「パンプス」という言葉は、日本では一般的に女性用のヒール靴を指す言葉として広く知られています。
しかし、この言葉の歴史をたどると、もともとは現在とは少し違う意味で使われていました。
また、語源についても完全に確定しているわけではなく、いくつかの説が存在しています。
ここでは、パンプスという言葉の語源や意味の変化について、歴史的背景を含めて詳しく解説します。
パンプス(pump)の語
英語の pump(パンプ) という靴の名称は、16世紀半ばの英語文献にすでに登場している言葉です。
語源辞典などによると、1550年代頃には次のような意味で使われていました。
pump
- 留め具のない靴
- 低い靴
- 軽くてスリッパのような靴
- 室内で履く靴
つまり当初の pump は、現在のパンプスのようなハイヒールではなく、軽くてシンプルな履き物を指していました。
なお、この言葉の語源は完全には確定していません。語源辞典では「語源不明(unknown origin)」とされることが多く、いくつかの仮説が存在します。
語源に関する主な説
パンプスという言葉の由来については、いくつかの説があります。
pomp(華やかさ)由来説
一つの説は、フランス語 pompe や英語 pomp(華やかさ・儀式・盛装)と関係があるというものです。
この説では
華やかな装い
→ 礼装
→ 礼装に合わせる靴
という意味の変化が起こったと考えられています。
ただし、この説は有力な仮説の一つではあるものの、語源として確定しているわけではありません。
擬音語説
別の説では、靴を履くときの音や動作を表す擬音語(onomatopoeia)から生まれた可能性も指摘されています。
ただし、この説も決定的な証拠はなく、語源として確定しているわけではありません。
初期のパンプスはどんな靴だったのか
16世紀から18世紀にかけての pump は、現在のパンプスとは少し違う靴でした。
特徴は次の通りです。
- 留め具(紐・バックル)がない
- 軽い
- 靴底が薄い
- 低い靴
- 室内用として使われることが多い
つまり、現代でいう
- スリッポン
- 室内用シューズ
- 軽いドレスシューズ
に近い存在でした。
フォーマル靴としてのパンプ
歴史の中で、pump はフォーマルな場面でも使われる靴になりました。
特に有名なのが オペラパンプ(opera pump) です。
これは次のような特徴を持つフォーマル靴です。
- ベルベット素材
- 小さなリボン付き
- 薄い靴底
この靴は現在でも、タキシードなどのブラックタイの服装に合わせる正式な靴として知られています。
女性の靴としてのパンプス
現代では、パンプスという言葉は主に女性のドレスシューズを意味するようになっています。
英語では次のような意味で使われます。
pump / pumps
- 留め具のない靴
- 足を滑り込ませて履く靴
- 女性用のドレスシューズ
- ヒールのある靴
ただし英語では、日本語より意味の幅が広く、
- フラットシューズ
- ヒールのある靴
の両方を指すことがあります。
イギリス英語とアメリカ英語の違い
英語圏では、パンプスにあたる言葉が少し異なります。
アメリカ英語
pumps
女性のヒール靴を指すことが多い。
イギリス英語
court shoes
日本語のパンプスに近い意味で使われる。
日本語「パンプス」の意味
日本では、パンプスという言葉は次のような靴を指すことが一般的です。
- 女性用
- ヒール付き
- 甲が浅い
- 紐やストラップがない
つまり、日本語のパンプスは、英語の pump よりも意味がかなり限定されています。
機械の「ポンプ」との関係
「水をくみ上げるポンプ(pump)」という言葉と、靴の pump は、同じ綴りですが語源は別と考えられています。
機械の pump は、中世ヨーロッパの言語(オランダ語など)に由来するとされており、靴の pump とは別系統の言葉です。
まとめ
パンプスという言葉の歴史を整理すると、次のようになります。
- 16世紀
留め具のない軽い靴を意味する pump が英語に登場 - 近世ヨーロッパ
フォーマルな軽い靴として使われる - 現代英語
女性用のドレスシューズを指すことが多い - 日本語
女性用ヒール靴を意味する言葉として定着
また、語源については確定しているわけではなく、いくつかの説が存在する言葉であることも重要なポイントです。
以上、パンプスの語源についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









