スーツの袖ボタン(いわゆる「本切羽」や「飾りボタン」)には、歴史的背景・実用性・マナー上の「正解」とされる考え方がいくつかあります。
以下で詳しく整理します。
目次
袖ボタンの起源と役割
- 軍服由来
袖ボタンはもともとヨーロッパの軍服に由来します。兵士が袖口を開けて腕まくりし、手を洗いやすくしたり処置を受けやすくするために付けられていました。これがスーツに取り入れられたのが始まりです。 - 装飾性の要素
現代では実用性よりも「装飾」としての意味合いが強く、スーツの格を示すディテールのひとつになっています。
袖ボタンの数の「正解」
袖ボタンの数は、スーツのスタイルや国ごとの慣習で変わります。
- 3つボタン
イギリス式や伝統的なクラシックスタイルで多い。フォーマル度が高く、バランスも良い。 - 4つボタン
イタリアやアメリカのスーツに多い。モダンで少しカジュアル寄り、ただし高級スーツにもよく採用される。 - 2つボタン
カジュアルジャケットや夏用の軽装ジャケットに多い。リラックス感が出る。
ビジネススーツなら「3つか4つ」が最も無難。
2つはドレスダウン、5つは特殊(タキシードや一部のオーダースーツ)
袖ボタンの並び方
- 重ねつけ(キッシングボタン)
ボタン同士が少し重なり合う並び。イタリア仕立てに多く、洒落た雰囲気。 - 離しつけ
ボタン同士の間隔が空いている。イギリス伝統の仕立てで、堅実でフォーマルな印象。
本切羽と飾りボタン
- 本切羽(Functional Buttonholes)
実際に袖ボタンを外せる仕様。高級スーツやオーダースーツの証。
→ 着こなしテクニックとして「一番下だけ開ける」と洒落感が出る。 - 飾り切羽(Non-functional Buttonholes)
ボタンホールがダミー。既製スーツに多い。見た目だけの装飾。
ビジネスで無難に見せるなら閉じておく。
オーダーなら「一番下を開けて個性を出す」のも許容される。
ビジネスシーンでの「正解」
- 袖ボタンは閉じるのが基本マナー
→ 取引先や目上の人の前では全て留める。 - カジュアルや洒落着なら「一番下だけ外す」
→ 高級スーツをアピールする遊び心として許される。
袖ボタンに関する豆知識
- 「医師が手術前に袖をまくれるように」 が起源とも言われる。
- ナポレオン説:「兵士が鼻水を袖で拭かないようにボタンを付けた」という俗説もある。
- ブランドごとの差:イタリア系は4つ重ね、英国系は3つ離しが多い。
まとめると
- 数 → 3つか4つが正解。
- 並び → 堅実なら離し、洒落感なら重ね。
- 切羽 → 本切羽は高級、既製は飾り。
- マナー → ビジネスは全部閉じる、洒落着なら一番下を開けてもOK。
以上、スーツの袖ボタンの正解についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。