止めるのがポイントです。
糸足があると、ボタンが自然に動きやすくなり、留め外しもしやすくなります。
ボタンの種類別の玉止め方法
ボタンの種類によって、玉止めや糸始末の考え方も少し変わります。
足つきボタンの場合の玉止め
足つきボタンとは、ボタンの裏側に輪や突起のような「足」が付いているボタンのことです。
コート、ジャケット、カーディガン、装飾性の高い服などによく使われます。
足つきボタンは、ボタン自体に足があるため、平ボタンのように糸足を作る必要は基本的にありません。
足つきボタンを付けるときは、布の裏側から針を出し、ボタン裏の足に糸を通します。
これを数回繰り返して、ボタンを固定します。
縫い終わったら、針を布の裏側に出し、裏側の縫い糸や布を少しすくって玉止めします。
厚手の生地に付ける場合は、糸を強く引きすぎないようにしましょう。
強く締めすぎると、布がつれたり、ボタンが動きにくくなったりします。
足つきボタンでは、ボタンの足が糸足の役割をするため、ボタンが自然に動く程度の余裕を持たせて縫うことが大切です。
2つ穴ボタンの玉止め
2つ穴ボタンは、シャツやブラウス、カーディガンなどによく使われます。
縫い方はシンプルで、2つの穴を往復するように糸を通して縫い付けます。
縫い終わったら、針を裏側に出し、裏側の縫い糸を少しすくって玉止めします。
薄手の服では小さく玉止めし、糸端を布の間に隠して切るときれいです。
厚手の服に付ける場合は、ボタンの下に糸足を作り、根元を巻いてから玉止めすると丈夫になります。
4つ穴ボタンの玉止め
4つ穴ボタンは、シャツ、ジャケット、コート、パンツなど幅広い服に使われています。
縫い方には、主に次のような種類があります。
- 平行に縫う方法
- 十字に縫う方法
- 四角形のように縫う方法
どの縫い方でも、玉止めの基本は同じです。
縫い終わったら、裏側や糸足の根元で糸を固定し、玉止めをして糸端を処理します。
4つ穴ボタンは表側の糸の見え方が仕上がりに影響します。
玉止めそのものは裏側で行いますが、最後に糸を強く引きすぎると、表側の縫い目が引きつれてしまうことがあります。
表の糸がねじれないように整えながら、適度な力で縫いましょう。
玉止めをきれいに仕上げるコツ
ボタン付けの玉止めは、ただ結べばよいというものではありません。
見た目と強度の両方を考えて仕上げることが大切です。
結び目は見えにくい位置に作る
玉止めは、表から見えにくい位置に作ります。
薄手の服なら布の裏側、糸足を作った場合は糸足の根元や糸足の中に隠すときれいです。
表側に結び目が出ると、見た目が悪くなるだけでなく、ボタンの下でごろつくことがあります。
糸を強く引きすぎない
丈夫にしたいからといって、糸を強く引きすぎるのはよくありません。
糸を強く締めすぎると、布が引きつれたり、ボタンが動きにくくなったりします。
特に薄手の生地では、ボタン周りにしわが寄りやすくなります。
ボタンが安定する程度に締め、必要以上に引っ張らないことが大切です。
玉止めは小さく、確実に作る
玉止めは、大きければ丈夫というわけではありません。
大きすぎる玉止めは、裏側で目立ったり、肌に当たって気になったりすることがあります。
一方、小さすぎる玉止めは、糸が抜けやすくなります。
針に糸を2〜3回巻き、縫い目の根元で小さく締めると、きれいでほどけにくい玉止めになります。
糸端は中に隠して処理する
玉止めのあと、糸端をそのまま長く残すと見た目が悪くなります。
反対に、結び目のすぐ際で切ると、ほどけやすくなることがあります。
おすすめは、玉止めをしたあと、針を布の間や糸足の中に通してから糸を切る方法です。
糸端が中に隠れるため、見た目がすっきりし、ほどけにくくなります。
玉止めがほどけやすい原因
ボタンを付けたのにすぐ取れてしまう場合、玉止めや糸始末に原因があることがあります。
玉止めが小さすぎる
糸を1回しか巻いていない、または結び目がしっかり締まっていない場合、使っているうちに玉止めが抜けることがあります。
ボタンは引っ張られる力がかかるため、縫い終わりは確実に固定しましょう。
糸端を短く切りすぎている
玉止めのすぐ際で糸を切ると、結び目が少しずつゆるみ、ほどけることがあります。
糸端は、布や糸足の中に通してから切ると安心です。
糸が細すぎる
厚手のコートやジャケットのボタンに細い糸を使うと、糸自体の強度が足りないことがあります。
薄手のシャツには普通地用の手縫い糸、厚手のコートには太めのボタン付け糸など、服に合った糸を選びましょう。
糸足がない
厚手の生地にボタンをぴったり付けると、ボタンホールに通すときに強い力がかかります。
その結果、糸や玉止めに負担が集中し、ボタンが取れやすくなります。
厚手の服では、糸足を作ってボタンに余裕を持たせることが大切です。
ボタン付けに使う糸と針の選び方
玉止めをきれいに作るには、糸と針の選び方も重要です。
糸の選び方
ボタン付けでは、丈夫に仕上げるために2本取りで縫うことが多いです。
ただし、太い糸を使う場合や、ボタン穴が小さい場合は、1本取りのほうが縫いやすいこともあります。
薄手のシャツやブラウスには、普通地用の手縫い糸が使いやすいです。
コート、ジャケット、パンツのウエストボタンなどには、やや太めで丈夫な糸が向いています。
ボタン付け専用の糸がある場合は、それを使うとより安心です。
針の選び方
針は、生地の厚みとボタン穴の大きさに合わせて選びます。
薄手の生地には細めの針、厚手の生地には少し太めで丈夫な針が向いています。
ただし、針が太すぎるとボタン穴に通らなかったり、生地を傷めたりすることがあります。
針を選ぶときは、ボタン穴に無理なく通るかも確認しましょう。
初心者でも失敗しにくい玉止めの手順
初心者の場合は、次の手順で行うとわかりやすいです。
- ボタンを数回縫い付ける
- 針を裏側、または糸足の根元へ出す
- 裏側の糸や布を少しすくう
- 針に糸を2回ほど巻く
- 巻いた糸を指で押さえる
- 針をゆっくり引き抜く
- 結び目を根元に作る
- 針を布や糸足の中に通す
- 糸端を目立たない位置で切る
この方法なら、結び目が大きくなりすぎず、見た目もきれいに仕上がります。
丈夫に仕上げたいときの応用方法
コートやパンツのウエストボタンなど、強い力がかかる部分では、通常の玉止めだけでなく、少し補強しておくと安心です。
ボタンを縫い付けたあと、裏側で小さく一針すくい、できた輪に針を通して軽く結びます。
これを1〜2回行ってから玉止めすると、糸がほどけにくくなります。
また、糸足を作った場合は、糸足の根元に糸を巻きつけてから止めると、ボタンがぐらつきにくくなります。
ただし、補強しすぎると裏側が厚くなり、ごろつくことがあります。
薄手のシャツやブラウスでは、やりすぎず小さく仕上げることが大切です。
ボタン付けの玉止めでよくある失敗
表側に玉止めが出てしまう
玉止めが表側に出ると、見た目が悪くなります。
基本的には、布の裏側や糸足の中など、表から見えにくい位置で処理しましょう。
結び目が根元から離れてしまう
糸を巻いたあと、押さえずに針を引き抜くと、結び目が縫い目の根元から離れた位置にできることがあります。
玉止めは、縫い目の近くに作ることで安定します。
巻いた部分を指で押さえながら、ゆっくり引き締めましょう。
糸が絡まって大きな玉になる
糸を急いで引いたり、長すぎる糸で作業したりすると、糸が絡まって大きな玉になることがあります。
ボタン付けに使う糸は、長すぎないほうが扱いやすいです。
目安としては、腕の長さ程度までにしておくと縫いやすくなります。
ボタンをきつく付けすぎる
ボタンを布にぴったり付けすぎると、ボタンホールに通しにくくなります。
その状態で無理に留め外しをすると、糸に強い力がかかり、玉止めがほどけやすくなることがあります。
特に厚手の服では、ボタンと布の間に少し余裕を作ることが大切です。
まとめ
ボタン付けの玉止めは、ボタンを長持ちさせるために欠かせない仕上げです。
基本は、ボタンを縫い付けたあと、針を布の裏側や糸足の根元へ出し、裏側の糸や布を少しすくって玉止めします。
結び目は表から見えにくい位置に小さく作り、糸端は布や糸足の中に隠してから切るときれいです。
薄手のシャツやブラウスでは、大きな玉止めや長い糸足を作らず、小さく目立たないように仕上げます。
一方、ジャケットやコートなど厚手の服では、糸足を作り、その根元を巻き締めてから玉止めすると丈夫に仕上がります。
特に大切なのは、次の3点です。
- 玉止めは表から見えにくい位置に作る
- 糸を強く引きすぎない
- 糸端は布や糸足の中に隠して処理する
このポイントを意識すれば、ボタンが取れにくく、見た目もきれいに仕上がります。
以上、ボタンの付け方の玉止めについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









