ネクタイはシルクなどの繊細な素材で作られているため、保管方法ひとつで寿命や見た目の印象が大きく変わります。
特に丸めて収納する方法は、省スペースでありながらシワやクセを防ぐ優れた手法です。
ここでは、スタイリストやテーラーが推奨する「正しい丸め方」と「保管のコツ」を詳しく解説します。
なぜネクタイを丸めて保管するのか
ネクタイを折りたたんだり引き出しに押し込んだりすると、繊維が折れたり芯地が歪んだりして形が崩れやすくなります。
一方で、ゆるく丸めて保管すると以下のようなメリットがあります。
- シワや折れ目を防げる
- 自重で自然にシワが伸びる
- 引き出し収納がコンパクトになる
また、ネクタイを“休ませる”効果もあり、使用後に一晩掛けて湿気を飛ばした後に丸めると、より美しい状態を保てます。
正しい丸め方の手順
平らな面で整える
まずはテーブルなどの平らな場所にネクタイを置き、縫い目のある裏側を上にして軽く手のひらで整えます。
このとき、ねじれやシワがあれば軽く伸ばしておきましょう。
スチームを使う場合は、布から1〜2cm浮かせて当てるのが鉄則です。
小剣(細い方)から巻く
ネクタイの小剣(細い方)から大剣(太い方)へ向けてゆるく巻きます。
これが正しい方向です。
大剣を外側にすることで、厚みが均等になり、外周部分が滑らかに整います。
※「大剣から巻く」と紹介している記事もありますが、これは展示用・ディスプレイ目的での例外的手法です。
保管目的では必ず小剣から巻きましょう。
手のひらサイズで軽く丸める
巻いたときの直径は手のひらに軽く収まるくらい(約5〜7cm)が理想です。
重要なのはサイズではなく「ふんわり抵抗のないゆるさ」です。
力を入れて巻くと、芯地が伸びて生地が波打ってしまうので注意しましょう。
固定は“差し込み”ではなく“自然な保持”
巻き終わったら、無理に小剣を内側へ押し込む必要はありません。
適度なテンションが保てていれば自然に形をキープできます。
どうしてもほどけやすい場合は、アシッドフリーの薄紙(中性紙)を軽く巻いてバンド状にすると安全です。
保管のポイント
通気性のあるケースを使う
丸めたネクタイは、通気性のよい素材の仕切りケースに収納しましょう。
おすすめの素材は以下の通りです。
- フェルト
- 不織布
- 木製仕切り
- メッシュ布製ケース
※密閉型のプラスチックケースは、湿気や臭いの原因になるため避けましょう。
重ねない・圧をかけない
複数のネクタイを重ねると、下になったものが潰れて跡がつきます。
1本ずつ仕切って並べるか、トレー状にゆとりを持って並べるのが理想です。
日光と湿気を避ける
直射日光はシルクの退色や黄変を招くため、暗く風通しのよい場所で保管します。
乾燥剤を使う場合は、無香料タイプをネクタイに直接触れない位置に置きましょう。
旅行・出張時の丸め方
移動時にも、丸め収納は便利です。
ただしスーツケース内では圧力がかかるため、以下の対策を行いましょう。
- 丸めたネクタイを柔らかい布や靴下で包む。
- 小さな巾着袋や通気性のある袋に入れる。
- スーツケースの中央部(衣類の中段)に収納する。
角や外側ポケットは衝撃や圧がかかりやすいため避けるのが無難です。
もし出張が多い方は、筒型の専用ネクタイケースを1本持っておくと理想的です。
やってはいけない丸め方
- 強く巻きすぎる(→生地が伸びる)
- 湿った状態で巻く(→カビや変色の原因)
- 長期間放置する(→巻きグセが固定化)
定期的に広げて、平らな状態で“リセット”させると形が保たれます。
プロのメンテナンス習慣
使用後はすぐに丸めず、一晩ハンガーで吊って湿気を飛ばす。
翌朝に軽く整えてから丸めれば、シワのない理想的な状態で保管できます。
この「休ませてから収納する」習慣こそが、上質なネクタイを長持ちさせる最大の秘訣です。
まとめ
| 項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| 巻き始め | 小剣(細い方)から巻く |
| 直径の目安 | 手のひらサイズ・ふんわりゆるく |
| 固定方法 | 基本不要。必要時は薄紙で軽く留める |
| 収納環境 | 通気性のある素材で、重ねず保管 |
| 注意点 | 湿気・日光・強い圧力を避ける |
| 出張時 | 中央の衣類層に収納 or 専用ケース使用 |
以上、ネクタイの丸め方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
