スーツの「ボタンの付け方」というのは、大きく分けてジャケットの前ボタンの留め方のルールとスーツ自体に付けられているボタンの配置や意味の2つの観点があります。
ここでは両方を詳しく整理してご説明します。
目次
ジャケットの前ボタンの留め方の基本ルール
スーツの種類(シングル/ダブル)やボタン数によって留め方は変わります。
シングルスーツの場合
- 1つボタン
- 座るとき以外は留めるのが基本。
- フォーマル度が高く、タキシードなどにも多いスタイル。
- 2つボタン
- 上のボタン:留める(立っているとき)
- 下のボタン:留めない(「アンボタンマナー」)
- 座るときは両方外すのが一般的。
- 3つボタン
- 上:基本的に留めない(古い英国風なら留めても可)
- 中:必ず留める
- 下:留めない
→ 「中だけ」「上と中」どちらかが正解です。
ダブルスーツの場合
- 基本的に「内掛けのボタン+外側のボタン」を留めるのがマナー。
- ただし着席時には外しても良い。
- フォーマルな場では前を開けず、しっかり閉じるのが正解。
スーツに付けられているボタンの意味・配置
袖ボタン
- キッシングボタン(重ねつけ):高級仕立てに多い。ボタン同士が重なっている。
- 開き見せ/本切羽:
- 飾りだけで開かない →「開き見せ」。
- 実際に開けられる →「本切羽」。オーダースーツや高級スーツに多い。
- 本切羽の場合、1つだけ外して着こなしのアクセントにする人もいる。
背中のベント(切れ込み部分)のボタン
- センターベントやサイドベントには基本的にボタンはつかないが、モーニングコートや燕尾服では飾りボタンが付いている。
パンツ(スラックス)のボタン
- 前留めはホック+内ボタンで補強。
- 後ろポケットには飾りまたは実用のボタンがつくことが多い。
歴史的な背景
- 下ボタンを留めない習慣は、英国のエドワード7世が太っていて下ボタンを留められなかったことから広まったとされる。
- 袖ボタンは「戦場で騎士が袖口をまくって傷を見せやすくするため」など諸説あるが、現在では装飾や仕立ての良さを示すディテールになっている。
実践的な注意点
- 立っているとき:前を留める(ただしルールに従う)
- 座るとき:シワを防ぐため外す
- 歩いているとき:シーンによっては外して軽快に見せても良い(カジュアル寄り)
- フォーマルな場:必ずボタンを正しく留めるのがマナー
まとめると、スーツのボタンは単なる飾りではなく、「着こなしのマナー」「仕立ての格」「歴史的な背景」の3つを映し出す重要な要素です。
以上、スーツのボタンの付け方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。