革靴を履いて歩いたときに発生するギシギシ音・キュッキュ音は、珍しいトラブルではありません。
ただし原因は一つではなく、誤った対処をすると悪化・再発・修理費増加につながるため、原因ごとに正しく切り分ける必要があります。
以下では、一般的に認められている知見に基づき、原因 → 現実的な対処 → 注意点の順で整理します。
革靴が音を出す主な原因
靴底内部(中底・シャンク周辺)の摩擦やズレ
革靴は複数の層で構成されており、歩行時には内部でわずかな動きが発生します。
以下の状態になると、低く鈍い「ギシギシ」「ミシミシ」音が出やすくなります。
- 中底とアウトソールの接着が部分的に弱っている
- シャンク(金属または木製の補強材)がズレている
- 湿気により中底が柔らかくなっている
このタイプの音は、踏み込んだ瞬間や体重移動時に発生しやすく、再発もしやすいのが特徴です。
中敷き(インソール)と中底の摩擦
比較的軽度で、高音の「キュッキュ」「キュッ」という音が出るケースです。
- 取り外し式インソールが動いている
- 中敷きの裏面と中底が汗や湿気で密着している
- 中敷きの革が薄くなっている
新品〜履き始め、または夏場に起こりやすい原因です。
アッパー(甲革)や裏革の乾燥による摩擦
革が乾燥しすぎると、屈曲時に革同士が擦れ、細かいギシ音が出ることがあります。
- 履きジワ部分
- 羽根(靴紐周辺)
- 甲とライニング(裏革)の接触部
特に、
- 手入れ不足
- 冬場や空調環境
- 長期保管後
に起こりやすい症状です。
雨・汗などによる湿気の影響
革靴内部に水分が残ると、以下の問題が連鎖的に起こります。
- 中底が膨張・収縮する
- 接着力が低下する
- 内部部材同士が擦れる
結果として、これまで鳴らなかった靴が急に音を出すことがあります。
原因別・現実的な対処法
中敷きが原因と思われる場合
比較的安全で、最初に試す価値があります。
手順
- 中敷きを一度外す
- 靴内部をしっかり乾燥させる
- ベビーパウダーやタルカムパウダーを「ごく薄く」振る
- 中敷きを戻す
摩擦が原因の場合、この方法で改善するケースは多いです。
※入れすぎると粉が固まり、逆効果になります。
アッパーの乾燥が原因の場合
革の柔軟性を回復させることで音が軽減します。
基本的な考え方
- 乳化性クリームで油分と水分を補給
- 履きジワ部分を中心にケア
- 塗りすぎない(音対策=過剰な油分は不要)
革が適度にしなやかになると、摩擦音は自然に減少します。
湿気が原因の場合
最優先は乾燥です。
- 木製シューツリーを入れる
- 新聞紙などを詰めて一晩置く(必要なら交換)
- 風通しの良い日陰で自然乾燥
注意点として、ドライヤーや直射日光による急乾燥は避けるべきです。
革の硬化・ひび割れ・接着劣化につながります。
靴底内部が原因と思われる場合
このケースは、セルフケアでの完全解決は難しいのが実情です。
一時的に収まることはあっても、
- 再発しやすい
- 徐々に音が大きくなる
- 底の剥がれや違和感に発展する
といった傾向があります。
無理な自己処置(接着剤を流し込む等)は推奨されません。
内部構造を悪化させ、後の修理が難しくなる可能性があります。
注意すべき行為
- 靴内部への潤滑剤・スプレー類の使用
→ 成分や量によっては別のトラブルを招く可能性がある - 素人判断での接着剤使用
→ 音が止まらないだけでなく、修理工程を複雑化させる恐れ - 急激な乾燥処理
→ 革と接着層の劣化リスクが高い
「音を止めたい」という短期視点より、靴全体の寿命を優先する判断が重要です。
修理を検討すべき目安
以下に当てはまる場合は、靴修理店での点検・修理が現実的です。
- 音が低く大きい(ギシギシ・ミシミシ)
- 乾燥や中敷き調整で改善しない
- 歩行時に底がズレる感覚がある
- 音が徐々に悪化している
早めに対処すれば、中底再接着や軽微な調整で済むケースも少なくありません。
予防の観点
音鳴りは「起きてから直す」より、「起こさない」方が簡単です。
- 連日同じ靴を履かない
- 木製シューツリーを使用する
- 雨の日は極力避ける
- 定期的に軽い保湿ケアを行う
これらを習慣化するだけで、音鳴りトラブルの発生率は大きく下がります。
まとめ
- 原因分類と対処の方向性は概ね正しい
- ただし「絶対NG」と断定すべきでない点は表現を調整
- 内部構造由来の音は、無理に自分で直そうとしない方が安全
革靴の音鳴りは構造・湿気・摩擦の複合問題であることが多く、正確な切り分けができれば、無駄な対処や失敗は避けられます。
以上、革靴からギシギシ音がする時の対処法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










