ネクタイはシルクなどのデリケートな素材が多く、熱や摩擦、水分の扱い方を誤るとすぐに形が崩れたり、ツヤが失われてしまいます。
ここでは、素材を傷めずにシワを取り除く正しい方法を、プロの観点から詳しく解説します。
なぜネクタイにシワができるのか
ネクタイのシワは、主に以下の要因で生じます。
- 結び目の繰り返しによる圧力
同じ結び方を続けると、常に同じ部分に負担がかかり、折れジワが定着します。 - 収納方法の問題
折りたたみや無理な収納は、芯地の形を崩し、深い折れ目を作ります。 - 湿気・乾燥の繰り返し
湿気を含んだまま放置すると繊維が歪み、そのまま乾燥して固まります。
ポイントは、「無理に押さえつける」よりも「繊維をリラックスさせる」ことです。
最も安全な方法:スチームで自然にシワを戻す
ネクタイのケアで最も安全かつ効果的なのは、スチームを使って繊維をゆるめる方法です。
手順
- ネクタイをハンガーに吊るす
軽く整えて、風通しのよい場所に吊るします。 - スチームを当てる
衣類スチーマーまたはスチームアイロンを10〜15cm離して使用。
同じ箇所に長く当てず、1か所あたり2〜3秒ずつ全体に均一に蒸気を当てます。 - 軽くなでて形を整える
生地が柔らかいうちに、引っぱらず、平らになでるように整えます。 - そのまま乾燥させる
湿気が残った状態で畳むと再びシワになるため、完全に乾くまで吊るすのが重要です。
補足:浴室スチーム法
お湯を張った浴室にネクタイを吊るし、5〜10分程度スチームに当てる方法も有効。
ただし、結露がつくほどの長時間放置は厳禁です。
アイロンを使う場合の正しいやり方
深いシワが残る場合のみ、慎重にアイロンを使いましょう。
ネクタイは「芯地入り・バイアス裁ち(斜め裁断)」のため、表面から強く押すと構造が壊れます。
必要な準備
- アイロン温度:低温(110〜120℃)
- 必ず当て布を使用(薄手の綿ハンカチなど)
- 裏面(背面)からかける
- スチームは短時間・距離を保つ
手順
- ネクタイを裏面が上になるようにアイロン台に置く。
- 当て布をかけ、軽くスチームを当てながら“押す”ではなく“置く”ように軽くプレス。
- 剣先や縁のロール部分には圧をかけない。
- 終わったらそのまま動かさず、冷めるまで放置して形を定着させる。
注意点
- 直接アイロンを当てると、テカり・変色・焦げの原因になります。
- シルク素材は特に熱と湿気に弱いため、短時間+当て布越しが鉄則です。
どうしても取れない頑固なシワの処理
長く放置して固定化したシワは、以下の方法で徐々に戻します。
方法①:軽い湿気+重し
ネクタイを平らに置き、ほとんど乾いた布を軽くかぶせて上から雑誌程度の重さをのせ、一晩置きます。
※シルクの場合は湿らせすぎると水ジミになるため要注意。
方法②:プロに依頼
クリーニング店では「軽い成形プレス」を指定できます。
依頼時は以下のように伝えると安心です。
「シルクなので水跡なし・ロールを潰さず、背面から軽いプレスでお願いします。」
シワを防ぐ保管と使い方
せっかく整えたネクタイを再びシワにしないために、保管と日常の扱いにも注意しましょう。
使用後のケア
- 結び目をほどき、軽く形を整える。
- ハンガーに吊るして24〜48時間休ませる(繊維の回復時間)。
収納時のポイント
- 持ち運び時はロール収納
小剣から大剣に向かってゆるく巻き、ケースに入れます。 - 保管場所は乾燥&直射日光NG
湿気対策に除湿剤を使うと◎。
結び方のローテーション
いつも同じ結び方をすると、同一箇所が痛みやすくなります。
日によってノット(結び目)を変えることで、シワや型崩れを防げます。
素材別のシワ取りポイント
| 素材 | 温度・方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| シルク | 低温スチーム(110〜120℃)、当て布必須 | 水分・直熱NG。裏面から軽く。 |
| ウール | 低〜中温スチーム(120〜140℃) | 成形つぶれ注意。短時間で。 |
| ポリエステル | 低〜中温(110〜130℃) | 熱でテカりやすい。スチーム短め。 |
| コットン | 中温(140〜160℃)+スチーム可 | 折り目をつけないよう軽プレス。 |
まとめ
ネクタイのシワをきれいに取る最大のポイントは、
「繊維をリラックスさせる」こと。
強い圧や高温よりも、スチームと休息時間で自然に形を戻す方が美しく仕上がります。
特にシルクは繊細なので、「スチーム→吊るす→自然乾燥」が最も安全。
普段から使用後のケアと収納を意識すれば、ネクタイは長く美しい状態を保てます。
以上、ネクタイのシワの伸ばし方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
