「ネクタイは漢字でどう書くのか?」という疑問はよく聞かれます。
結論から言えば、現代ではカタカナの「ネクタイ」が正式表記です。
しかし歴史をたどると、実は漢字で表記された和名(和製漢語)がいくつか存在します。
中でも特に重要なのが「襟締(えりじめ)」という語です。
目次
漢字の正式表記はないが、「和名」として使われた例はある
ネクタイは英語の necktie に由来する外来語のため、公的な漢字表記や常用漢字としての正式名称はありません。
しかし、明治時代の文献には、ネクタイを日本語で表現する試みが存在し、その代表例が「襟締(えりじめ)」です。
歴史的に確認できる主な漢字表記
| 表記 | 読み方 | 信頼度・出典 | 用いられた背景 | 
|---|---|---|---|
| 襟締 | えりじめ | ★★★(辞書・文献に記録) | 1867年刊『西洋衣食住』に「襟締(ネッキタイ)」と明記。百科事典や国語辞典にも掲載 | 
| 襟飾り | えりかざり | ★★(確認例あり) | 明治期に「襟を飾る布=ネクタイ」として使われた表現 | 
| 襟帯 | きんたい | ★★(業界資料など) | ネクタイ製造業界で「旧称」として紹介された例。一般語としての使用は希少 | 
| ※その他の当て字(捻句帯・根布帯など) | ねくたい | ★(洒落・語呂合わせ) | 音を遊んだ造語。正式な語ではなく文芸的・遊び的表現 | 
最も根拠の確かな漢字:「襟締(えりじめ)」
- 1867年の書物『西洋衣食住』には、
「襟締(ネッキタイ)」
という記載が見られます。 - この記述は辞書(日本国語大辞典・世界大百科事典など)にも引用されており、
「ネクタイの和名」として歴史的に確認できる唯一の確かな漢字表記です。 
「襟飾り」「襟帯」はどう違う?
| 表現 | 解説 | 
|---|---|
| 襟飾り | 明治期に「襟元を飾る布」としてネクタイの意味で使用されたことがある語。ただし現代ではブローチや装飾品の意味の方が一般的。 | 
| 襟帯(きんたい) | ネクタイ業界の資料に「旧称」「昔の呼び名」として登場する語。あくまで専門的・限定的な用例。 | 
現代の正しい使い方は?
| シーン | 推奨表記 | 
|---|---|
| 公的文書・ビジネス | ネクタイ(カタカナ) | 
| 歴史・語源を説明するとき | 「ネクタイ(漢字では襟締と書かれた例もある)」と補足 | 
| ブログ・雑学記事 | 「当時は『襟締』とも書かれた」など、読み物として添えると面白い | 
まとめ
- ネクタイに現在の公的な漢字表記はない
 - しかし歴史的には、「襟締(えりじめ)」が辞書にも残る最も信頼できる漢字表現
 - 「襟飾り」「襟帯」も使われた時期があるが、一般性・歴史的裏付けは弱い
 - したがって、現代ではカタカナが正しく、漢字表現は歴史・雑学として扱うのが適切
 
以上、ネクタイは漢字でなんと書くのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
