レーヨンとビスコースの違いについて

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服の品質表示タグを見ていると、「レーヨン」と書かれているものもあれば、海外ブランドでは「viscose」と書かれているものもあります。

一見すると別の素材のように見えますが、実はレーヨンとビスコースはまったく別物ではありません

簡単にいうと、ビスコースは、レーヨンに分類される代表的な再生セルロース繊維、またはその製法名として使われる言葉です。

日本では「レーヨン」と表示されることが多く、海外ブランドや輸入衣料では「viscose」と表記されることがあります。

そのため、海外製品のタグに「viscose」と書かれている場合、日本でいうレーヨンに近い素材と考えるとわかりやすいでしょう。

ただし、厳密には、レーヨンは再生セルロース繊維の代表的な種類のひとつであり、モダールやリヨセル、キュプラなども同じ再生セルロース系の仲間として扱われます。

これらは原料が似ていても、製法や性質、表示名が異なる場合があります。

この記事では、レーヨンとビスコースの違いを、素材の特徴や衣類表示、お手入れ方法まで含めて詳しく解説します。

目次

レーヨンとは?

レーヨンとは、木材パルプなどに含まれるセルロースを原料にして作られる再生繊維です。

セルロースとは、植物の細胞壁に含まれる天然由来の成分です。

レーヨンはこのセルロースを一度化学的に溶かし、再び繊維として作り直したものです。

そのため、レーヨンはポリエステルやナイロンのような石油由来の合成繊維とは性質が異なります。

一方で、綿や麻のように自然界の繊維をそのまま使う天然繊維とも違います。

分類としては、次のように考えるとわかりやすいです。

分類代表的な素材特徴
天然繊維綿、麻、シルク、ウール自然界にある繊維をそのまま利用する
合成繊維ポリエステル、ナイロン、アクリル石油などを原料に人工的に合成する
再生繊維レーヨン、キュプラ、リヨセルなど天然由来の成分を一度溶かし、繊維として再生する

レーヨンは「天然由来の原料を使った化学繊維」といえる素材です。

綿や麻のような植物由来の成分を原料にしていますが、製造には化学処理が必要です。

そのため、「天然素材そのもの」ではなく、天然由来の再生繊維と理解するとよいでしょう。

ビスコースとは?

ビスコースとは、レーヨンを作るための代表的な製法、またはその製法で作られた繊維を指す言葉です。

もともと「ビスコース」という言葉は、製造途中でできる粘り気のある液体を指していました。

英語の “viscous” は「粘り気のある」という意味を持ちます。

木材パルプなどのセルロースを薬品で処理し、粘性のある液体にしたあと、細い穴から押し出して繊維状に再生します。

この方法で作られる繊維が、一般的にビスコースレーヨンと呼ばれます。

現在では、海外の衣類表示などで「viscose」と書かれている場合、素材名として使われていることが多く、一般的にはビスコースレーヨンを意味します。

つまり、ビスコースには次の2つの意味があります。

使われ方意味
製法名としてのビスコースレーヨンを作る代表的な製造方法
素材名としてのビスコースビスコース法で作られたレーヨン系繊維

そのため、「ビスコース」と「レーヨン」は完全に切り離された別素材ではありません。

ビスコースは、レーヨンの中でも特に一般的なタイプと考えるとわかりやすいです。

レーヨンとビスコースの違い

レーヨンとビスコースの違いを簡単に整理すると、次のようになります。

項目レーヨンビスコース
意味再生セルロース繊維の代表的な種類レーヨンの代表的な製法、またはその製法で作られた繊維
範囲やや広い素材名レーヨンの中の代表的なタイプ
原料木材パルプなどのセルロース木材パルプなどのセルロース
表示日本の衣類表示でよく使われる海外ブランドや輸入衣料でよく使われる
特徴柔らかい、なめらか、落ち感がある一般的なレーヨンとほぼ同じ
注意点水に弱い、縮みやすい、シワになりやすい水に弱い、縮みやすい、シワになりやすい

最も大きな違いは、言葉の使われ方です。

日本では「レーヨン」と表示されることが多い一方、海外ブランドでは「viscose」と表示されることがあります。

見た目には違う素材のように感じますが、実際にはかなり近い素材です。

ただし、厳密には「レーヨン」は素材名として使われる言葉であり、「ビスコース」は製法名としての意味も持っています。

「レーヨン=ビスコース」と考えてよい?

日常的に服を選ぶ場面では、海外製品の“viscose”は、日本でいう“レーヨン”に近い素材と考えて問題ありません。

たとえば、海外ブランドのタグに次のように書かれていることがあります。

表示日本語での意味
Rayonレーヨン
Viscoseビスコース、ビスコースレーヨン
Viscose rayonビスコースレーヨン
Modalモダール
Lyocellリヨセル
Cuproキュプラ

「viscose 100%」と表示されている服は、日本の感覚では「レーヨン100%」にかなり近い素材感と考えるとわかりやすいです。

ただし、品質表示や販売表示として使う場合は、国や地域ごとの表示ルールに従う必要があります。

一般的な商品説明では「ビスコースはレーヨンの一種」と説明して問題ありませんが、専門的な文章では「ビスコースはレーヨンに分類される代表的な再生セルロース繊維」と表現すると、より正確です。

レーヨン・ビスコースの特徴

レーヨンやビスコースは、ファッション素材として人気の高い繊維です。

特に、次のような特徴があります。

特徴内容
肌ざわりがなめらか表面がなめらかで、柔らかい風合いがある
落ち感がきれいとろみのあるシルエットを作りやすい
光沢があるシルクのような上品なツヤが出やすい
吸湿性がある汗や水分を吸いやすい
涼しく感じやすい肌離れがよく、春夏服にも使われやすい
シワになりやすい畳みジワや着用ジワが残りやすい
水に弱い場合がある濡れると縮みや型崩れが起きやすい
摩擦に注意が必要濡れた状態でこすると傷みやすい場合がある

レーヨンやビスコースの魅力は、なんといってもなめらかな肌ざわりと美しい落ち感です。

ブラウス、ワンピース、スカート、シャツ、パンツ、ルームウェア、裏地など、幅広いアイテムに使われています。

生地にとろみが出やすいため、女性らしいやわらかなシルエットや、上品なドレープを出したい服によく使われます。

レーヨン・ビスコースのメリット

高級感のある見た目になりやすい

レーヨンやビスコースは、シルクのような光沢や、なめらかな質感を持ちやすい素材です。

そのため、シンプルなブラウスやワンピースでも、上品で落ち着いた印象に見えやすくなります。

ポリエステルよりも自然なとろみ感が出ることがあり、カジュアルな服にもきれいめな雰囲気を加えられます。

ドレープが美しい

レーヨンやビスコースは、布がストンと落ちるようなシルエットを作りやすい素材です。

硬さのある綿や麻とは違い、体の動きに合わせてやわらかく揺れるため、ワンピースやスカート、ワイドパンツなどに向いています。

とろみ感のある服を探している場合、レーヨンやビスコースが使われているかどうかはひとつのチェックポイントになります。

肌ざわりがよい

レーヨンやビスコースは、肌に触れたときになめらかで、柔らかく感じやすい素材です。

チクチクしにくく、リラックス感のある着心地を得やすいため、シャツやワンピースだけでなく、パジャマやルームウェアにも使われます。

吸湿性がある

レーヨンやビスコースは、セルロース由来の素材のため、吸湿性があります。

ポリエステルのような合成繊維に比べると、汗を吸いやすく、肌に触れたときに快適に感じられることがあります。

ただし、吸湿性がある一方で、濡れたときに繊維が弱くなったり、縮みやすくなったりする場合があります。

そのため、洗濯や乾燥には注意が必要です。

レーヨン・ビスコースのデメリット

水に弱く、縮みやすい場合がある

レーヨンやビスコースの注意点としてよく挙げられるのが、水に弱いことです。

特に、レーヨン100%やビスコース100%の衣類は、家庭洗濯によって縮みや型崩れが起きることがあります。

水に濡れると繊維が膨らみ、乾く過程でサイズが変わる場合があります。

洗濯機で強く回したり、長時間脱水したりすると、風合いが変わることもあります。

ただし、すべてのレーヨン製品が必ず縮むわけではありません。

実際の扱いやすさは、混紡素材かどうか、生地の厚み、織り方、加工、縫製、洗濯表示によって変わります。

シワになりやすい

レーヨンやビスコースは、柔らかく落ち感がある反面、シワがつきやすい素材です。

座ったときのシワや、畳んで保管したときの折りジワが目立つことがあります。

特に薄手のブラウスやシャツ、ワンピースでは、着用前にアイロンやスチーマーが必要になることもあります。

濡れた状態で摩擦に弱い場合がある

レーヨンやビスコースは、乾いているときよりも濡れているときの方が傷みやすい場合があります。

洗濯中に強くこすったり、濡れたまま強い力を加えたりすると、毛羽立ちや型崩れにつながることがあります。

そのため、洗うときはやさしく扱うことが大切です。

乾燥機に向かないことが多い

レーヨンやビスコースの衣類は、乾燥機の熱や回転によって縮みやすくなる場合があります。

すべての商品に当てはまるわけではありませんが、一般的には乾燥機を避けた方が無難です。

特に、レーヨン100%の薄手衣類や、ビスコース素材のワンピース、ブラウスなどは、自然乾燥を選ぶと安心です。

レーヨン・ビスコースのお手入れ方法

レーヨンやビスコースの服を洗うときは、まず洗濯表示を確認することが大切です。

同じレーヨン素材でも、家庭洗濯できるものと、ドライクリーニングが推奨されるものがあります。

見た目だけで判断せず、必ずタグの表示を確認しましょう。

家庭で洗える場合は、次のようなお手入れが向いています。

お手入れポイント
洗濯方法手洗い、または洗濯機の弱水流コース
洗剤おしゃれ着用の中性洗剤を使う
水温冷水からぬるま湯を使う
脱水短時間にする
干し方形を整えて陰干しする
乾燥機基本的には避ける
アイロン低温〜中温で、必要に応じて当て布を使う
スチーム水ジミや縮みに注意する

洗濯後は、強く絞らず、軽く水気を取ってから形を整えて干します。

薄手のレーヨンやビスコースは、水を含むと重みで伸びることがあるため、ハンガー干しで型崩れしそうな場合は、平干しに近い形で乾かすとよいでしょう。

また、スチームアイロンを使う場合は、水分で縮みや水ジミが起きる可能性もあります。

目立たない部分で試してから使うと安心です。

モダールやリヨセルとの違い

レーヨンやビスコースと似た素材に、モダールやリヨセルがあります。

どちらもセルロースを原料とする再生繊維の仲間ですが、製法や特徴が異なります。

モダール

モダールは、レーヨンと同じ再生セルロース繊維の仲間です。

ビスコースレーヨンを改良した繊維として説明されることが多く、一般的なレーヨンよりも柔らかさや寸法安定性に優れるものがあります。

肌ざわりが非常になめらかで、下着、Tシャツ、カットソー、ルームウェアなどによく使われます。

レーヨンらしい落ち感がありながら、よりしっとりとした風合いを持つものも多い素材です。

リヨセル

リヨセルも、木材パルプなどのセルロースを原料にした再生繊維の一種です。

レーヨンやビスコースと同じセルロース系の素材ですが、製法が異なります。

リヨセルは、従来型のビスコースとは別の方法で作られるため、素材表示上も別の名称として扱われます。

代表的なブランド名としては、「TENCEL™ Lyocell」があります。

リヨセルは、なめらかな肌ざわりや落ち感がありながら、比較的丈夫で扱いやすい素材として使われることがあります。

シャツ、パンツ、ワンピース、デニム、寝具など、幅広いアイテムに使われています。

また、閉ループ型の製法で作られるリヨセルは、従来型のビスコースよりも環境負荷を抑えやすい素材として紹介されることがあります。

ただし、実際の環境負荷は、原料の調達方法や製造管理によっても変わります。

キュプラ

キュプラは、綿花から綿を取ったあとに残る短い繊維、いわゆるコットンリンターを原料にする再生セルロース繊維です。

日本では「ベンベルグ」という商標名でも知られています。

キュプラはすべりがよく、静電気が起きにくい特徴があるため、スーツやジャケット、コートなどの裏地によく使われます。

レーヨンやビスコースと同じ再生繊維の仲間ですが、原料や製法、用途が異なります。

衣類を選ぶときのチェックポイント

レーヨンやビスコースの衣類を選ぶときは、素材名だけでなく、次のポイントも確認しましょう。

チェックポイント見るべき内容
混率レーヨン100%か、他素材との混紡か
洗濯表示家庭洗濯できるか、ドライクリーニング推奨か
生地の厚み薄手か、厚手か
織り方・編み方布帛か、カットソーか
用途普段着か、きれいめ服か、裏地か
シワの出やすさ持ち歩きや旅行に向くか
乾きやすさ洗濯後の扱いやすさ

レーヨン100%やビスコース100%の服は、とろみや光沢が出やすい一方で、洗濯や保管には注意が必要です。

扱いやすさを重視するなら、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどと混紡されたものを選ぶのもよいでしょう。

混紡素材は、シワや縮みを抑えやすかったり、伸縮性が加わったりする場合があります。

一方で、レーヨンならではの落ち感や高級感を重視するなら、レーヨンやビスコースの比率が高い生地の方が魅力を感じやすいでしょう。

レーヨン・ビスコースはどんな服に向いている?

レーヨンやビスコースは、次のような服に向いています。

向いているアイテム理由
ブラウスなめらかで上品な印象を出しやすい
ワンピース落ち感やドレープがきれいに出る
スカート動いたときの揺れ感が美しい
ワイドパンツとろみのあるシルエットを作りやすい
シャツ綿よりも柔らかく、きれいめに見えやすい
ルームウェア肌ざわりがよく、リラックス感がある
裏地すべりがよく、着心地を高めやすい

特に、体に沿って自然に落ちるようなシルエットを出したい服には向いています。

反対に、ハリ感や形のキープ力を重視する服には、レーヨンやビスコースだけでは物足りない場合があります。

ジャケットや構築的なシルエットの服では、ポリエステルやウール、綿、ナイロンなどと組み合わせた生地の方が向いていることもあります。

レーヨンとビスコースに関するよくある疑問

レーヨンとビスコースは同じ素材ですか?

完全に同じ言葉ではありませんが、かなり近い意味で使われます。

ビスコースは、レーヨンに分類される代表的な繊維、またはその製法名として使われる言葉です。

日常的な服選びでは、海外表記の「viscose」は日本の「レーヨン」に近い素材と考えるとわかりやすいです。

ビスコース100%はレーヨン100%と同じですか?

一般的な素材感としては、かなり近いです。

ただし、厳密には「ビスコース100%」はビスコース法で作られたレーヨン系繊維を指す表現です。

日本の品質表示では「レーヨン」と表示されることが多いため、消費者向けには同じような素材として説明されることが多いです。

レーヨンは天然素材ですか?

レーヨンは天然由来のセルロースを原料にしていますが、天然繊維そのものではありません。

綿や麻のように自然界の繊維をそのまま使うのではなく、セルロースを一度化学的に処理して繊維として再生します。

そのため、レーヨンは天然由来の再生繊維と考えるのが正確です。

レーヨンは洗濯できますか?

商品によります。

レーヨンやビスコースは水に弱い場合があるため、家庭洗濯できないものもあります。

一方で、洗える加工がされているものや、他素材と混紡されているものは、家庭で洗える場合もあります。

必ず洗濯表示を確認し、表示に従ってお手入れしましょう。

レーヨンとポリエステルはどちらが涼しいですか?

一般的には、レーヨンの方が吸湿性があり、肌に触れたときに涼しく感じやすいことがあります。

ただし、実際の涼しさは素材名だけでなく、生地の厚み、織り方、通気性、シルエット、加工によって変わります。

薄手で通気性のよいポリエステルの方が快適に感じる場合もあります。

まとめ

レーヨンとビスコースは、まったく別の素材ではありません。

ビスコースは、レーヨンに分類される代表的な再生セルロース繊維、またはその製法名として使われる言葉です。

日本では「レーヨン」と表示されることが多く、海外ブランドでは「viscose」と表記されることがあります。

そのため、海外製品で「viscose」と書かれている場合、日本でいうレーヨンに近い素材と考えるとわかりやすいでしょう。

レーヨンやビスコースには、なめらかな肌ざわり、上品な光沢、美しい落ち感、吸湿性といった魅力があります。

一方で、水に弱い、縮みやすい、シワになりやすいといった注意点もあります。

衣類を選ぶときは、素材名だけで判断するのではなく、洗濯表示、混率、生地の厚み、用途もあわせて確認することが大切です。

扱いやすさを重視するなら混紡素材を、レーヨンらしいとろみや高級感を重視するならレーヨンやビスコースの比率が高い素材を選ぶとよいでしょう。

以上、レーヨンとビスコースの違いについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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