スーツを着ているときに「腕を上げるのが苦しい」と感じるのには、いくつかの構造的・デザイン的な理由があります。
これはスーツ特有の仕立てや生地の特徴によるもので、Tシャツやストレッチ素材の服と比べると動きに制約が出やすいのです。
以下に詳しく説明します。
目次
袖付け(アームホール)の構造
- アームホールが低い
既製品のスーツは動きやすさよりも着脱のしやすさやサイズの汎用性を重視しており、アームホールが広め・低めに設定されていることが多いです。
その結果、腕を上げるとジャケット全体が一緒に引っ張られるため、肩や背中に突っ張り感が出ます。 - テーラードスーツの特徴
本来、動きやすいスーツはアームホールが「高め・小さめ」に作られており、腕と胴体が独立して動けるように設計されます。オーダースーツやハイブランドのスーツはこの点が工夫されていて、腕を上げても窮屈になりにくいです。
生地の伸縮性の問題
- スーツの基本生地であるウールやウール混紡は、伸縮性がほとんどないのが一般的です。
- 近年はストレッチ素材を使ったビジネススーツも増えていますが、従来のスーツは「形を保つ」「ドレープ感を出す」ことを優先しているため、動作時に余裕がありません。
肩パッドと芯地の影響
- スーツの肩にはパッドや芯地が入っていることが多く、これが動作の柔軟性を制限します。
- 特にクラシックな構造のスーツでは「肩のラインをきれいに見せる」ことが優先されるため、腕を持ち上げると生地と芯地が引っ張り合い、動きが阻害されます。
背中の運動量の制限
- スーツの背中は「一枚布」で仕立てられることが多く、ストレッチやプリーツ(タック)がほとんどありません。
- そのため腕を上げると背中の布地が引っ張られる形になり、動きが制約されます。
- これを解消するために、一部のスーツには「アクションプリーツ」「サイドベンツ」「ストレッチ裏地」などの工夫が取り入れられています。
サイズやフィッティングの影響
- 肩幅が合っていないスーツ(広すぎる/狭すぎる)
- 身幅や袖丈が適切でないスーツ
こうしたサイズミスマッチは、動きをさらに制限し「苦しい」と感じる原因になります。
特に肩幅が広すぎると、腕を上げた際にジャケットが大きく持ち上がり、つっぱり感が強まります。
まとめ
スーツで腕を上げるのが苦しいのは、
- アームホールの構造
- 生地の伸縮性不足
- 肩パッド・芯地による硬さ
- 背中の運動量の不足
- サイズの不適合
これらが複合的に影響しているためです。
動きやすさを重視するなら、アームホールが高めのスーツやストレッチ素材のビジネススーツ、あるいはオーダースーツを選ぶと改善されます。
以上、スーツで腕を上げるのが苦しい理由についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。