80年代のスーツファッションは、当時の社会背景やカルチャーの影響を強く受けていて、現代のファッションにも影響を与えています。
以下では、シルエット・デザイン・色柄・素材・社会背景の観点から詳しく解説します。
目次
シルエットの特徴
- パワースーツ(Power Suit)スタイル
肩パッドがしっかり入り、ウエストが絞られた逆三角形シルエットが主流。これは「権威」や「成功」を象徴するデザインで、特にビジネスシーンで強調されました。 - ダブルブレスト(ダブル前)ジャケット
前ボタンが2列になった重厚感あるジャケットが人気。シングルよりも「貫禄」が出るため、経営者やエリート層を象徴するアイテムでした。 - パンツの太さ
70年代のフレアから移行し、80年代はゆったりとした太めのパンツが中心。裾にかけて細くなるテーパードシルエットが登場し、全体のバランスを取っていました。
デザインとディテール
- 肩パッドの強調
特に欧米のスーツでは「直線的で力強いライン」を出すために、肩幅を実際よりも広く見せるデザインが多用されました。 - ラペル(襟)の幅広化
太めのラペル(特にピークドラペル)が流行し、存在感を強めました。 - 大きめのシルエット
全体的にジャケットは長め、パンツもゆとりがあるため、現代の細身スーツとは対照的。
色柄のトレンド
- グレー・ネイビー・ブラック
ビジネスでは定番色が中心。ただし1980年代は「より濃いめ」の色合いが好まれました。 - ストライプ柄(ピンストライプ・チョークストライプ)
権威やエリート感を出すために人気。ウォール街のバンカーや弁護士のイメージを強調しました。 - 派手な色使い
日本やアメリカの若者ファッションでは、赤・エメラルドグリーン・パープルなどビビッドカラーをスーツに取り入れるスタイルも登場。
素材
- ウール中心
ビジネススーツはウールが基本。ただし80年代は化学繊維の進化により、ポリエステル混のしわに強いスーツも登場しました。 - 光沢感のある素材
高級感を演出するために、サテン調やシャイニーな生地が注目されました。特にパーティー用や若者向けのスーツに多く使われました。
社会背景とカルチャーの影響
- バブル経済期の日本
80年代後半の日本では「成功・お金・ブランド」が重視され、アルマーニ、ヴェルサーチ、ヒューゴボスなど海外ブランドスーツがビジネスマンの憧れでした。 - 映画・ドラマの影響
- 『ウォール街』(1987)のゴードン・ゲッコーのスーツスタイルは「強いビジネスマン像」を象徴。
- 日本では『東京ラブストーリー』やアイドルの衣装にも80年代的スーツの影響が見られました。
- 男女のファッション
女性も「パワードレッシング」として肩パッド入りのスーツを着こなし、社会進出の象徴となりました。
現代との違い
- 現代:細身・軽量・ナチュラルシルエット
- 80年代:大柄・重量感・強調されたシルエット
今の目線で見るとややオーバーサイズに感じますが、逆に現代の「オーバーサイズブーム」や「リバイバル」で80年代スーツの要素が再評価されています。
以上、80年代に流行ったスーツについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。