就職活動での服装マナーの中でも、意外に面接官の目に留まりやすいのが「ネクタイの結び目」。
その結び目の下にできる小さなくぼみ、これを「ディンプル(dimple)」と呼びます。
英語で「えくぼ」という意味を持つこのくぼみは、ビジネスシーンでは“身だしなみの完成度”を示す重要なディテールです。
本記事では、就活におけるディンプルの意味から正しい作り方、そして印象アップのコツまでを、プロ目線で詳しく解説します。
ディンプルとは?
ネクタイの結び目直下にできる縦方向のくぼみのことを指します。
自然な陰影を生み出し、首元に立体感と清潔感を与える効果があります。
ディンプルが与える主な印象
- 立体的でスーツ全体が引き締まる
- 清潔感と誠実さを演出できる
- 丁寧な身だしなみ・細部への気配りを感じさせる
一方で、ディンプルがないとネクタイがのっぺりと平面的に見え、全体がやや頼りない印象になりがちです。
必須マナーではありませんが、「あるとより整って見える」小さなプロ意識の証といえます。
就活でディンプルを作るメリット
清潔感と誠実さを伝える
スーツやシャツがきちんとしていても、ネクタイが平面的だと“詰めの甘さ”を感じさせます。
逆に、自然なディンプルがあると「細部まで気を使っている人」という印象に変わり、清潔で信頼できる雰囲気を作れます。
落ち着きと自信を演出
結び目に立体感があると、顔周りに陰影ができて引き締まった印象になります。
特に写真や対面面接では、ディンプルがある方が表情が凛として見える傾向があります。
“身だしなみ慣れ”を印象づける
社会人に近い装いを自然にこなしているように見えるため、ビジネスマナーに慣れている印象を与えます。
細部に気を配れる人材として、好印象につながるポイントです。
ディンプルの正しい作り方(初心者向け手順)
基本:プレーンノットでの作り方
就活では最も汎用性の高い「プレーンノット」または「ハーフウィンザー」で十分です。
手順
- ネクタイを整えてスタート
大剣を右、小剣を左にして、プレーンノットを作り始めます。 - 結び目を締める前に一旦止める
ほぼ形が整ったら、首元へ引き上げる前に指で調整する準備をします。 - 親指と人差し指で中央を軽くつまむ
大剣の中央を指で軽く押さえ、左右に小さな谷を作って真ん中を少しくぼませます。 - その形をキープしたまま結び目を上へスライド
ディンプルのくぼみが消えないように注意しながら、結び目を首元まで持ち上げます。 - 小剣を引きながら結び目を締める
左手でノットを固定し、右手でディンプルの中心・深さを微調整します。 - 鏡で正面と斜めからチェック
縦方向に自然な1本線のくぼみが入っていれば完成です。
ポイント
- くぼみは中央に1本だけ、深すぎず浅すぎず。
- 左右のバランスが崩れないように注意。
- くぼみを強く押し込むとわざとらしく見えるため、「軽くつまむ」程度で十分です。
結び方と襟型の相性
| 結び方 | 特徴 | 向いている襟型 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| プレーンノット | シンプルで万能。小さめの結び目。 | レギュラーカラー・セミワイド | ★☆☆ |
| ハーフウィンザー | やや大きめで左右対称。バランス良好。 | セミワイド・ワイド | ★★☆ |
| フルウィンザー | ボリュームがありフォーマル。 | ワイドカラー、体格の大きい人向き | ★★★ |
就活では、プレーンまたはハーフウィンザーが無難です。
フルウィンザーは結び目が大きくなるため、襟の開きや体格とのバランスを確認して選びましょう。
素材選びのポイント
ディンプルは素材によっても仕上がりが変わります。
- シルク(絹):ハリと光沢があり、美しいディンプルを作りやすい。
- ポリエステル:安価だが、生地が柔らかいとくぼみが崩れやすい。芯地がしっかりした製品を選ぶと安定する。
- 避けたい素材:光沢が強すぎるもの、薄手でペラペラなもの。就活では落ち着いた印象のマットな質感が◎。
よくあるNG例と対処法
| 状態 | 印象・問題点 | 改善方法 |
|---|---|---|
| ディンプルが左右非対称 | 雑・不自然に見える | 結び直し。左右を均等に整える |
| くぼみが複数できている | しわくちゃで不清潔に見える | 指先で中央1本にまとめる |
| くぼみが深すぎる | わざとらしく派手な印象 | 軽く整えるだけにする |
| ディンプルなし | 平面的で印象がやや弱い | 軽く1本入れると締まりが出る |
| 結び目がねじれている | 不慣れ・雑な印象 | 一度解いて結び直す |
ディンプルを美しく保つコツ
- 前日にネクタイのシワをスチームで整える
シルクは特にシワが残りやすいので、軽く蒸気を当てると翌朝の結び目が格段にきれいになります。 - 結び目を解くときは優しく
引っ張って外すと型崩れの原因になります。 - 面接直前に最終チェック
洗面所などで鏡を見ながら、小剣を1cmほど引き締めて軽くディンプルを整えるだけで印象が変わります。
業界別の印象傾向(参考)
| 業界 | ディンプルの印象度 | 備考 |
|---|---|---|
| 商社・金融・メーカー | ◎ | 清潔感・誠実さが重視される。自然な1本が理想。 |
| IT・広告・ベンチャー | ○ | 個性よりも清潔感重視。派手すぎない範囲でOK。 |
| 公務員・教育・医療 | △ | 無理に作らず自然体でOK。清潔第一。 |
まとめ:小さな“えくぼ”が印象を変える
- ディンプルは「結び目の下の小さなくぼみ」
- 就活では必須ではないが、あると清潔感・信頼感・丁寧さを伝えられる
- 自然な1本線を中央に作るのが理想
- プレーンノットまたはハーフウィンザーで、素材と襟型のバランスを意識
- 深すぎず浅すぎず、自然体がベスト
わずか1cmほどのくぼみでも、見る人の印象は驚くほど変わります。
ディンプルは「こだわり」ではなく「誠実さの表現」です。
面接当日の朝、鏡の前でその“えくぼ”を確認するひと手間が、あなたの第一印象を確実に引き上げてくれるでしょう。
以上、就活中のネクタイのディンプルについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
