ダブルスーツ(ダブルブレストスーツ)は、前身頃が大きく重なり、ボタンが左右2列に配置されているスーツを指します。
クラシックで格式高い印象を持ちながら、近年ではモダンに解釈されたデザインも増え、ビジネスからカジュアル寄りの装いまで幅広く用いられています。
ダブルスーツの「種類」は、主に
①ボタン配置(打ち合わせ)
②ラペル(襟)の形状
③シルエット・仕立ての方向性
④ベント(背中の切れ込み)
という複数の要素を組み合わせて考えると理解しやすくなります。
ボタン配置によるダブルスーツの種類
ダブルスーツでは「○×○(例:6×2)」という表記が使われます。
これは
- 前の数字:見えているボタンの総数
- 後ろの数字:実際に留められるボタンの数
を意味します。
6×2(シックス・バイ・ツー)
最も伝統的で、ダブルスーツの代表格とされる型です。
ボタンは6つ配置され、通常は中央の1か所(左右1つずつ)を留めます。
- 印象:重厚、威厳、クラシック
- 特徴:打ち合わせが深く、胸元に安定感が出る
- 向いている場面:正統派ビジネス、式典、フォーマル寄りの装い
英国調・イタリア調いずれの文脈でも用いられる、最も汎用性の高い構成です。
4×2(フォー・バイ・ツー)
ボタンが4つのダブルスーツで、6×2よりも打ち合わせが浅くなります。
- 印象:軽快、現代的、洗練
- 特徴:縦の重なりが控えめで、着こなしが軽く見える
- 向いている場面:現代的なオフィススタイル、都会的ビジネス
近年の日本では、体型との相性や扱いやすさから人気が高い型です。
6×1 / 4×1(ワンボタン留め)
留められるボタンが1つのみのタイプで、デザイン性を重視した構成です。
- 印象:モード、ファッション寄り
- 特徴:Vゾーンが深くなり、ラペルが長く見えやすい
- 向いている場面:ドレスコードが緩い場、パーティー、私服寄りの着こなし
ビジネスシーンではやや個性が強く出るため、TPOを意識した選択が求められます。
ラペル(襟)の形状による違い
ピークドラペル
剣先が上向きに尖った形状のラペルです。
- 印象:力強い、格調高い
- 特徴:肩や胸を強調し、ダブルの重厚感と相性が良い
- 位置づけ:ダブルスーツの最も一般的な選択肢
伝統的なダブルスーツでは、ピークラペルが標準と考えられています。
ノッチドラペル
切れ込みのある、シングルスーツで一般的なラペルです。
- 印象:柔らかい、控えめ
- 特徴:ダブル特有の主張を和らげる
- 位置づけ:クラシックから外した表現、カジュアル寄りのダブルで採用されることがある
主流ではありませんが、「あえて外す」選択として存在します。
シルエット・仕立ての方向性による分類
ブリティッシュスタイル
- 肩構築がしっかりしており、ウエストの絞りが明確
- 印象:威厳、正統派、重厚
- 向き:管理職、フォーマル度の高いビジネス
ダブルスーツの原点とも言えるスタイルです。
イタリアンスタイル
- 軽い芯地、柔らかい肩周り
- 印象:色気、エレガンス、軽快さ
- 向き:営業職、都会的なビジネススタイル
同じダブルでも、見た目の重さは大きく異なります。
モダンスリム
- 細身のシルエット、短めの着丈
- 印象:シャープ、若々しい
- 向き:現代的なオフィス、40代前半までのビジネス層
ダブルの「重さ」を抑えたい場合に有効です。
ベント(背中)の種類
ベントはスーツの動きやすさと後ろ姿の印象を左右します。
- センターベント(シングルベント)
背中中央に1本。比較的汎用的で、既製品にも多い。 - サイドベンツ(ダブルベント)
両脇に2本。動きやすく、英国調・欧州系で好まれる傾向。 - ノーベント(ベントレス)
切れ込みなし。ドレッシーで、礼装寄りの印象。ただし現代のビジネスでは少数派。
ダブルスーツのボタンマナーについて(注意点)
- 立っているとき
基本的には留めたまま着用することで、ダブル特有のシルエットが美しく保たれます。 - 座るとき
絶対的なルールはなく、- タイトな作りの場合は外す
- ゆとりがあり構築的な仕立てで、場が許すなら留めたまま
と、フィット感や状況によって判断するのが実情です。
「常に外さない/常に外す」と断定するのは適切ではありません。
シーン別おすすめの考え方
- 正統派ビジネス:6×2 × ピークドラペル × 構築的シルエット
- 現代的オフィス:4×2 × ピークドラペル × モダンスリム
- パーティー・会食:6×2 または 6×1 × デザイン性重視
- カジュアル寄り:4×2 または 4×1 × ノッチラペルも選択肢
まとめ
ダブルスーツの種類は、単に「ダブルかどうか」ではなく、
- ボタン配置(6×2、4×2、6×1など)
- ラペル形状(ピーク/ノッチ)
- 仕立ての方向性(英・伊・モダン)
- ベントの有無・形状
これらの組み合わせで成り立っています。
それぞれの意味を理解したうえで選ぶことで、ダブルスーツは「難しい服」ではなく、非常に論理的で完成度の高い装いになります。
以上、ダブルスーツの種類についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
