ブレザーの印象を大きく左右するのが、胸元まわりの「襟」のデザインです。
ただし、厳密に言うと、一般に「襟」とまとめて呼ばれがちな部分には、服飾上は襟(カラー)とラペルという別の要素があります。
まずはここを整理すると、ブレザーの見方がかなりわかりやすくなります。
まず知っておきたい「襟」と「ラペル」の違い
ジャケットの首まわりには、大きく分けて次の部分があります。
襟(カラー)
首の後ろから前にかけて続く部分です。
いわゆる「襟そのもの」にあたります。
ラペル
前身頃が折り返され、胸元に見えている部分です。
多くの人がブレザーの「襟の形」として見ているのは、実際にはこのラペルです。
つまり、ブレザーの見た目を決めるうえで特に重要なのは、襟全体というより、ラペルの形・幅・角度だと考えると理解しやすいです。
ブレザーでよく見られるラペルの種類
ブレザーで代表的なのは、主に次の3種類です。
ノッチラペル
もっとも標準的で、最も広く使われている形です。
襟とラペルの境目に、V字型の切れ込みがあります。これを「ノッチ」と呼びます。
特徴
- シングルブレザーで特によく見られる
- クセが少なく、扱いやすい
- ビジネス寄りにもカジュアル寄りにも合わせやすい
印象
- 端正
- 落ち着いている
- 汎用性が高い
- 初めての1着でも失敗しにくい
ネイビーのシングルブレザーにノッチラペル、という組み合わせはかなり王道です。
ピークラペル
ラペルの先端が上向きに鋭く伸びている形です。
ノッチラペルよりも存在感があり、華やかで力強い印象を与えます。
特徴
- ダブルブレザーでよく見られる
- シングルでも使われることがある
- 胸元に立体感や迫力が出やすい
印象
- ドレッシー
- クラシック
- 力強い
- 華やか
ブレザーらしい重厚感や格式感を出したい場合には、ピークラペルはとても相性が良いです。
ショールカラー
ノッチやピークのような切れ込みがなく、襟から前身頃までがなだらかな曲線でつながる形です。
特徴
- タキシードやディナージャケットに多い
- 一般的なブレザーではあまり多くない
- 柔らかく流れるようなラインが出る
印象
- 上品
- エレガント
- ややフォーマル
- 少し個性的
日常的なブレザーでは定番とは言いにくいですが、洒落感のあるデザインでは見かけます。
ラペル幅で印象はかなり変わる
ラペルは種類だけでなく、幅によっても見え方が変わります。
細めのラペル
- すっきり見える
- シャープな印象になる
- やや現代的に見えやすい
ただし、極端に細いと流行の影響を受けやすく、長く着たときに時代感が出ることがあります。
広めのラペル
- 貫禄が出る
- クラシックな印象になりやすい
- 胸元に存在感が出る
ただし、体格とのバランスが合わないと、襟元だけが強く見えることがあります。
基本の考え方
ラペル幅は、肩幅・胸まわり・全身のバランスとの相性が大切です。
細すぎても太すぎても個性が強く出るため、長く使いやすいのは中庸な幅です。
ゴージとは何か
ブレザーを見るときに知っておくと便利なのが、ゴージという部分です。
ゴージとは、襟とラペルが接続している位置のことです。
ノッチラペルやピークラペルでは、この接続位置がはっきり見えます。
ゴージが高い場合
- 重心が上がって見えやすい
- すっきり、シャープに見えることがある
ゴージが低い場合
- 落ち着いた印象に見えることがある
- ややクラシックに感じられることがある
ただし、これは絶対的なルールではなく、全体のカットやラペルの角度との組み合わせで印象が変わると考えるのが正確です。
良いブレザーはラペルの返り方が自然
見た目の上質さを左右するのは、ラペルの種類だけではありません。
ラペルがどう返っているかも大切です。
自然な返り
良いジャケットは、ラペルが胸の上で不自然に折れず、なめらかに返って見えることが多いです。
首まわりへの沿い方
襟が首の後ろにきちんと沿っていると、仕立てがよく見えます。
逆に、首の後ろに大きく隙間ができると、サイズ感や構造に違和感が出やすくなります。
胸元の立体感
平面的にべたっと見えるものより、胸から襟にかけて自然な立体感があるものの方が上質に見えやすいです。
ブレザーで多いラペルの傾向
ブレザーにはさまざまなデザインがありますが、定番としては次の傾向があります。
シングルブレザー
- ノッチラペルが定番
- 最も使いやすく、着回しやすい
ダブルブレザー
- ピークラペルがよく使われる
- よりクラシックで存在感が出やすい
もちろん例外はありますが、一般的にはこの理解で大きく外れません。
素材によって襟元の見え方も変わる
同じラペル形状でも、生地の違いで雰囲気は変わります。
ウール
- 標準的
- 立体感が出やすい
- 上品で万能
ホップサック
- ブレザーで人気が高い
- 通気性があり軽快
- 表面感があり、程よくカジュアル
フランネル
- やわらかく温かみがある
- 秋冬らしい雰囲気になる
コットンやリネン混
- 軽くラフな印象
- きっちりしすぎない雰囲気になる
ここは厳密な「襟の定義」というより、素材による見え方の違いとして捉えるとよいです。
ブレザーの襟元を見るときのチェックポイント
購入時には、次の点を見ると失敗しにくくなります。
ラペル幅が全体に合っているか
体格に対して狭すぎないか、広すぎないかを見ます。
首まわりが浮いていないか
首の後ろが不自然に浮いていないかを確認します。
ラペルの返りが自然か
胸元で不自然に折れていないか、つぶれていないかを見ます。
Vゾーンの深さとのバランス
ボタン位置や前合わせとのバランスで、印象はかなり変わります。
全体のテイストと合っているか
クラシックなブレザーなのにラペルだけ極端に細い、などの違和感がないかを見ると判断しやすいです。
初めて選ぶならどんな襟がよいか
初めてブレザーを選ぶなら、最も使いやすいのは次のようなタイプです。
- シングル
- ノッチラペル
- ラペル幅は中くらい
- ネイビー
- ウールまたはホップサック系
この形はクセが少なく、仕事寄りにもきれいめカジュアルにも合わせやすいです。
まとめ
ブレザーの「襟」を正確に見るなら、注目すべきなのは主にラペルです。
そして見るポイントは、次の4つです。
- 形
ノッチか、ピークか、ショールか - 幅
細いか、広いか、中庸か - ゴージ
接続位置が高いか低いか - 返り方
自然で立体的かどうか
要点をシンプルに言うと、
- ノッチラペルは最も標準的で万能
- ピークラペルは華やかで力強い
- ショールカラーはエレガントでフォーマル寄り
という理解で大きく外れません。
そして、最初の1着として最も失敗しにくいのは、中庸な幅のノッチラペルのシングルブレザーです。
以上、ブレザーの襟についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










