ワイシャツの脱水時間は、素材の種類・洗濯機の性能・仕上げ方(アイロン or ノーアイロン)によって大きく変わります。
「長く回すほど良く乾く」と思われがちですが、実はやりすぎるとしわが深く刻まれたり、生地が傷んだりすることもあります。
ここでは、素材別・目的別・機種別に、プロが推奨する“正確な脱水の考え方”を解説します。
基本の考え方:時間よりも「仕上がりの状態」で判断する
脱水の最終目標は、生地の残り水分量(RMC)を適正に保つこと。
以下の3段階を目安にすると、どんな洗濯機でもブレません。
| 仕上がり状態 | 水分の目安 | 向いている目的 |
|---|---|---|
| しっとり湿っている | 触るとひんやりするが滴らない | アイロンがけを前提とする |
| ややしっとり | 厚い部分が少し湿っている程度 | 自然乾燥(部屋干し・外干し) |
| ほぼ乾き気味 | 滴りゼロで冷たすぎない | 乾燥機仕上げ・時短重視 |
この「触感チェック」を基準に、時間設定は補助的に考えましょう。
素材別の最適な脱水設定
綿(コットン)100%
- 目標状態:しっとり(30秒〜2分目安)
- 綿はしわになりやすいため、脱水しすぎないのがポイント。
- ドラム式なら600〜800rpm・1〜3分、縦型なら弱脱水1〜2分が目安です。
- 終了後すぐにハンガーに掛け、襟や袖を軽く引いて形を整えるとシワが最小限に抑えられます。
綿ポリ(混紡シャツ)
- 目標状態:ややしっとり(1〜3分目安)
- ポリエステルが混ざることで乾きやすく、しわにも強くなります。
- ドラム式なら800〜1000rpm・2〜4分、縦型なら標準脱水2〜4分でOK。
- アイロン仕上げでも1分ほど早めに止めれば、しっとり感が残り扱いやすくなります。
ポリエステル主体・形態安定シャツ
- 目標状態:ほぼ乾き気味(2〜4分目安)
- シワがつきにくいため、中〜高回転の脱水(1000rpm前後)でも問題ありません。
- 取り出した直後にハンガーへ掛けて形を整えることで、ノーアイロンでも美しい仕上がりに。
洗濯機タイプ別の脱水調整
ドラム式洗濯機
- 回転数が高いため短時間で水が切れる反面、シワが入りやすい。
- 綿シャツは低速モード(600〜800rpm)で1〜3分が理想。
- 綿ポリや形態安定シャツは800〜1000rpm・2〜4分でしっかり水を切りましょう。
縦型洗濯機
- 回転数が低く、やや長めの脱水でもダメージが少ない。
- 綿100%は弱脱水1〜2分、混紡・ポリ系は標準脱水2〜4分が目安。
- 取り出し後は即座にハンガーへ。放置するとシワが固定されやすくなります。
乾燥機を使う場合の注意点
「脱水を短くすれば縮まない」と思われがちですが、それは誤解です。
縮みや静電気の主因は乾燥機内の高温と過乾燥にあります。
正しい順序は次の通りです。
- 脱水をしっかり行う(滴りゼロ)
- 乾燥機は低温・短時間で運転
- 乾いたらすぐ取り出す(過乾燥防止)
この方法なら、乾燥効率が上がり、静電気・縮み・型崩れのリスクを最小限に抑えられます。
室内干し・ニオイ対策
室内干しで嫌な臭いが出る原因は「水分残りすぎ」。
したがって、室内干し時は1〜2分ほど長めに脱水して、その分風量・除湿機・サーキュレーターを併用するのが効果的です。
また、干す際は以下のポイントを意識しましょう。
- 肩幅に合うハンガーを使用(型崩れ防止)
- 前立てや袖を軽く引いて面を整える
- 袖口や襟の縫い目をピンと伸ばす
これだけでアイロンの手間が大幅に減ります。
コース設定の選び方
各メーカーの「おしゃれ着」「シャツ」「しわケア」などのコースは、一般的に低速スピン+短時間脱水を組み合わせた設定になっています。
実際の時間は機種によって異なりますが、選ぶ基準は次の通りです。
- シワを減らしたい → おしゃれ着コース / しわケアコース
- 通常仕上げ → 標準コース
- アイロン仕上げ前提 → 手動で短時間脱水
まとめ:素材・目的別のベストバランス
| 素材・条件 | 目的 | 推奨設定(目安) | ポイント |
|---|---|---|---|
| 綿100% | アイロン仕上げ | 600〜800rpm/1〜3分 | 水分を少し残す |
| 綿ポリ混紡 | 自然乾燥 | 800〜1000rpm/2〜4分 | 標準コースでOK |
| ポリエステル系 | ノーアイロン仕上げ | 1000rpm前後/2〜4分 | 取り出し直後に整形 |
| 乾燥機使用 | 時短・効率重視 | 脱水しっかり → 低温短時間乾燥 | 過乾燥を防ぐ |
| 室内干し | ニオイ防止 | 標準〜やや長め脱水 | 風・除湿を併用 |
最後に:時間よりも「仕上がりを感じる」
脱水時間は機種によって異なり、数値だけで正解を決めることはできません。
最も大切なのは、「取り出したときの触感」と「干し方のタイミング」です。
一度基準を決めたら、実際の仕上がりを確認して、「あと30秒長く」「rpmを少し落とす」など微調整していくのがベストです。
これが、ワイシャツを清潔・美しく・長持ちさせるための最も確実な方法です。
以上、ワイシャツの脱水にかかる時間についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
