ダブルスーツ(ダブルブレストスーツ)は、「ボタンをどう扱うか」で印象が大きく変わる服です。
シングルスーツのルールをそのまま当てはめると違和感が出やすく、ダブル特有の考え方を理解しておく必要があります。
本記事では、
- 原則
- ボタン配置ごとの考え方
- 着席時の判断
- 日本のビジネスシーンで失敗しにくい運用
を軸に、実務で使える形にまとめます。
大原則:ダブルスーツは「立ち姿で完成する」
まず最も重要な基本です。
ダブルスーツは、立っているときは留めて着るのが基本。
これは国や時代を問わず、クラシックなスーツ理論でほぼ共通しています。
ダブルスーツは、
- 前身頃が深く重なる構造
- ボタンを留めた状態を前提にしたカッティング
- 威厳や端正さを重視した設計
という特徴を持ちます。
そのため、立ったままアンボタンにすると、
- 前合わせが不自然に開く
- シルエットが崩れる
- だらしない印象を与えやすい
という問題が起きやすくなります。
「全部留める」は正解ではない
正しくは「ジャケットの仕様に従う」
ダブルスーツについてよくある誤解が、「留められるボタンはすべて必ず留める」という考え方です。
実際には、どのボタンを留めるかは、そのジャケットの設計によって異なります。
6つボタン2つ掛け(6×2)の考え方
- 掛けボタンが2つある仕様
- 両方留めてもマナー違反ではない
- ただし、多くのモデルには「主として使う掛け位置」が想定されている
無理に両方留めるよりも、ラペルの返りやウエストラインが最も自然に出る留め方を選ぶ方が合理的です。
6つボタン1つ掛け(6×1)
- 掛けボタンは1つのみ
- 立っている間は、そのボタンを留めるのが基本
このタイプは判断が明確で、迷う場面は少ないでしょう。
4つボタン系(4×2など)
- クラシック寄りの仕様
- 基本は設計どおりに留める
- ボタン位置が低いため、アンボタン時の崩れが目立ちやすい
内側の隠しボタン(アンカーボタン)の扱い
ダブルスーツには、外側のボタンとは別に、前身頃を固定するための内側ボタンがあります。
考え方はシンプルです。
- 外側を留めるなら、対応する内側ボタンも留める
- これはシルエットを安定させるための構造
「すべて留める」というより、外側の留め方に合わせて正しく使うという理解が適切です。
着席時はアンボタンするべきか?
ここは、ダブルスーツの中でも特に意見が分かれるポイントです。
クラシックな考え方
- 立っているとき:留める
- 座るとき:外す
理由は、
- 生地への過度な負荷を避ける
- 前合わせの不自然な浮きを防ぐ
といった、合理性に基づくものです。
日本のビジネスシーンでの実情
一方、日本では、
- 「ダブルは座っても留めたまま」という考え方
- 外すと崩しすぎに見えるという感覚
も一定数存在します。
実務で最も安全な判断
- 立ち上がったら必ず留める
- 座っている間は、場の雰囲気とサイズ感で判断
- 外す場合でも、外したまま立ち上がらない
この運用が、国際的な理論と日本的な評価の両方を外しにくい対応です。
フォーマルな場での考え方
式典や公式行事など、フォーマル度の高い場では、
- 立ち姿の端正さが特に重視される
- ボタンは留めている時間が長くなる傾向
ただし、ここでも重要なのは「所作を崩さないこと」です。
外す・外さないよりも、立ち居振る舞い全体の整い方が評価されます。
よくあるNG例
- シングルスーツの感覚で下のボタンを外す
- 立っているのにアンボタンのまま
- 外側と内側のボタンの対応を誤る
- 外したまま立ち上がる
これらはすべて、ダブルスーツの構造を理解していない印象につながりやすい行動です。
まとめ:迷ったらこの3点だけ守る
- 立っているときは、ダブルは留めて着る
- どのボタンを留めるかは、ジャケットの設計に従う
- 座るときは状況判断。立つ前に必ず整える
ダブルスーツは、「厳しいルールに縛られた服」ではありません。
設計意図と場の空気を読み取れる人ほど、美しく着られる服です。
その理解があれば、シングルスーツ以上の品格と説得力を自然に演出できます。
以上、ダブルスーツのアンボタンマナーについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
