ビジネスシャツを購入するとき、「39-82」などといったサイズ表記を見たことがあると思います。
このうち「82」が示すのが「裄丈(ゆきたけ)」です。
一見わかりにくいこの数値は、シャツのフィット感や着こなしの印象を左右する重要な要素。
ここでは、裄丈の正確な意味から測定方法、理想的なサイズの選び方まで、プロの視点で詳しく解説します。
裄丈とは?首の中心から手首までの「腕全体の長さ」
裄丈とは、背中の首の中心から肩先を通り、手首のくるぶし(小指側の骨)までの長さを指します。
式にすると、次のように表せます。
裄丈 =(肩幅の半分)+袖丈
つまり、片腕全体のラインを測る寸法です。
「肩幅と袖丈を足したもの」と混同されがちですが、実際には肩幅の半分しか含まれません。
これを理解しておくと、サイズ表記を見たときに自分の体型との関係を正確にイメージできます。
裄丈の正しい測り方
裄丈を自分で測るのは少し難しいため、他の人に手伝ってもらうのが理想です。
正確に測るためのステップは以下の通りです。
- 自然に立つ
背筋をまっすぐにし、腕を軽く下げた状態にします。 - 首の中心を基準にする
首の後ろ、襟の付け根の中央(背中側)を起点とします。 - 肩先を通過
肩の一番外側(腕と肩の境目)を通るようにメジャーをあてます。 - 肘を軽く曲げる(約15度)
腕をまっすぐ伸ばすと実際より短くなるため、自然な角度で測ります。 - 手首の小指側の骨まで
袖口の基準は、手首のくるぶし(尺骨茎状突起)です。そこまでを測定します。
この長さが「裄丈」です。
計測は薄手のインナーを着た状態で行うと、実際の着用感に近くなります。
もし一人で測る場合は、既に着ていてちょうど良いシャツを平置きして実測する方法もおすすめです。
裄丈の目安と理想的な見え方
理想的な裄丈とは、ジャケットの袖口からシャツの袖が1〜1.5cmほど見える長さです。
短すぎると腕が窮屈に見え、長すぎるとだらしない印象になります。
身長別の一般的な裄丈目安
| 身長 | 標準的な裄丈の目安 |
|---|---|
| 約160cm | 78〜80cm |
| 約170cm | 82〜84cm |
| 約180cm | 86〜88cm |
これはあくまで平均的な目安です。
腕が長めの人、あるいは動作の多い仕事をしている人は、1〜2cm長めを選ぶと快適です。
裄丈が合っていないとどうなる?
裄丈が体に合っていないと、見た目にも機能性にも支障が出ます。
短い場合
- 腕を伸ばすと袖が引っ張られる
- ジャケット袖の中に隠れて見えない
- 手首が見えすぎて、シャツが小さく見える
長い場合
- 袖口が手の甲を覆ってしまう
- 袖口が汚れやすく生活感が出る
- ジャケットとのバランスが崩れる
裄丈の数センチの違いで印象が大きく変わるため、ここは妥協しないようにしましょう。
既製シャツとオーダーシャツでの違い
既製シャツの場合
多くの既製品では、「39-82」のように首回りと裄丈を組み合わせて表記します。
「39」が首回り(cm)、「82」が裄丈(cm)です。
同じ首回りでも裄丈に80・82・84など複数展開があるブランドもあります。
海外ブランドでは、インチ表記(例:15½–33)になっている場合もあります。
オーダーシャツの場合
オーダーでは裄丈を1cm単位で調整できます。
さらに、右腕と左腕で長さが違う場合は左右別指定も可能。
既製品では出せない正確なフィット感が得られます。
裄丈を選ぶときのポイント
- スーツとのバランスを重視
袖が1〜1.5cm見える長さを目安に。 - 動きやすさも考慮
デスクワーク中心なら標準、外回りやプレゼンなど腕を動かす人は少し長めに。 - ブランドごとの傾向を把握
欧米ブランドはやや長め、日本ブランドはやや短めの傾向がありますが、最終的には実寸表や試着で確認しましょう。 - 洗濯後の縮みを想定
綿100%シャツは洗濯で1cm前後縮むことがあるため、気持ち長めを選ぶのもおすすめです。
まとめ:裄丈は「見た目の美しさ」と「着心地」の両方を決める
- 裄丈は首の中心から肩・腕・手首までの長さ
- 式にすると「肩幅の半分+袖丈」
- 測定時は肘を軽く曲げ、手首の骨まで
- ジャケットから1〜1.5cm見えるのが理想
- オーダーなら1cm単位・左右別で調整可能
裄丈を正しく理解すると、同じシャツでも見た目がすっきりし、動きやすくなります。
ワイシャツを選ぶときは、首回りだけでなく「裄丈」にも注目してみてください。
以上、ワイシャツのサイズの裄丈についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
