蛍光ペンのインクは一見鮮やかですが、布地につくと落とすのが厄介な汚れです。
特にワイシャツなどの白い衣類についた場合、慌てて擦るとインクが繊維に入り込み、かえって落ちにくくなります。
ここでは、蛍光ペンの成分別の特徴から、自宅で安全に行える処理方法、そしてクリーニングに出す際の注意点まで、専門的に整理して解説します。
目次
蛍光ペンのインクは主に3種類
| 種類 | 主な成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水性 | 水+染料 | 落としやすい。多くの蛍光ペンがこれに該当。 |
| 油性 | 油性溶剤+顔料 | 定着力が強く、溶剤処理が必要。 |
| ゲル/ハイブリッド | 水性と油性の中間 | 見た目は落ちても薄く残りやすい。 |
多くの一般的な蛍光ペン(マイルドライナー、スタビロなど)は水性ですが、製品によっては油性成分を含むものもあります。
まずはペン軸の表示を確認しましょう。
水性インクの蛍光ペンがついたときの落とし方
- 冷水または常温水で裏から流す
汚れた箇所の裏側から流水を当て、インクを外に押し出すようにします。ぬるま湯や熱湯は染料を定着させることがあるためNGです。 - 白いタオルやキッチンペーパーを下敷きに
インクが他の部分に移らないよう、必ず下に布を敷きましょう。 - 中性洗剤(食器用可)を少量垂らし、軽くもみ出す
指の腹でやさしくもみ洗い。こすりすぎると繊維を傷めます。 - 冷水でしっかりすすぐ → 自然乾燥
洗剤を残すと輪ジミができることがあるため、十分にすすぐのがポイントです。
落ちにくい場合(油性や時間が経った場合)
- 消毒用アルコール(エタノールまたはIPA)を使う
下にタオルを敷き、コットンやティッシュにアルコールを含ませて「トントン」と叩くように処理。インクが下のタオルに移ればOKです。 - 仕上げに中性洗剤で軽く洗う
溶剤の残留を防ぐため、必ず水で十分にすすぎます。 - 最終手段:アセトン入り除光液を少量使用(※注意)
アセトンは強力ですが、素材や染料を傷めることがあります。
目立たない部分で色落ちテストを行い、短時間で局所的に使用 → 即すすぐことが絶対条件です。
素材別の注意点
| 素材 | 対処法・注意点 |
|---|---|
| 綿(コットン) | 洗剤・アルコールに強く、自宅処理しやすい。 |
| ポリエステル | 耐薬品性はあるが、染料のにじみが起こることがある。テスト必須。 |
| 麻(リネン) | 擦ると毛羽立つため、叩き出すように処理。 |
| アセテート/レーヨン | 溶剤に弱く、変色リスクがあるため慎重に。 |
| シルク/ウール | 自宅処理は避け、ドライクリーニングへ直行。 |
白いワイシャツ限定の応急処置
蛍光ペンの跡が薄く残る場合、白物限定で以下の方法も有効です。
- 酸素系漂白剤(ワイドハイターEXなど)を40℃前後のぬるま湯に溶かす。
- 10〜20分程度、汚れ部分をつけ置き。
- しっかりすすいで自然乾燥。
※塩素系漂白剤は生地を傷めるため使用禁止。
やってはいけないこと
- こすらない:インクが繊維内部へ沈着します。
- ドライヤー・乾燥機で乾かさない:熱でインクが定着します。
- 塩素系漂白剤を使わない:化学反応で黄変や脱色を起こす恐れ。
クリーニング店に出すときのポイント
自宅で落ちない場合や高級素材の場合は、早めに専門店へ。
その際は以下の情報を伝えると処理がスムーズになります。
- 「蛍光ペンがついた」こと
- ペンの種類(例:水性/マイルドライナーなど)
- 自宅で行った処理(アルコール使用など)
この情報があると、店側で最適な薬剤を選びやすくなります。
まとめ:状況別の最適アプローチ
| 状況 | 処置方法 |
|---|---|
| 付いた直後 | 冷水+中性洗剤で叩き出す |
| 時間が経過 | アルコールで溶かして洗剤洗い |
| 油性系 | 除光液・ベンジンをスポット使用(換気・火気厳禁) |
| 白いシャツ | 酸素系漂白剤で短時間つけ置き |
| 高級素材 | 手を加えず、すぐにドライクリーニングへ |
まとめの一言
蛍光ペンの汚れは、「時間」と「熱」が最大の敵です。
ついた直後なら、水と中性洗剤だけでほとんど落とせます。
慌てず冷静に、擦らず・温めず・早く処理するこの3点を守ることが、ワイシャツを救う最短ルートです。
以上、ワイシャツに蛍光ペンが付いた時の対処法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
