ネクタイの「ディンプル(dimple)」とは、結び目のすぐ下にできる小さなくぼみのことを指します。
英語では「えくぼ」という意味を持ち、これがあるかどうかで、ネクタイ全体の印象は大きく変わります。
ビジネスシーンでは、ディンプルの有無が「着こなしの完成度」や「清潔感」「スマートさ」に直結すると言われています。
目次
ディンプルの役割と効果
ディンプルは単なる飾りではなく、ネクタイの見た目と構造の両方に意味があります。
- 立体感と陰影を生む
平坦なネクタイに比べ、陰影が加わることで高級感が増し、胸元が引き締まります。 - 結び目の形を安定させる
くぼみを作ることで結び目の重心が安定し、1日を通して形が崩れにくくなります。 - 清潔感と知的さの演出
丁寧に整えられたディンプルは、几帳面さや洗練された印象を与え、信頼感を高めます。
基本のシングルディンプルの作り方
ステップ①:ネクタイを首にかける
- 大剣(太い方)が小剣(細い方)よりも長くなるようにセットします。
- 素材のハリ(コシ)を確認し、あまり厚すぎない位置から結び始めると仕上がりが自然です。
ステップ②:結び目を作る
- プレーンノット(四つ手結び)など、お好みの結び方を通常通りに進めます。
- この時点ではまだ強く締めすぎないように注意しましょう。
ステップ③:ディンプルを形成する
- 結び目を首元に引き上げる直前、大剣の中央を人差し指で軽く押し込みます。
- 同時に、親指と中指で左右を軽くつまみ、V字型のくぼみを形成。
- その形を保ちながら、ゆっくりと結び目を引き上げて固定します。
ステップ④:仕上げの微調整
- 鏡を見ながら、くぼみの位置が中心にあるかを確認。
- 左右が非対称な場合は、指で軽く整えてバランスをとります。
美しいディンプルを作るためのコツ
- くぼみは最後に作る
早い段階でくぼみを作ると、結び上げの際に潰れてしまいます。
ディンプルは「結び目を締める直前」に作るのが鉄則です。 - 生地の厚みより“ハリ”を重視
ディンプルがきれいに出るのは、「厚さ」ではなく「適度なハリのある芯地入りのシルク」。
柔らかすぎるポリエステルや薄手の素材はくぼみが消えやすい傾向があります。 - 締めすぎないこと
一気に引き締めると形が潰れるため、ゆっくり締め上げることが大切です。 - 剣先のねじれを直す
結び終えた後、大剣がねじれているとディンプルが斜めに見えます。
結び目の下で生地のねじれを整えましょう。
結び方別・ディンプルのポイント
プレーンノット(四つ手結び)
最も基本的で汎用性の高い結び方。
- シンプルな形のため、ディンプルが非常に作りやすい。
- 中央に深めのくぼみを作ると、クラシックで上品な印象になります。
ダブル・フォアインハンド(ダブルノット)
四つ手結びをもう一巻きするスタイルで、結び目がやや大きくなります。
- 薄手のタイに適し、厚手の生地だとボリュームが出すぎることがあります。
- ディンプルは浅めにし、Vゾーンのバランスを意識しましょう。
セミウィンザーノット
フルウィンザーより小ぶりで扱いやすい結び目。
- 中厚のタイと相性がよく、左右対称な結び目が特徴。
- ディンプルはやや深めにすると美しくまとまります。
フルウィンザーノット
左右対称の正三角形に近い大きな結び目。
- ワイドスプレッドカラー(襟の開きが広いシャツ)に最適。
- ディンプルは中央に1本、深めに入れると立体感が強調されます。
上級者向け:ダブルディンプル
「シングルディンプル」ではなく、2本のくぼみを作る上級テクニックです。
Vゾーンを華やかに見せたいときや、フォーマルな場面で使われます。
作り方のポイント
- 結びを首元に上げる直前に、中央へ軽く縦の折り癖を付ける。
- 中央を人差し指で押し込み、左右に浅い谷を作る。
- その形をキープしたままゆっくり締め上げ、鏡でバランスを整える。
- サテンやツイルなどハリのある素材が最も成功しやすい。
ディンプルを長持ちさせるケア
- 使用後は必ず完全に解く。
結んだまま保管すると芯が歪み、ディンプルが作りにくくなります。 - 吊るして保管する。
自重でシワを自然に伸ばすことができ、翌日も立体感が維持されます。 - スチームでリセット。
しつこいシワにはスチームを軽く当てる(直射・高温は避ける)。
近づけすぎるとテカリが出るので、20〜30cm離すのが目安。
よくある失敗とその対処法
| 失敗例 | 原因 | 改善策 |
|---|---|---|
| ディンプルがすぐ消える | 結ぶ途中で作った | 最後に形成してゆっくり締める |
| 斜めにずれる | 剣先や生地がねじれている | 大剣を正面に保ち、中心を意識 |
| 結び目が大きすぎる | 厚手のタイ+ボリューム系ノット | 薄手のタイかシンプルなノットを選ぶ |
| くぼみが浅く印象が弱い | 生地が柔らかすぎ/押し込み不足 | ハリのあるシルクタイを選び、指で深めに形成 |
まとめ
ディンプルは、ネクタイを「単なる布」から「完成された装い」に格上げする重要なディテールです。
正しい作り方の要点は次の3つ。
- 結び目を引き上げる直前に作る
- 生地のハリを活かして軽く押し込む
- 左右対称に整え、中央で立体を作る
これだけで、胸元の印象が格段に洗練されます。
慣れるまでは鏡を見ながらゆっくり練習し、指先の感覚で「えくぼを作る瞬間」を掴みましょう。
以上、ネクタイのディンプルの作り方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
