タキシード(Tuxedo/Dinner Jacket)は、ブラックタイ(Black Tie)と呼ばれるドレスコードに対応する、夜の準礼装(セミフォーマル)です。
伝統的には夕方から夜(一般に18時以降)に着用され、晩餐会、披露宴、表彰式、ガラパーティーなど、格式と華やかさが求められる場で用いられます。
夜の正礼装にあたる燕尾服(ホワイトタイ)よりは格式を一段下げつつも、日常的なスーツとは明確に異なる、非日常性と公式性を備えた装いがタキシードです。
タキシードを特徴づける最大の要素「拝絹」
タキシードとスーツを分ける決定的なディテールが、拝絹(はいけん)の存在です。
拝絹とは、サテンやグログランなどの光沢のあるシルク素材を指し、主に以下の部分に使われます。
- ジャケットの襟(ラペル)
- パンツの側章(外側のライン)
拝絹は夜間照明のもとで美しく映え、タキシードに特有の華やかさと格式感を生み出します。
これがない場合、見た目は黒いスーツに近づいてしまいます。
ジャケットの特徴
襟(ラペル)の種類
タキシードに用いられるラペルは、伝統的に次の2種類が主流です。
- ショールカラー
丸みを帯びた一体型の襟で、最もクラシックかつエレガントな印象。 - ピークドラペル
襟先が上向きに尖ったデザインで、格式と存在感があります。
スーツで一般的なノッチドラペルは、本来はタキシードには不向きとされてきました。
現代では例外的に見られることもありますが、格式を重視する場ではショールまたはピークが無難です。
ボタンと構造
- シングルの1つボタンが最も一般的
- ボタン表面も拝絹で包まれることが多い
- 肩からウエストにかけて立体的に構築され、着用者の体型を美しく見せる設計
パンツの特徴
タキシードのパンツには、礼装としての明確な決まりがあります。
- 外側に側章(拝絹のライン)が入る
- ベルトループなしが原則
- ベルトは使わず、サスペンダーで吊る
- 裾はシングル(折り返しなし)
これらはすべて、夜のフォーマルウェアとしての伝統に基づいた仕様です。
シャツの特徴
タキシードには専用のフォーマルシャツを合わせます。
- ウイングカラー(立ち襟)
または - フォーマル仕様のレギュラーカラー
胸元は以下のいずれかが一般的です。
- プリーツ(縦ひだ)
- ピンタック
- 装飾のないプレーン
ボタンにはスタッドボタン(飾りボタン)を用いるのが正式とされています。
ネクタイの基本ルール
タキシードでは、蝶ネクタイ(ボウタイ)が基本です。
- 色は黒
- これが「ブラックタイ」という名称の由来
ロングネクタイは、厳密にはブラックタイの定義から外れます。
ただし、日本の結婚式など演出性を重視する場では、例外的に用いられることもあり、その場合は「タキシード風スタイル」と理解すると適切です。
ウエスト周りの装飾
シャツの裾やパンツ上部を隠し、全体を引き締めるために、以下のいずれかを用います。
カマーバンド
- 腰回りを覆う帯状の装飾
- プリーツは上向き
- 基本色は黒
ベスト
- タキシード専用のローカットベスト
- 通常のスーツ用ベストとは形が異なる
※ カマーバンドとベストは併用せず、どちらか一方のみ
靴と小物
靴
- 最も格式が高いのはエナメルのオペラパンプス
- 代替として、装飾のない黒の内羽根ストレートチップも可
小物
- 白のポケットチーフ(TVフォールド)
- カフリンクス
- 場合により白手袋
スーツとの違い
| 項目 | タキシード | スーツ |
|---|---|---|
| 襟 | 拝絹あり | 共布 |
| パンツ | 側章あり | 側章なし |
| ネクタイ | 蝶ネクタイ | ロングタイ |
| 着用時間 | 夜が基本 | 制限なし |
| 格式 | 夜の準礼装 | 略礼装 |
まとめ
タキシードは「黒いスーツ」ではなく、夜の社交空間で、品格・祝祭性・非日常感を最大限に表現するために完成された装いです。
拝絹、蝶ネクタイ、側章、着用時間帯といった基本を理解すれば、形式だけでなく立ち居振る舞いまで洗練された印象を与えることができます。
以上、タキシードの特徴についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
