社長(会社役員)のスーツ代を「経費」として会社の損金にできるかどうかは、税務上かなり慎重に判断されるポイントです。
以下で詳しく整理します。
目次
原則:スーツ代は経費にならない
- スーツは「私的費用」とみなされるケースが大半です。
税務上、「役員や従業員が日常的に着るスーツ」は、仕事だけでなく私生活でも利用できるため 「必要経費」ではなく「個人的な生活費」 と判断されることが多いです。 - よって、社長が普段の取引や営業で着用する一般的なビジネススーツ代を会社経費に計上すると、否認されるリスクが高いです。
経費として認められる可能性がある例外
ただし、全てがNGではなく「業務専用」と明確に区分できるものは経費性が認められる可能性があります。
経費になるケース
- 会社の制服としてのスーツ
会社が特定のデザイン・色で統一し、社員全員に着用を義務付けている場合。
例:航空会社の客室乗務員の制服、ホテルマンの専用スーツ。 - 社名やロゴ入りで私用に使えないもの
会社のロゴが刺繍されており、日常生活で使えない場合。 - 舞台衣装・イベント衣装的なもの
テレビ出演や広告撮影など、「演出目的の衣装」として使う場合。
経費にならないケース
- 普通のビジネススーツ(高級ブランドであっても同じ)
- 社長の個人的な嗜好で選んだスーツ
- 冠婚葬祭や私生活でも使えるもの
経費計上した場合のリスク
- 税務調査で否認される可能性大
認められない場合、会社の経費から外され、社長の「給与(役員報酬)」扱いになることがあります。 - その結果、
- 法人税の追徴
- 社長個人の所得税の追徴
につながる可能性があります。
実務的な対応策
- スーツ代は原則「経費計上しない」のが無難。
- どうしても必要な場合は、
- 社名やロゴを入れる
- 社内規程を作り、役員・社員の服装を明確に「制服」と位置付ける
- 撮影・イベントなど、業務専用の用途を証拠として残す
といった形で、業務専用性を示せるようにしておく必要があります。
まとめ
- 普通のスーツ代 → 経費不可(私的支出扱い)
- 業務専用で私用不可と明確に区分できる衣装・制服 → 経費計上可能
- 認められるかどうかは「業務専用性」と「私的利用の有無」がポイントです。
もし「社長が出演する広告撮影で特注スーツを用意する」や「社員全員に同じデザインのスーツを着せる」といった特殊ケースなら、経費にできる可能性は高まります。
以上、社長のスーツ代は経費になるのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。