ワイシャツの袖丈は、全体の印象を左右する重要な要素です。
長すぎるとだらしなく、短すぎると動きにくくなります。
ここでは、袖を短くする正しい方法を、プロに依頼する場合と自分でお直しする場合に分けて詳しく解説します。
目次
袖詰めの基本構造を理解しよう
ワイシャツの袖口には、以下のような構造があります。
- カフス(袖口):ボタンが付いた部分
- 剣ボロ(スリット):手首を通すための開き
- 袖山:肩側で身頃と縫い合わされている部分
この構造のため、袖を短くする際は単純に「切って縫う」だけでは済まず、カフスを一度外して再縫製するのが基本手順です。
プロに依頼する場合
メリット
- バランスやシルエットを崩さず仕上がる
- 剣ボロや袖山の構造を理解したプロの縫製で安心
- 仕上がりが自然で、長持ちしやすい
相場と納期の目安
| 仕様 | 料金相場 | 納期 | 備考 |
|---|---|---|---|
| カフスを外して袖詰め(〜約3cm) | 2,000〜4,000円 | 約3〜7日 | 剣ボロに影響しない範囲 |
| 剣ボロ位置を移設して袖詰め | 4,000〜6,000円 | 約5〜10日 | 詰め量が大きい場合 |
| 肩側(袖山)から詰め | 5,000〜8,000円 | 約5〜10日 | 高度な縫製。構造調整が必要 |
頼む際のポイント
- 具体的な袖丈イメージを伝える(例:「手首の骨が隠れる程度」)
- 腕を曲げたときの突っ張り感を試着で確認
- 左右の腕の長さに個人差があるため、両腕を別々にチェック
自分で短くする方法(中〜上級者向け)
裁縫に慣れていれば、自分でも短縮可能です。
以下は「カフスを外して詰める」正確な手順です。
必要な道具
- リッパー(縫い糸をほどく道具)
- ミシンまたは針と糸(60番推奨)
- 定規・チャコペン
- アイロン
- ハサミ
作業手順
- 採寸と詰め量の確認
シャツを着用し、理想の袖丈を決めてピン打ち。
剣ボロの開き止まりから4cm以上詰めないのが安全。
それ以上短くする場合は剣ボロの移設または肩側からの調整が必要です。 - カフスを外す
リッパーで縫い目を丁寧に外します。剣ボロ部分を破かないように注意。 - 余分な生地をカット
詰めたい長さ+1.0cmの縫い代を残してカットします。 - カフスを再縫製
アイロンで折り癖を付け、元の位置に合わせてミシンで縫い付けます。
既存のステッチ幅に合わせると、見た目が自然に仕上がります。 - 仕上げと確認
アイロンで縫い目を整え、左右の袖丈が一致しているか確認。
最後に実際に着て腕の曲げ伸ばし時の動きをチェックします。
ベストな袖丈の基準
- 腕を下ろした状態で、手首のくるぶし(尺骨茎状突起)にかかる程度
- ジャケットを着たときに、シャツが1〜1.5cm見えるのが理想
- 腕を曲げても袖が引っ張られないこと
短く見せるだけなら「ボタン移動」もあり
1cm程度の微調整であれば、カフスのボタンを内側に付け替えることで袖が短く見えるようにできます。
ただし実際の丈は変わらないため、長期的な解決には不向きです。
仕上がりを長持ちさせるコツ
- 洗濯時はネットに入れて生地を守る
- アイロンは縫い目方向に押さえるようにかける
- 詰めた部分のほつれを定期的にチェック
- 糸はポリエステル製(強度重視)を使用
どちらを選ぶべきか?
| 方法 | 難易度 | 費用 | 精度 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| お直し店に依頼 | 低 | 中〜高 | 高精度 | ★★★★★ |
| 自分で詰める | 高 | 低 | 技術次第 | ★★★☆☆ |
- ビジネス用や高価なシャツ → プロ依頼が安心
- カジュアルや練習目的 → 自分で挑戦も可能
まとめ
- 袖丈調整は、カフスを外して再縫製するのが基本。
- 詰め量は剣ボロの位置を超えないよう注意。
- 仕上がりのバランスを崩さないためには、プロ依頼が最も確実。
- 1cm程度ならボタン移動でも調整可能。
以上、ワイシャツの袖を短くする方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
