ビスコース素材とは、木材パルプなどに含まれるセルロースを原料にして作られる再生セルロース繊維です。
植物由来の原料を使っていますが、綿や麻のような天然繊維ではありません。
セルロースを化学的に処理していったん溶かし、再び繊維として作り直すため、分類上は再生繊維にあたります。
日本の衣類表示では、ビスコース素材は多くの場合「レーヨン」と表示されます。
一方、海外ブランドや輸入服では「Viscose」「Viscose Rayon」と表記されることもあります。
ビスコースは、なめらかな肌触り、上品な光沢、とろみのある落ち感が魅力の素材です。
ブラウス、ワンピース、スカート、スカーフ、ワイドパンツなど、きれいめな印象を出したい服によく使われます。
ただし、水に弱く、縮みやシワ、型崩れが起きやすいという注意点もあります。
見た目や肌触りは魅力的ですが、扱い方には少し気をつけたい素材です。
ビスコース素材の正体
ビスコースは、木材パルプなどから取り出したセルロースを原料にして作られます。
セルロースとは、植物の細胞壁に多く含まれる成分です。
このセルロースを薬品で溶かし、細い繊維状に再生して作られるのがビスコース素材です。
つまり、ビスコースは植物由来の原料を使った人工的な繊維といえます。
素材の分類で見ると、次のようになります。
| 分類 | 主な素材 |
|---|---|
| 天然繊維 | 綿、麻、ウール、シルク |
| 再生繊維 | レーヨン、ビスコース、キュプラ、リヨセル、モダール |
| 半合成繊維 | アセテート、トリアセテート |
| 合成繊維 | ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン |
ビスコースは「木からできている」と説明されることがありますが、綿や麻のようにそのまま繊維として使うわけではありません。
原料は植物由来でも、製造工程では化学的な処理を行うため、天然繊維ではなく再生繊維と理解するのが正確です。
ビスコースとレーヨンの違い
ビスコース素材を理解するときに、特に混乱しやすいのがレーヨンとの違いです。
結論からいうと、ビスコースは一般的にレーヨンの代表的な種類、またはレーヨンを作る代表的な製法として扱われます。
日本の品質表示では、ビスコース繊維は多くの場合「レーヨン」と表示されます。
そのため、服のタグに「ビスコース」と書かれていなくても、「レーヨン」と表示されていれば、ビスコース系の素材である可能性があります。
一方、海外ブランドでは「Viscose」と表記されることがよくあります。
特にヨーロッパ系ブランドのワンピースやブラウス、シャツ、スカートでは「Viscose 100%」という表記を見かけることがあります。
分かりやすく整理すると、次のようになります。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| レーヨン / Rayon | 再生セルロース繊維の総称として使われることが多い |
| ビスコース / Viscose | ビスコース法で作られるレーヨン系素材 |
| ビスコースレーヨン | ビスコース法によるレーヨンを指す表現 |
| モダール | レーヨン系の再生セルロース繊維の一種 |
| リヨセル | 再生セルロース系繊維の一種。レーヨンとは区別して表示されることがある |
| キュプラ | コットンリンターなどを原料にした再生セルロース繊維 |
一般的な衣類選びでは、ビスコース=レーヨン系のなめらかな素材と理解しておけば大きな問題はありません。
ただし、より正確に言うなら、ビスコースは「レーヨンの一種」と単純に言い切るより、ビスコース法で作られる再生セルロース繊維と説明するほうが丁寧です。
ビスコース素材の特徴
ビスコース素材の魅力は、なんといってもなめらかで上品な質感です。
天然繊維のようなやさしい風合いを持ちながら、シルクのような光沢や落ち感を出しやすい素材として使われています。
なめらかな肌触り
ビスコースは、肌に触れたときにやわらかく、なめらかな感触があります。
チクチクしにくく、さらっとした肌触りのため、ブラウスやワンピース、インナー、スカーフなどにも向いています。
特に春夏向けの服では、ビスコース特有のひんやりとした感触が心地よく感じられることがあります。
ただし、肌触りはビスコースそのものだけで決まるわけではありません。
生地の織り方、編み方、厚み、加工、混紡素材によっても変わります。
上品な光沢がある
ビスコースは、シルクのような自然な光沢を出しやすい素材です。
強くギラギラした光沢ではなく、やわらかく上品なツヤが出やすいのが特徴です。
そのため、カジュアルな服でもきれいめに見えたり、シンプルなデザインでも高級感が出たりします。
ただし、すべてのビスコース生地に強い光沢があるわけではありません。
マットな質感に仕上げたビスコース生地もあります。
正確には、光沢感を出しやすい素材と考えるとよいでしょう。
とろみと落ち感がある
ビスコース素材の大きな特徴が、とろみのある落ち感です。
生地が硬く張るのではなく、下にすとんと落ちるようなドレープが出ます。
この落ち感によって、ワンピースやスカートは動いたときにきれいに揺れ、ブラウスやシャツはやわらかく上品な印象になります。
ビスコースがよく使われるアイテムには、次のようなものがあります。
| アイテム | ビスコースが向いている理由 |
|---|---|
| ブラウス | なめらかで上品に見える |
| ワンピース | きれいなドレープが出やすい |
| スカート | 揺れ感や落ち感が出る |
| ワイドパンツ | すとんと落ちてすっきり見える |
| スカーフ | 肌触りがよく、光沢も出やすい |
| シャツ | やわらかく、きれいめな印象になる |
体のラインをやや拾いやすい場合もありますが、しなやかで女性らしいシルエットを出したい服にはとても相性のよい素材です。
吸湿性がある
ビスコースはセルロース由来の繊維なので、吸湿性があります。
ポリエステルなどの合成繊維に比べると汗を吸いやすく、肌にまとわりつきにくいと感じることがあります。
そのため、春夏のブラウスやワンピース、シャツなどにもよく使われます。
ただし、吸湿性があるからといって、速乾性が高いわけではありません。
ビスコースは水分を含みやすい一方で、乾くのに時間がかかることがあります。
汗を大量にかく場面や、スポーツ、アウトドア、旅行用の速乾服には、ポリエステルやナイロン系の機能素材のほうが向いている場合があります。
発色がきれい
ビスコースは染色性がよく、色がきれいに出やすい素材です。
鮮やかな色や深みのある色、プリント柄などと相性がよく、花柄ワンピースや柄シャツなどにも多く使われます。
海外ブランドのワンピースやブラウスにビスコース素材が使われることが多いのは、発色のよさと落ち感を両立しやすいためです。
ビスコース素材のメリット
ビスコース素材には、見た目と着心地の両方で多くのメリットがあります。
高級感が出やすい
ビスコースは、なめらかな質感と自然な光沢によって、服に上品な印象を与えます。
シンプルなデザインでもきれいめに見えやすく、ブラウスやワンピースでは高級感を演出しやすい素材です。
シルクほど高価ではないものの、シルクに近い雰囲気を出しやすいため、手頃な価格で上品な服を楽しみたい人にも向いています。
肌触りがよい
ビスコースはやわらかく、肌あたりがなめらかです。
ごわつきにくく、チクチクしにくいため、肌に直接触れる服にも使われます。
特に薄手のビスコース生地は、さらっとした着心地で、春夏のトップスやワンピースに適しています。
きれいなシルエットを作りやすい
ビスコースは落ち感があるため、服のシルエットがきれいに出やすい素材です。
広がりすぎず、すとんと落ちるため、ワイドパンツやロングスカートでもすっきり見えることがあります。
硬い素材では出しにくい、やわらかなドレープや揺れ感を表現できるのも魅力です。
吸湿性があり、蒸れにくく感じることがある
ビスコースは水分を吸いやすい性質があるため、ポリエステル100%の服に比べると蒸れにくく感じる場合があります。
汗をかいたときの不快感が少ないと感じる人もいます。
ただし、汗を吸ったあとに乾きやすい素材ではないため、真夏に長時間汗をかく場面では注意が必要です。
ビスコース素材のデメリット
ビスコースは魅力的な素材ですが、扱いやすさという面では注意点もあります。
特に、洗濯や水濡れには気をつける必要があります。
水に弱く、縮みやすい
ビスコース素材の大きな弱点は、水に弱いことです。
水に濡れると繊維が膨らみ、縮みや型崩れが起きることがあります。
特にビスコース100%、レーヨン100%の服は、家庭洗濯によって丈が短くなったり、身幅が詰まったり、斜めに歪んだりすることがあります。
そのため、洗濯前には必ず洗濯表示を確認することが大切です。
シワになりやすい
ビスコースはやわらかい反面、シワがつきやすい素材です。
洗濯ジワ、座りジワ、収納ジワが目立つことがあります。
特に薄手のビスコースブラウスやワンピースは、洗濯後にアイロンやスチームで整えないと、シワが気になる場合があります。
ただし、ポリエステルやナイロンなどと混紡されている場合は、シワになりにくく加工されていることもあります。
濡れると強度が落ちやすい
ビスコースは、乾いているときよりも濡れているときのほうが弱くなりやすい素材です。
濡れた状態で強く引っ張ったり、ねじったり、こすったりすると、生地が傷む原因になります。
洗濯時に強く絞ったり、長時間つけ置きしたり、強い脱水をかけたりするのは避けたほうが安全です。
摩擦に弱いものがある
ビスコース素材は、摩擦によって毛羽立ちや白化が起きることがあります。
バッグが当たる部分、袖口、脇、腰回り、椅子に触れる部分などは、摩擦によるダメージが出やすい場所です。
特に濃い色のビスコース生地では、摩擦による白っぽさが目立つことがあります。
水ジミができることがある
ビスコースは水分を吸いやすいため、雨や汗、部分的な水濡れによって水ジミのように見えることがあります。
光沢のある生地や濃色の生地では、濡れた部分だけ質感が変わって見えることもあります。
雨の日に着る場合や、汗をかきやすい場面では注意が必要です。
ビスコース素材は暑い?涼しい?
ビスコースは、一般的には涼しく感じやすい素材です。
なめらかで肌離れがよく、吸湿性もあるため、春夏向けの服にもよく使われます。
特に薄手のビスコースブラウスやワンピースは、さらっと着られて涼しく感じることがあります。
ただし、涼しさはビスコース素材だけで決まるわけではありません。
生地の厚み、織り方、裏地の有無、デザイン、混紡素材によって大きく変わります。
たとえば、薄手のビスコース100%のシャツは涼しく感じやすい一方で、厚手のビスコース混ニットや裏地付きのワンピースは、夏には暑く感じることもあります。
また、ビスコースは吸湿性がありますが、速乾性が高いわけではありません。
汗をたくさんかくと乾きにくく、湿った感じが残る場合があります。
ビスコース素材は冬にも使える?
ビスコースは春夏素材のイメージが強いですが、冬物にも使われます。
秋冬のニット、スカート、ワイドパンツ、ワンピース、ジャケットの裏地などに使われることがあります。
ウールやポリエステル、ナイロンなどと混紡されることで、肌触りや落ち感、しなやかさを加える役割をします。
ただし、ビスコース自体はウールのように保温性を主目的とした素材ではありません。
冬物で使われる場合は、暖かさよりも、なめらかさ、光沢、落ち感、肌触りのよさを出す目的が大きいです。
また、ビスコースは吸湿性があるため、ポリエステルなどの合成繊維に比べると静電気が気になりにくい場合があります。
ただし、静電気は湿度や重ね着、裏地、摩擦相手によっても変わるため、完全に防げるわけではありません。
ビスコース素材の洗濯方法
ビスコース素材の服を洗うときは、必ず洗濯表示を確認しましょう。
家庭洗濯できるものもありますが、ドライクリーニング指定のものもあります。
特にビスコース100%、レーヨン100%の服は、家庭で洗うと縮みや型崩れが起きることがあるため注意が必要です。
家庭洗濯が可能な場合は、次のポイントを意識すると安心です。
| 洗濯のポイント | 理由 |
|---|---|
| 洗濯表示を確認する | 洗えるかどうかは製品によって違うため |
| 裏返して洗濯ネットに入れる | 摩擦や毛羽立ちを防ぐため |
| 中性洗剤を使う | 生地への負担を抑えるため |
| 水またはぬるま湯で洗う | 熱による縮みを避けるため |
| 短時間でやさしく洗う | 水に長く浸けると傷みやすいため |
| 脱水は短くする | シワや型崩れを防ぐため |
| 乾燥機は使わない | 縮みや変形の原因になりやすいため |
| 形を整えて陰干しする | シルエットを保つため |
手洗いする場合
ビスコース素材を手洗いする場合は、洗面器に水を入れ、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かします。
服を裏返して軽く押し洗いし、こすらず短時間で洗うのがポイントです。
すすぎもやさしく行い、脱水はタオルで挟んで水分を取る程度にします。
ねじり絞りは避けましょう。
干すときは、形を整えて陰干しします。
重みで伸びやすい服は、ハンガーではなく平干しにすると安心です。
洗濯機で洗う場合
洗濯機で洗える表示がある場合は、必ず洗濯ネットを使いましょう。
コースは「手洗いコース」「ドライコース」「おしゃれ着コース」など、弱い水流のものを選びます。
脱水は短時間にし、洗濯が終わったらすぐに取り出します。
濡れたまま放置すると、シワや色移り、型崩れの原因になることがあります。
ビスコース素材のアイロン方法
ビスコース素材はシワになりやすいため、アイロンが必要になることがあります。
ただし、熱や水分に弱い場合があるため、洗濯表示を確認してから行いましょう。
アイロンをかけるときは、次の点に注意してください。
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 低温から中温でかける | 高温で生地を傷めることがあるため |
| あて布を使う | テカリや変色を防ぐため |
| 裏側からかける | 表面の光沢変化を防ぎやすいため |
| 強く押しつけない | 生地が伸びたりつぶれたりしやすいため |
| スチームは慎重に使う | 水ジミや縮みが出ることがあるため |
ビスコースは水ジミが出ることがあるため、霧吹きやスチームを使う場合は、目立たない部分で試してから行うと安心です。
ビスコース素材の服を選ぶときのポイント
ビスコース素材の服を選ぶときは、デザインだけでなく、混率と洗濯表示を確認することが大切です。
ビスコース100%・レーヨン100%の場合
ビスコース100%やレーヨン100%の服は、素材本来のなめらかさ、光沢、落ち感が出やすいです。
ワンピースやブラウス、スカーフなどでは、上品な雰囲気を楽しめます。
一方で、縮みやシワ、型崩れには注意が必要です。
頻繁に洗いたい日常着としては、やや扱いにくい場合があります。
ポリエステル混の場合
ポリエステルが混ざっているビスコース素材は、シワになりにくさや乾きやすさ、寸法安定性が改善されることがあります。
ビスコースの落ち感や肌触りを残しながら、扱いやすさを高めたい場合に向いています。
ただし、ポリエステルの混率が高くなると、ビスコース特有の吸湿性やとろみ感は弱まる場合があります。
ナイロン混の場合
ナイロンが混ざると、強度や軽さが加わることがあります。
ニットやパンツ、スカートなどに使われることがあります。
摩擦への耐性が高まる場合もありますが、これも生地の設計や加工によって異なります。
ポリウレタン混の場合
ポリウレタンが少し混ざっている場合は、ストレッチ性が出ます。
カットソー、パンツ、ワンピースなど、動きやすさが必要な服に使われることがあります。
ただし、ポリウレタンは熱や経年劣化に弱いため、乾燥機や高温アイロンは避けるのが無難です。
ウール混の場合
ウールにビスコースが混ざっている場合は、なめらかさや落ち感を加える目的で使われることがあります。
秋冬のニットやスカート、パンツなどに見られます。
ウールの暖かさに、ビスコースのしなやかさを加えた素材と考えると分かりやすいです。
ビスコース素材が向いている服
ビスコース素材は、やわらかさや落ち感を活かした服に向いています。
| 向いている服 | 理由 |
|---|---|
| ブラウス | なめらかで上品に見える |
| ワンピース | ドレープがきれいに出る |
| ロングスカート | 揺れ感が出やすい |
| ワイドパンツ | 落ち感で脚のラインがきれいに見えやすい |
| シャツ | カジュアルすぎず、きれいめに着られる |
| スカーフ | 光沢と肌触りを活かせる |
| 裏地 | すべりがよく、肌あたりがやわらかい |
特に、きれいめな印象を出したい服、やわらかく見せたい服、動いたときの揺れ感を出したい服には適しています。
ビスコース素材が向いていない使い方
一方で、ビスコースは耐久性や速乾性を重視する用途にはあまり向いていません。
| 向いていない用途 | 理由 |
|---|---|
| スポーツウェア | 速乾性や耐久性が高くないため |
| アウトドア服 | 水濡れや摩擦に弱いことがあるため |
| 雨の日の外出着 | 水ジミや型崩れが起きやすいため |
| 毎日洗う作業着 | 縮みやシワが気になりやすいため |
| 旅行用の速乾服 | 乾きにくい場合があるため |
| 長時間座る服 | 座りジワがつきやすいため |
日常的に洗いやすい服を選ぶなら、ビスコース100%よりも、ポリエステルやナイロンとの混紡素材のほうが扱いやすい場合があります。
ビスコースと綿の違い
ビスコースと綿は、どちらも植物由来の成分を持つ素材ですが、分類や質感は異なります。
綿は、綿花から取れる天然繊維です。
一方、ビスコースは木材パルプなどのセルロースを化学的に処理して作る再生繊維です。
| 比較項目 | ビスコース | 綿 |
|---|---|---|
| 分類 | 再生繊維 | 天然繊維 |
| 原料 | 木材パルプなどのセルロース | 綿花 |
| 質感 | なめらか、とろみ、光沢 | ナチュラル、ややマット |
| 落ち感 | 出やすい | 生地によるが比較的自然 |
| 吸湿性 | ある | ある |
| 速乾性 | 高くない | 高くない |
| シワ | つきやすい | つきやすい |
| 洗濯 | 縮みや型崩れに注意 | 比較的扱いやすいものが多い |
綿はカジュアルで日常使いしやすい素材、ビスコースはよりきれいめで落ち感を出しやすい素材と考えると分かりやすいです。
ビスコースとポリエステルの違い
ビスコースとポリエステルは、どちらも衣類によく使われる素材ですが、性質は大きく異なります。
ポリエステルは石油由来の合成繊維です。
ビスコースは植物由来のセルロースを原料にした再生繊維です。
| 比較項目 | ビスコース | ポリエステル |
|---|---|---|
| 分類 | 再生繊維 | 合成繊維 |
| 原料 | 植物由来セルロース | 石油由来原料 |
| 肌触り | なめらか、ひんやりしやすい | 生地によって幅広い |
| 吸湿性 | 比較的高い | 低め |
| 速乾性 | 高くない | 高い |
| シワ | つきやすい | つきにくい |
| 縮み | 起きやすい場合がある | 起きにくい |
| 耐久性 | 摩擦や水濡れに注意 | 比較的高い |
| 見た目 | 落ち感、光沢が出やすい | 加工により幅広い |
着心地や吸湿性を重視するならビスコース、洗濯のしやすさや速乾性を重視するならポリエステルが向いています。
ビスコースとリヨセルの違い
リヨセルも、ビスコースと同じくセルロースを原料にした再生セルロース系繊維です。
ただし、製法や性質に違いがあります。
リヨセルは、ビスコースよりも濡れたときの強度が高いとされることが多く、比較的扱いやすい素材として使われます。
また、製造工程で溶剤を回収・再利用する仕組みが採用されることがあり、環境負荷に配慮した素材として紹介されることもあります。
| 比較項目 | ビスコース | リヨセル |
|---|---|---|
| 分類 | 再生セルロース繊維 | 再生セルロース繊維 |
| 質感 | やわらかく、落ち感がある | なめらかで、ややしっかり感がある |
| 濡れたときの強度 | 落ちやすい | 比較的高い |
| 洗濯 | 縮みや型崩れに注意 | 比較的扱いやすいものもある |
| 環境面 | 製法により差が大きい | 閉鎖循環型製法が特徴とされることがある |
ただし、リヨセルだから必ず洗濯が簡単というわけではありません。
実際の扱いやすさは、製品ごとの洗濯表示や生地加工によって変わります。
ビスコースとモダールの違い
モダールも、ビスコースと同じく再生セルロース系の繊維です。
一般的には、ビスコースよりもやわらかく、洗濯耐性を高めた素材として使われることがあります。
モダールは、インナー、Tシャツ、下着、ルームウェア、寝具など、肌触りを重視するアイテムによく使われます。
| 比較項目 | ビスコース | モダール |
|---|---|---|
| 分類 | 再生セルロース繊維 | 再生セルロース繊維 |
| 質感 | とろみ、光沢、落ち感 | 非常にやわらかく、なめらか |
| 用途 | ブラウス、ワンピース、スカート | インナー、Tシャツ、下着、ルームウェア |
| 洗濯 | 縮みやシワに注意 | 比較的扱いやすいものもある |
ビスコースはきれいめな服に使われることが多く、モダールは肌着やリラックスウェアに使われることが多い素材です。
ビスコースとキュプラの違い
キュプラは、コットンリンターと呼ばれる綿実の周りの短い繊維を主な原料にした再生セルロース繊維です。
ビスコースと同じくなめらかで光沢があり、吸湿性もあります。
特に日本では、スーツやジャケット、コートの裏地に使われることが多い素材です。
| 比較項目 | ビスコース | キュプラ |
|---|---|---|
| 分類 | 再生セルロース繊維 | 再生セルロース繊維 |
| 原料 | 木材パルプなど | コットンリンターなど |
| 質感 | やわらかく落ち感がある | なめらかで上品 |
| 用途 | 表地、ワンピース、ブラウスなど | 裏地、ブラウス、スカーフなど |
| 注意点 | 水濡れ・縮み・シワに注意 | 水濡れ・シワに注意 |
キュプラはすべりがよく、静電気が起きにくいとされることがあるため、高級裏地として使われることもあります。
ビスコース素材は環境に優しいのか
ビスコースは植物由来の原料を使うため、環境に優しいイメージを持たれることがあります。
しかし、植物由来だから必ずエコとは言い切れません。
ビスコースの環境負荷は、主に次の要素によって変わります。
| 確認したい点 | 内容 |
|---|---|
| 原料の調達 | 適切に管理された森林由来か |
| 製造工程 | 化学薬品の管理が適切か |
| 排水処理 | 工場で排水や薬品を適切に処理しているか |
| トレーサビリティ | 原料から製品までの管理が明確か |
| 認証 | FSC認証などの森林認証があるか |
つまり、ビスコースは「木からできているから環境に優しい」と単純に判断するのではなく、どのような原料を使い、どのような工場で、どのように作られているかを見ることが大切です。
環境面を意識して選ぶなら、次のような表記が参考になります。
| 表記 | 参考になる理由 |
|---|---|
| FSC認証 | 適切に管理された森林由来の原料か判断しやすい |
| LENZING ECOVERO | 環境負荷に配慮したビスコースとして展開されている |
| TENCEL Modal | 環境配慮型のモダールとして知られる |
| TENCEL Lyocell | 閉鎖循環型製法を特徴とするリヨセル |
ただし、これらの表記があるからといって、環境負荷が完全にゼロになるわけではありません。
あくまで、より配慮された素材を選ぶための判断材料と考えるとよいでしょう。
ビスコース素材のメリット・デメリットまとめ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 肌触りがなめらか | 水に弱い |
| 上品な光沢が出やすい | 縮みやすい |
| とろみのある落ち感がある | シワになりやすい |
| 吸湿性がある | 濡れると強度が落ちやすい |
| 発色がきれい | 摩擦に弱いものがある |
| きれいめな服に向いている | 乾燥機に弱い |
| シルク風の雰囲気を出しやすい | 洗濯表示の確認が必要 |
ビスコース素材が向いている人
ビスコース素材は、次のような人に向いています。
| 向いている人 | 理由 |
|---|---|
| 上品な服が好きな人 | 光沢や落ち感がきれいに出るため |
| 肌触りを重視する人 | なめらかでやわらかいため |
| ワンピースやブラウスをよく着る人 | 素材の雰囲気と相性がよいため |
| きれいめカジュアルが好きな人 | カジュアルすぎず上品に見えやすいため |
| 春夏にさらっと着られる服が欲しい人 | 吸湿性があり、ひんやり感じやすいため |
一方で、毎回洗濯機で気軽に洗いたい人、乾燥機を使いたい人、アイロンをかけたくない人には、やや扱いにくい素材かもしれません。
ビスコース素材を長持ちさせるコツ
ビスコース素材の服を長くきれいに着るには、次の点を意識するとよいです。
- 洗濯表示を必ず確認する
- 水に長時間浸けない
- 強くこすらない
- ねじり絞りをしない
- 脱水は短くする
- 乾燥機は使わない
- 形を整えて陰干しする
- バッグやベルトとの摩擦に注意する
- アイロンはあて布をして低温から試す
- 雨の日や汗をかきやすい日は水ジミに注意する
ビスコースはデリケートな素材ですが、丁寧に扱えば、独特の上品な風合いを楽しめます。
まとめ
ビスコース素材とは、木材パルプなどに含まれるセルロースを原料にして作られる再生セルロース繊維です。
日本の品質表示では、多くの場合「レーヨン」と表示されます。
原料は植物由来ですが、綿や麻のような天然繊維ではありません。
セルロースを化学的に処理して繊維として再生するため、分類上は再生繊維にあたります。
ビスコースの魅力は、なめらかな肌触り、上品な光沢、とろみのある落ち感、きれいな発色です。
ブラウス、ワンピース、スカート、スカーフなど、きれいめな服と相性がよく、シルクのような雰囲気を手頃に楽しめる素材として人気があります。
一方で、水に弱い、縮みやすい、シワになりやすい、濡れると傷みやすいというデメリットもあります。
洗濯するときは、必ず製品ごとの洗濯表示を確認し、強い脱水や乾燥機は避けるのが安心です。
扱いやすさを重視するなら、ビスコース100%よりもポリエステルやナイロンとの混紡素材を選ぶとよい場合があります。
素材感を重視するなら、ビスコース100%ならではの美しい落ち感やなめらかさを楽しめます。
以上、ビスコース素材とはなんなのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





