ワイシャツは生地が薄く、負荷のかかりやすい脇・肩・袖まわりを中心に小さな裂けが生じやすい衣類です。
しかし、破れの大きさや位置に合わせて縫い方を選べば、手縫いでも十分きれいに補修することが可能です。
ここでは、「破れの種類に応じた最適な縫い方」「自然に仕上げるためのプロのコツ」を、手順ごとにわかりやすくまとめました。
用意する道具と基本の考え方
ワイシャツは薄手で繊細な布地が多いため、道具選びは仕上がりの差に直結します。
必要な道具
- 細い縫い針(9〜11号)
シャツ生地にスムーズに入り、縫い跡が目立ちにくい。 - 生地に合った色の細い糸(ポリエステル推奨)
自然光で色合わせすると失敗しない。 - 小回りの利くハサミ・糸通し
- アイロン
縫う前後の軽いプレスで「仕上がりの美しさ」が大幅に向上。 - 当て布用の薄手コットン生地(大きな破れ用)
破れの大きさで縫い方を変えるのが鉄則
| 破れの状態 | 最適な方法 |
|---|---|
| 1cm以下の小さな裂け | はしごまつり(すくい縫い) |
| 1〜3cmの裂け | かがり縫い → はしごまつり → 補強ステッチ |
| 3cm以上 | 当て布 → かがり縫い → 補強ステッチ |
※脇・肩など、テンションがかかる部位は2cm程度でも当て布推奨。
1cm以下の小さな破れは「はしごまつり」で目立たず直す
細い裂け目なら、最も自然な仕上がりになるのがはしごまつり(ラダーステッチ)です。
“表にほぼ針目を出さずに裂けを閉じる”ため、白シャツでも非常に目立ちにくいのが特徴。
手順
裂けの形を整え、軽くアイロンを当てて平らに。
飛び出した糸は無理に引かず、先端だけ整える。
糸を40〜60cmほど用意し、裏側から針を出す。
裂け目の左右を交互に浅くすくって縫う。
2〜3mm幅が理想。
糸が“はしご”のように内側で渡り、締めると裂けが閉じる。
左布 右布
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────(糸)
裂けが閉じたら裏側で玉止めし、仕上げにアイロン。
1〜3cmの中くらいの破れは「縁処理+閉じ縫い+補強」が必須
裂けがやや長い場合、縫うだけでは再び破れやすくなるため、次の3ステップが効果的です。
- かがり縫いで端のほつれを防ぐ
- はしごまつりで裂けを閉じる
- 半返し縫い(バックステッチ)で裏から補強
手順
破れの端をかがり縫いで処理
生地のフチを斜め方向にすくい、糸で囲むように縫い進める。
これがほつれ防止に強力。
生地を寄せてはしごまつりで裂けを閉じる
裏側から半返し縫いで補強する
縫い戻りながら進むステッチで、手縫いで最も強度を出せる方法。
針目は2〜3mmが理想。
3cm以上の大きな破れは「当て布」で土台を補強するのが鉄則
3cmを超える裂けは、生地が薄いワイシャツでは手縫いだけで強度を確保するのが難しくなります。
そのため、裏側に当て布をあて、破れ部分を支える“土台”を作ることが必須。
※脇・肩など負荷箇所なら2cm前後でも当て布を検討。
手順
当て布を破れより5〜8mm大きく裁断
風合いが近い薄手の生地(ローン・ブロード)が理想。
裏側に当て布を配置し、アイロンで軽く仮留め
接着シートを併用すると作業が安定。
ただし“接着だけで終わらせない”ことが重要。
表側から破れの端をかがり縫いして固定
裏側から半返し縫いで本体と当て布を一体化させる
強度が飛躍的に向上し、洗濯でもほつれにくくなる。
部位別のコツ:同じ破れでも最適解が変わる
補修の難易度は破れの「位置」でも大きく変わります。
脇
腕の動きで常に引っ張られるため、補強ステッチ必須。
当て布を使うと長持ちする。
袖口
縫い代が多く厚みがあるため、短い針が扱いやすい。
仕上げのアイロンで段差が消えやすくなる。
肩・背中
表面に出やすい部位なので、針目を細かく・糸色にこだわることが重要。
マットな糸が馴染みやすい。
補修をより美しく見せるためのプロの仕上げ技
自然光で糸色を合わせる
白シャツでも微妙な「青み」「黄み」の違いがある。
縫う前後のアイロンは必須
生地が均一に整い、縫い跡が目立ちにくくなる。
玉止めは小さくまとめ、表に響かせない
大きすぎると膨らみが透けることがある。
針目は小さくリズムよく
針目の乱れは仕上がりの印象を最も損なう要因。
まとめ:破れのサイズと位置を見極めれば、手縫いでも自然な補修が可能
- 1cm以下 → はしごまつり
- 1〜3cm → かがり縫い+はしごまつり+半返し縫い
- 3cm以上 → 当て布+かがり縫い+補強
- 脇・肩 → 小さくても当て布検討
以上、ワイシャツの破れを手縫いする方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
