スーツの襟(ラペル)は、全体の印象を決定づける重要な要素です。
襟の形や幅、角度によって「フォーマル度」「体型との相性」「ファッション性」が大きく変わります。
ここでは、基本のラペル種類から現代的なバリエーションまで、詳しく解説します。
目次
基本の三大ラペル
ノッチドラペル(Notch Lapel)
- 特徴:襟と下襟(ラペル)の間に「切れ込み(ノッチ)」が入った最も一般的な形。
- フォーマル度:ビジネス用スーツの標準。シングルスーツでほぼ必ず採用される。
- 印象:スマートで落ち着いた雰囲気。誰にでも似合いやすい。
- 補足:ダブルブレストには基本的に使われない。
ピークドラペル(Peak Lapel)
- 特徴:ラペルの先端が上向きに尖っている。
- フォーマル度:クラシックかつ格式高い。ダブルブレストやタキシードで多用。
- 印象:力強さ・威厳・華やかさを演出。肩幅が広く見える効果もある。
- おすすめシーン:結婚式、パーティー、式典などのフォーマル場。
ショールカラー(Shawl Collar)
- 特徴:ノッチやピークのような角がなく、滑らかな曲線で繋がる襟型。
- フォーマル度:タキシードやディナージャケット専用。ラウンジスーツではほぼ用いられない。
- 印象:柔らかくエレガントで、落ち着いた華やかさを出す。
- おすすめシーン:ブラックタイの場面、晩餐会、特別なフォーマルイベント。
派生・バリエーションラペル
セミピーク(Semi Peak)
- ピークの尖りを弱めたもの。威厳はありつつ柔らかさも兼ねる。
- イタリアンスタイルのスーツなどで見られる。
セミショール(Semi Shawl)
- ショールカラーを少しだけ角張らせた形。モード系やオーダースーツで採用されることがある。
フィッシュマウス(Fishmouth)
- ノッチ部分が小さく、魚の口のように見えるラペル。南イタリアのサルトリアに多い。
- 洒落た印象を演出し、カジュアルなジャケットにも合う。
ラペル幅のバリエーション(種類ではなく“寸法”)
襟型そのものではなく「幅」による印象の違いも重要です。
- ワイドラペル(幅広):力強くクラシック。胸板が厚い人に映える。
- ナローラペル(幅細):シャープでモード的。スリム体型や若々しい雰囲気に合う。
- 標準幅:約7.5〜9cmが一般的。体格や流行、ゴージ位置とのバランスで調整。
歴史的・稀少な意匠
クローバー(クローバーリーフ)ラペル
- 丸みを帯び、クローバーの葉のように見える珍しいデザイン。
- 19〜20世紀初頭のディナージャケットに見られるが、現代ではほぼ流通しない。
- 実務上はあまり登場せず、専門書やヴィンテージスーツでの話題に限られる。
襟を選ぶときの実践ポイント
- 場面に合わせる
- ビジネス:ノッチドラペル × 標準幅
- フォーマル:ピーク or ショール
- 華やかさ:ピーク × ワイド幅
- 洒脱さ:フィッシュマウス × ナロー幅
- 体型との相性
- がっしり体型:ワイドラペルでバランスを取る
- 細身体型:ナローラペルで縦のラインを強調
- 流行とのバランス
- 現代のビジネスでは標準〜ややナローが主流。
- クラシック志向ならワイドラペル。
まとめ
- スーツ襟の基本は ノッチ・ピーク・ショールの3種類。
- セミピーク・フィッシュマウスなどの派生もあり、個性や地域色を演出できる。
- ラペル幅は種類ではなく寸法の違いで、体型や流行に合わせて調整するのが鍵。
- クローバーラペルは歴史的要素として知識に留めれば十分。
襟型を理解し使い分けることで、スーツの「印象操作」が自在になります。
以上、スーツの襟の種類についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。