通夜・葬儀・告別式で喪服を着る場合、ネクタイピンはつけないのが一般的です。
ネクタイピンには、ネクタイのずれや動きを防ぐ実用的な役割があります。
しかし、金属製で光沢があるものが多く、装飾品として見られやすいため、故人を悼む場では外しておくのが無難です。
ネクタイピンをつけたからといって、必ずしも重大なマナー違反になるわけではありません。
ただし、葬儀では華美な装いを避けることが基本であるため、特別な事情がない限りは使用しないほうが安心です。
葬儀でネクタイピンをつけないほうがよい理由
金属の光沢が目立ちやすいため
一般的なネクタイピンは、シルバーやゴールドなどの金属で作られています。
小さなものであっても、会場の照明を反射して光ることがあります。
葬儀では、服装や小物をできるだけ控えめにすることが求められるため、光沢のあるネクタイピンは避けたほうがよいでしょう。
特に、ゴールドや鏡面仕上げのもの、宝石やラインストーンがついたものは、弔事の場では華やかに見える可能性があります。
装飾品として見られやすいため
ネクタイピンはネクタイを固定するための道具ですが、現在ではスーツ姿をおしゃれに見せるアクセサリーとしても使われています。
葬儀では、服装によって自分を華やかに見せることよりも、故人や遺族への配慮を示すことが大切です。
本人におしゃれをする意図がなくても、デザイン性の高いネクタイピンは装飾品として受け取られることがあります。
そのため、あえて身につけないほうが誤解を招きにくくなります。
外しても服装に大きな支障がないため
通常は、ネクタイピンをつけなくても喪服としての着こなしに問題はありません。
黒無地のネクタイを適切な長さで結び、ネクタイの細いほうを裏側のループに通しておけば、大きく乱れることは少ないでしょう。
ネクタイピンを使用する必要性が低い場合は、迷わず外しておくのが安全です。
通夜でもネクタイピンは外したほうがよい?
通夜でもつけないのが基本
通夜であっても、ネクタイピンはつけないのが一般的です。
かつては、通夜には突然の訃報を聞いて急いで駆けつけるという意味から、仕事着や地味な平服で参列することもありました。
しかし、現在は通夜でも黒いスーツや準喪服を着用する人が多く、葬儀・告別式と同様に控えめな装いが求められます。
仕事帰りに通夜へ向かう場合は、黒いネクタイに替える際にネクタイピンも外しておくとよいでしょう。
つけたまま来てしまっても慌てる必要はない
うっかりネクタイピンをつけたまま会場に入ってしまったとしても、必要以上に心配する必要はありません。
式が始まる前に気づいた場合は、目立たない場所で外し、ポケットやバッグにしまいましょう。
すでに着席している場合は、読経中や焼香の直前に慌てて触ると、かえって動作が目立つことがあります。
休憩や移動など、周囲の迷惑にならないタイミングで外せば問題ありません。
家族葬でもネクタイピンはつけないほうがよい?
家族葬であっても、ネクタイピンはつけないほうが無難です。
家族葬とは、主に参列者の範囲や葬儀の規模を表す言葉です。
家族や親しい人だけで行われるからといって、必ずしも服装のマナーが一般葬より緩くなるわけではありません。
通常の喪服で参列する場合は、一般葬と同じように装飾品を控え、ネクタイピンも外しておきましょう。
ただし、遺族から「普段着でお越しください」「明るい服装で参列してください」など、具体的な案内がある場合は、その意向を優先します。
法事・法要ではネクタイピンをつけてもいい?
法事や法要では、案内状の服装指定や施主の意向に従うことが大切です。
準喪服を着る場合は外すのが無難
四十九日や一周忌などで、黒いスーツと黒無地のネクタイを着用する場合は、葬儀と同様にネクタイピンを外しておくのが無難です。
法要であっても、故人をしのぶ場であることに変わりはありません。
光沢や装飾のある小物は避けたほうがよいでしょう。
平服指定でも目立つものは避ける
三回忌以降などでは、「平服でお越しください」と案内されることがあります。
この場合の平服は、普段着を意味するとは限りません。
一般的には、黒、濃紺、チャコールグレーなどのダークスーツに、地味な色柄のネクタイを合わせます。
控えめなネクタイピンであれば直ちに失礼になるとは限りませんが、法事でも装飾品は控えるのが安全です。
迷った場合は使用しないほうがよいでしょう。
回忌だけで服装を判断しない
法事の服装は、何回忌であるかだけでは決まりません。
地域の慣習、寺院や会場の格式、施主の考え方、親族間の取り決めなどによっても異なります。
「三回忌以降だからネクタイピンをつけてもよい」と一律に判断せず、案内状の内容や施主の意向を確認しましょう。
どうしてもネクタイを固定したい場合は?
ネクタイが動きやすい場合でも、まずはネクタイピンを使わない方法を試しましょう。
ネクタイの小剣をループに通す
ネクタイの裏側には、細いほうの剣先である「小剣」を通すためのループがあります。
小剣を正しくループに通しておけば、ネクタイの表側と裏側がばらばらになりにくくなります。
ネクタイの長さを適切に調整することも大切です。
太いほうの先端がベルト付近にくるように結ぶと、動いたときにも乱れにくくなります。
ジャケットを適切に着用する
立っている間は、スーツの仕様に応じてジャケットのボタンを適切に留めることで、ネクタイが大きく動くのを抑えられます。
ただし、スーツのボタンの留め方は、1つボタン、2つボタン、3つボタン、ダブルスーツなどによって異なります。
一律にすべてのボタンを留めるのではなく、スーツの仕様に合わせることが大切です。
身体上の事情がある場合は目立たない方法を選ぶ
身体上の事情や仕事上の役割などにより、ネクタイを固定する必要がある場合もあります。
その場合は、黒色で光沢がなく、外からほとんど見えない留め具を選ぶとよいでしょう。
ただし、安全ピンなどで無理に固定すると、シャツやネクタイを傷めたり、けがをしたりする可能性があります。
一般的な参列者であれば、無理に固定する必要はありません。
葬儀で避けたほうがよいネクタイピン
やむを得ずネクタイピンを使用する場合でも、目立つデザインは避けましょう。
ゴールドや光沢の強いもの
金色のネクタイピンや、鏡のように光を反射するものは、華やかな印象を与えます。
弔事には適さないため、使用しないほうがよいでしょう。
宝石やラインストーンがついたもの
宝石、色石、ラインストーンなどがついたネクタイピンも避けます。
小さな装飾であっても、照明を反射すると目立つことがあります。
ブランドロゴが大きく入ったもの
ブランド名やロゴが目立つネクタイピンは、ファッション性が強くなります。
故人を悼む場では、自分の好みやブランドを主張するように見える小物は控えたほうがよいでしょう。
趣味を表すモチーフ入りのもの
動物、乗り物、楽器、スポーツ用品、キャラクターなどをかたどったネクタイピンも、葬儀には向いていません。
故人の趣味に関連するデザインであっても、遺族から特別な案内がない限り、一般参列者が身につけるのは避けたほうが無難です。
真珠がついたもの
真珠は女性の弔事用アクセサリーとして使われることがありますが、男性の真珠付きネクタイピンも同じように認められるとは限りません。
真珠がついていても、ネクタイピン自体が装飾品であるため、葬儀では使用しないほうが安心です。
ネクタイピン以外に注意したい小物
カフスボタン
一般的な参列者は、カフスボタンを必要としない白無地のシャツを選ぶのが無難です。
カフスボタンを使用する場合は、ゴールドや宝石付きなどの華やかなものを避け、黒やシルバーを基調とした目立たないものを選びます。
カフスボタンそのものが絶対に禁止されているわけではありませんが、装飾性のあるものは弔事に適していません。
ポケットチーフ
ポケットチーフについては礼装上の異なる考え方もありますが、現代の日本の一般的な葬儀では、挿さない装いが無難です。
白や黒のポケットチーフであっても、装飾的に見える可能性があります。
迷った場合は使用しないほうがよいでしょう。
腕時計
腕時計は必ず外さなければならないわけではありません。
つける場合は、黒やシルバーを基調とした小ぶりでシンプルなものを選びます。
ゴールド、大型、宝石付き、派手な文字盤などの時計は避けましょう。
スマートウォッチを使用する場合は、通知音を消し、画面が頻繁に点灯しないように設定しておくことも大切です。
ベルト
ベルトは黒無地で、バックルが小さく目立たないものを選びます。
大きなブランドロゴが入ったバックルや、ゴールドの金具、装飾の多いデザインは避けましょう。
靴
靴は、黒のシンプルな革靴が基本です。
金具が目立つもの、エナメルのように強い光沢があるもの、派手なステッチや装飾がついたものは、弔事には適していません。
喪主や遺族はネクタイピンをつけてもいい?
喪主や遺族も、装飾性のあるネクタイピンは避けるのが一般的です。
喪主や遺族は、立場や葬儀の形式によって、一般参列者より格式の高い喪服を着る場合があります。
しかし、服装の格式が高いことと、装飾品を多く身につけることは別の問題です。
喪主や遺族であっても、光沢やデザイン性のあるネクタイピンは使用せず、控えめな装いを心がけましょう。
ネクタイピンをつけてしまうと失礼になる?
ネクタイピンをつけていたからといって、必ずしも重大な失礼になるわけではありません。
葬儀の服装マナーには、法律のような統一された決まりがあるわけではなく、地域や家庭、葬儀の形式によって考え方が異なることもあります。
ただし、日本の一般的な葬儀では、ネクタイピンをつけない装いが広く受け入れられています。
周囲に不快感を与える可能性をできるだけ減らすためにも、特別な事情がなければ外しておくのが安心です。
まとめ
喪服を着て通夜・葬儀・告別式に参列する場合、ネクタイピンはつけないのが一般的です。
ネクタイピンにはネクタイを固定する実用性がありますが、金属の光沢や装飾性が弔事の場では目立つことがあります。
仕事先から通夜へ向かう場合も、黒いネクタイに替える際にネクタイピンを外しておきましょう。
家族葬や法事であっても、遺族や施主から特別な服装指定がない限り、使用しないほうが無難です。
身体上の事情などで固定が必要な場合は、黒色で光沢がなく、外からほとんど見えない方法を選びます。
判断に迷ったときは、目立たないネクタイピンを選ぶよりも、何もつけないことが最も安全な選択です。
以上、喪服でネクタイピンをつけてもいいのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










