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「襟の通し方」とは何か
ネクタイの「襟の通し方」とは、ネクタイを結んだ際に結び目をシャツの襟台(えりだい)に密着させ、襟の下へ自然に収める工程のことを指します。
正しく通すことで、襟元が引き締まり、清潔感と上品さが生まれます。
一方で、通し方を誤ると以下のような印象を与えがちです。
- 結び目が斜めに傾いてだらしなく見える
- 襟と結び目の間に隙間ができ、緩んだ印象になる
- 襟の羽が浮き、首回りが不格好に見える
つまり、襟の通し方は「ネクタイ結びの仕上げ」であり、見た目の印象を決定づける重要な工程です。
ネクタイを通す前の下準備
シャツを整える
- 一番上のボタンを留める
→ これを怠ると、襟が開いて結び目が不安定になります。 - 襟を立てる
→ ネクタイを首にかけやすくするため、襟全体を軽く立てておきます。 - 襟のシワを整える
→ 手でなでて形を整えるか、必要であれば軽くアイロンをあてておきましょう。
ネクタイを襟に通す正しい手順
以下では、最も基本的な「プレーンノット(フォーインハンド)」を例に解説します。
手順
- 襟を立てて準備
シャツの襟を立て、ネクタイを首にかけます。
大剣(太い方)は利き手側にし、小剣(細い方)より20〜35cmほど長く取ります。
※体格やネクタイの長さによって調整。 - 結び目を作る
通常の手順で結び、結び目はまだきつく締めずに少し余裕を残すようにします。 - 結び目を上に引き上げる
左手で結び目を押さえ、右手で小剣を引きながら結び目を上にスライドさせます。
結び目を襟台(首回りの帯部分)にぴたりと密着させることがポイントです。 - 襟を元に戻す
襟を折り下げ、結び目が襟の中央にしっかり収まっているか確認します。
襟の羽がネクタイの上に自然にかぶさるのが理想です。 - ディンプル(くぼみ)を作る
親指と人差し指でネクタイの中央を軽くつまみ、中央に自然なくぼみを作ります。
これにより立体感が生まれ、上品な印象になります。
※弔事などではディンプルを作らないのが礼儀とされます。
襟型別の通し方のコツ
襟の形によって、結び目の大きさや収まり方が異なります。
レギュラーカラー
最も標準的な襟型。
プレーンノットやセミウィンザーノットがバランス良く収まります。
襟の中央ラインと結び目が一直線になるよう整えましょう。
ワイドスプレッドカラー(開きの広い襟)
襟の開きが広いため、結び目が大きい方が安定します。
「ウィンザーノット」や「セミウィンザー」が適しています。
ただし、ネクタイが厚手の場合はフル・ウィンザーだとボリューム過多になりやすいため注意。
ボタンダウンカラー
襟先にボタンがあるタイプ。
小さめの結び目(フォーインハンドやプレーンノット)が最適です。
結び終えた後に襟先ボタンを留め、襟と結び目の密着を確認しましょう。
プロが実践する美しい仕上げ方
- 中央ラインを揃える
→ 結び目が襟の中心とずれていないか必ず鏡で確認。 - 隙間ゼロを意識する
→ 襟台と結び目の間に白いシャツ地が見えないように。 - 小剣をキーパーに通す
→ 通さないと小剣がはみ出し、全体が乱れて見えます。 - 襟の浮きを防ぐ
→ カラーステイ(カラーキーパー)を正しく差し込み、襟をシャープに保ちます。 - 最終位置の確認
→ 大剣先はベルトのバックル中央に触れる位置が理想です。
シーン別の通し方と印象
| シーン | 襟のタイプ | 結び方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ビジネス | レギュラー / ワイド | プレーン / セミウィンザー | 清潔感・中央ライン重視 |
| 結婚式 | ワイドスプレッド | ウィンザーノット | 結び目を大きめにして華やかに |
| 就活 | レギュラー | プレーンノット | シンプルで誠実な印象を |
| カジュアル | ボタンダウン | フォーインハンド | 緩めすぎず、自然な表情を |
よくある失敗とその防止法
| ミス例 | 原因 | 改善策 |
|---|---|---|
| 結び目が曲がる | 小剣を引く方向が斜め | 結び目を押さえながらまっすぐ上に引く |
| 大剣が短い | 初期位置がずれ | 結ぶ前に大剣を30cm前後長めに取る |
| 襟が浮く | カラーステイ未使用 / 襟台との密着不足 | カラーステイを差し込み、襟元を指で押さえながら整える |
| 小剣が長く出る | キーパー未使用 | 結んだ後に必ず小剣を通す |
まとめ
ネクタイの襟の通し方は、単に「通す」作業ではなく、襟元の完成度を決める最終ステップです。
覚えておきたいポイントは次の3つ。
- 結び目は襟台にぴたりと密着させる
- 襟と結び目の隙間をなくす
- 襟型と結び方の相性を意識する
この3点を守るだけで、同じスーツでも格段に洗練された印象になります。
以上、ネクタイの襟の通し方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
