葬儀や通夜、告別式で喪服を着る場合は、黒くて装飾の少ない、落ち着いたデザインのパンプスを合わせるのが基本です。
足元は意外と目につきやすいため、黒い靴であっても、強い光沢や大きな装飾があるものは弔事にふさわしくない印象を与えることがあります。
喪服に合わせるパンプスで迷ったときは、次の条件を満たすものを選ぶと安心です。
- 色は黒
- 無地で装飾が少ない
- 強い光沢がない
- つま先とかかとが隠れている
- ヒールが高すぎない
- 歩いたときに音が響きにくい
- 長時間でも安全に歩ける
ただし、妊娠中や高齢、けが、足の痛みなどの事情がある場合は、形式よりも安全性を優先して問題ありません。
喪服のパンプスに適した色
基本は黒を選ぶ
喪服に合わせるパンプスは、黒を選ぶのが基本です。
濃紺やダークグレー、こげ茶なども落ち着いた色ではありますが、葬儀や告別式では黒のパンプスが最も無難です。
室内では黒に見える靴でも、屋外や明るい場所では色の違いが分かることがあります。
特別な事情がなければ、全体が黒で統一された靴を選びましょう。
靴底や内側まで完全な黒である必要はない
靴底の接地面や靴の内側、縫い糸まで、すべて完全な黒でなければならないという決まりはありません。
周囲から見える部分が黒く、明るい差し色や目立つ装飾がなければ、細部まで過度に気にする必要はないでしょう。
喪服のパンプスに適した素材
光沢を抑えた素材が基本
弔事用のパンプスには、光沢を抑えた素材が適しています。
代表的なのは、次のような素材です。
- 黒無地の布
- 光沢の少ない本革
- 光沢の少ない合成皮革
- 落ち着いた織物素材
伝統的なブラックフォーマルでは、黒い布製パンプスが格式の高い選択とされています。
ただし、一般の参列者が必ず布製を用意しなければならないわけではありません。
現代の葬儀では、つやを抑えた黒の革製や合成皮革のパンプスも広く着用されています。
本革のパンプスでも問題ない
黒の本革パンプスは、光沢や装飾が控えめであれば、葬儀でも着用できます。
弔事では動物素材を避けるという説明を見かけることがありますが、一般的なスムースレザーの本革まで避ける必要はありません。
ただし、表面につやがありすぎるものや、型押しが強く目立つものは控えたほうが安心です。
爬虫類柄やアニマル柄は避ける
ワニ革やヘビ革を思わせる柄、動物の模様が目立つ素材は、弔事には不向きです。
本物の革でなくても、見た目が爬虫類柄やアニマル柄になっているものは避けましょう。
たとえば、次のようなデザインです。
- クロコダイル調
- パイソン調
- リザード調
- ヒョウ柄
- ファー付き
- 毛足が目立つ素材
- 大きく目立つ型押し
スエードは積極的には選ばないほうが無難
黒のスエードパンプスは、光沢が少なく落ち着いて見えることがあります。
一方で、起毛感があるため、季節性やカジュアルな印象が出やすい素材でもあります。
スエードを履いたからといって直ちに重大なマナー違反になるわけではありませんが、ほかに選べる場合は、黒の布製やスムースレザー、合成皮革のプレーンパンプスを優先すると安心です。
エナメルやラメ入りは避ける
エナメルやラメ、メタリック加工など、照明を強く反射する素材は弔事には向きません。
布製であっても、サテンのように強い光沢があり、華やかに見えるものは避けたほうがよいでしょう。
パンプスのつま先に関するマナー
つま先が隠れるデザインを選ぶ
葬儀では、つま先が隠れるパンプスを選ぶのが基本です。
弔事用として選びやすい形には、次のようなものがあります。
- ラウンドトゥ
- アーモンドトゥ
- 控えめなスクエアトゥ
いずれも落ち着いた印象になりやすく、喪服に合わせやすいデザインです。
オープントゥは避ける
つま先が開いたオープントゥパンプスやサンダルは、弔事には不向きです。
夏の葬儀であっても、つま先が隠れる靴を選ぶのが一般的です。
ポインテッドトゥは尖りすぎに注意する
ポインテッドトゥが一律に禁止されているわけではありません。
ただし、先端が極端に尖ったデザインは、ファッション性や華やかさが強く見えることがあります。
先端が控えめな形であれば着用できますが、迷ったときはラウンドトゥやアーモンドトゥを選ぶと安心です。
かかとのデザインに関するマナー
かかとが覆われたパンプスが基本
正式な弔事では、かかとが覆われた一般的なパンプスが最も無難です。
次のような靴は、カジュアルな印象や肌の露出が大きくなるため、避けたほうがよいでしょう。
- ミュール
- サンダル
- かかとが大きく開いた靴
- 脱げやすい靴
足のけがやむくみなどの事情で通常のパンプスを履けない場合は、露出や装飾が少なく、安全に歩ける黒い靴を優先してください。
バックストラップは正式な場では避けるのが無難
バックストラップパンプスは、一般的なプレーンパンプスよりも肌の露出が増えます。
そのため、葬儀や告別式では、かかと全体が覆われたパンプスのほうが無難です。
ただし、足の事情によって通常のパンプスを履けない場合まで、無理に避ける必要はありません。
ストラップ付きパンプスは履いてもよいか
目立たないデザインなら着用できる
甲や足首にストラップが付いたパンプスでも、全体が黒く、装飾が控えめであれば着用できます。
特に、次のようなデザインであれば問題になりにくいでしょう。
- ストラップが細い
- 黒一色である
- 金具が小さい
- バックルが目立たない
- リボンやビジューが付いていない
ストラップ付きは靴が脱げにくいため、足元に不安がある人にも適しています。
大きなバックルや金具は避ける
大きなバックルや、金色・銀色の金具が目立つパンプスは、華やかな印象になりやすいため避けましょう。
構造上必要な小さな金具まで完全に避ける必要はありませんが、正面から見て目立たないものが理想です。
喪服のパンプスに適したヒールの高さ
3~5cm程度が一般的な目安
喪服に合わせるパンプスのヒールは、3~5cm程度が一般的な目安です。
適度な高さがあるため、フォーマルな印象を保ちながら、比較的安定して歩きやすいという利点があります。
ただし、3~5cmでなければマナー違反になるわけではありません。
足の形や体調に合わせて、2~3cm程度のローヒールを選んでも問題ありません。
高すぎるヒールは避ける
6~7cm以上の高いヒールは、華やかな印象になりやすく、歩行も不安定になりがちです。
葬儀会場や火葬場、墓地では、段差や砂利道を歩くこともあります。
そのため、極端に高いヒールは避けるのが無難です。
ピンヒールは避ける
細く高いピンヒールは、ファッション性が強く、弔事にはあまり適していません。
また、床に音が響きやすく、砂利道や土の上ではヒールが沈みやすいという問題もあります。
ヒールは細すぎず、安定感のある形を選びましょう。
フラットシューズやローヒールでもよいか
ヒールは必須ではない
喪服には適度な高さのパンプスを合わせるのが一般的ですが、ヒールは必須ではありません。
黒無地で装飾や光沢が少なく、フォーマルな印象のフラットシューズやローヒール靴であれば、選択肢になります。
特に、次のような場合は安全性を優先してください。
- 妊娠中
- 高齢である
- 足や腰に痛みがある
- けがをしている
- 転倒の不安がある
- 子どもの世話が必要
- 長時間立つことが難しい
無理にヒールを履いて転倒したり、体調を崩したりする必要はありません。
バレエシューズはデザインに注意する
黒のバレエシューズも、装飾が少なく落ち着いたデザインであれば着用できます。
ただし、大きなリボン、エナメル素材、ビジューなどが付いているものは避けましょう。
フォーマル度を重視する場合は、パンプス型のフラットシューズを選ぶと安心です。
パンプスの装飾に関するマナー
装飾のないデザインが最も無難
喪服に合わせる靴は、装飾のないプレーンなデザインが最も無難です。
次のような華やかな装飾は避けましょう。
- ビジュー
- パール
- ラインストーン
- チェーン
- 大きなバックル
- 金色や銀色の金具
- 大きなブランドロゴ
- 花飾り
- フリル
- ラメ
小さな黒いリボンは許容されることもある
小さな黒いリボンや、靴と同色の控えめな装飾であれば、直ちに不適切になるとは限りません。
ただし、格式を重視する葬儀や、どの靴を選ぶか迷う場面では、装飾のないものを選ぶのが安心です。
ウェッジソールや厚底は履いてもよいか
ウェッジソールは避けるのが無難
ウェッジソールは安定感がある一方で、一般的なパンプスよりもカジュアルに見えることがあります。
特に、次のようなデザインは弔事には不向きです。
- コルク素材
- 麻素材
- 木目調
- 靴底が大きく目立つもの
- 厚みのあるデザイン
足の事情でウェッジソールを選ぶ必要がある場合は、全体が黒く、厚みや装飾が控えめなものを選びましょう。
極端な厚底は避ける
厚底やプラットフォームパンプスは、ファッション性が高く見えやすいため、正式な弔事では避けるのが無難です。
標準的な厚さの靴底で、安定して歩けるものを選びましょう。
ローファーは喪服に合わせられるか
成人女性はパンプスが無難
一般の成人女性が喪服を着る場合は、ローファーよりも黒のプレーンパンプスを合わせるのが無難です。
ローファーは、パンプスに比べるとややカジュアルな印象があります。
ただし、足に事情がある場合や、急な通夜でほかの靴を用意できない場合は、黒無地で装飾や金具が目立たないローファーでも差し支えないことがあります。
学生は学校指定のローファーでよい
制服がある学生は、学校指定の靴を履いて参列できます。
黒やこげ茶のローファー、黒い革靴などであれば、弔事用のパンプスを新たに用意する必要はありません。
喪服のパンプスに合わせるストッキング
黒の薄手ストッキングが一般的
成人女性が喪服を着る場合は、黒無地の薄手ストッキングを合わせるのが一般的です。
商品によって透け方は異なりますが、肌がわずかに透ける20~30デニール前後がひとつの目安になります。
デニール数だけで判断するのではなく、実際の透け感や光沢を確認しましょう。
素足は避ける
夏であっても、喪服にパンプスを合わせる場合は、素足を避けるのが一般的です。
肌の露出を抑えるため、黒いストッキングを着用します。
柄や光沢のあるものは避ける
次のようなストッキングは、弔事には不向きです。
- ラメ入り
- 網タイツ
- 柄入り
- ワンポイント付き
- 強い光沢があるもの
- カラータイツ
伝線に備えて、予備の黒ストッキングを持参すると安心です。
寒い時期は黒タイツでもよい
正式な装いでは薄手の黒ストッキングが基本ですが、厳寒期や体調上の事情がある場合は、防寒を優先しても問題ありません。
無地で光沢の少ない黒タイツを選べば、極端に目立つことはないでしょう。
靴音や歩きやすさにも注意する
葬儀会場では静かな時間が多いため、歩く音が目立つことがあります。
参列前には、次の点を確認しておきましょう。
- コツコツと大きな音がしないか
- 靴が脱げやすくないか
- 靴底が滑りやすくないか
- ヒールがぐらついていないか
- 長時間履いても痛くならないか
靴音が大きい場合は、靴修理店でヒール部分のゴムを交換すると改善することがあります。
葬儀会場や墓地で歩きやすい靴を選ぶ
葬儀では、会場内だけでなく、火葬場や墓地へ移動することがあります。
墓地や寺院では、次のような場所を歩く場合があります。
- 砂利道
- 土の道
- 芝生
- 坂道
- 段差
- 雨でぬかるんだ場所
細いヒールや滑りやすい靴は避け、安定感のあるパンプスを選びましょう。
新品の靴を当日に初めて履くと、靴擦れや足の痛みが起こりやすくなります。
事前に短時間履き、歩きやすさを確認しておくことも大切です。
雨や雪の日のパンプスマナー
移動用の靴から履き替えてもよい
雨や雪の日に、無理をして布製パンプスや滑りやすい靴で移動する必要はありません。
会場まではレインシューズや滑りにくい靴を履き、入口付近で弔事用のパンプスに履き替える方法があります。
履き替え用の靴は袋に入れて持参し、会場内で邪魔にならないように管理しましょう。
黒いレインパンプスも選択肢になる
黒無地で装飾が少なく、一般的なパンプスに近い見た目のレインパンプスであれば、悪天候時の選択肢になります。
ゴム長靴やカジュアルなレインブーツは、可能であれば会場内で履き替えたほうがよいでしょう。
通夜では仕事用の黒パンプスでもよいか
急な訃報を受け、仕事先からそのまま通夜へ向かう場合は、手持ちの黒いパンプスでも、直ちに失礼になるとは限りません。
通夜は急な参列になることも多いため、準備が整わない事情が考慮されます。
ただし、次のような靴は、可能な範囲で避けましょう。
- エナメル素材
- 高いピンヒール
- オープントゥ
- 大きな金具付き
- 派手なブランドロゴ付き
- 黒以外の目立つ色
あらかじめ参列することが分かっている場合は、葬儀や告別式と同様に、黒のシンプルなパンプスを用意するのが基本です。
家族葬でもパンプスのマナーは同じか
家族葬は参列者の範囲が限られている葬儀であり、必ずしも服装が自由になるわけではありません。
遺族から具体的な案内がない場合は、一般的な葬儀と同じく、黒くシンプルなパンプスを履くのが無難です。
また、「平服で」と案内された場合も、普段着でよいという意味ではないことがあります。
弔事における平服は、一般に黒や濃紺、ダークグレーなどの落ち着いた略喪服を指すため、靴も黒く目立たないものを合わせると安心です。
妊婦や高齢者、足に不安がある場合
妊娠中や高齢者、けがをしている人、足腰に痛みがある人は、一般的なマナーよりも安全性を優先してください。
たとえば、次のような靴が選択肢になります。
- 黒のフラットパンプス
- 黒のローヒールシューズ
- 黒のストラップシューズ
- 黒のシンプルなコンフォートシューズ
- 滑りにくい黒い靴
多少フォーマル度が下がっても、黒く清潔で、装飾が少ない靴であれば問題になりにくいでしょう。
無理にヒールを履いて転倒するほうが危険です。
子どもや学生の靴
学生は制服に合わせた靴でよい
制服がある学生は、制服と学校指定の靴で参列できます。
黒やこげ茶のローファー、黒い革靴などであれば、成人女性のように弔事用パンプスを用意する必要はありません。
小さな子どもは安全性を優先する
小さな子どもは、黒、紺、茶色などの落ち着いた靴であれば問題ありません。
運動靴しかない場合も、派手な色や大きなロゴを避け、できるだけ落ち着いたデザインを選びましょう。
子どもに大人と同じ厳格なマナーは求められないため、歩きやすさと安全性を優先します。
パンプスを購入するときの確認ポイント
弔事用パンプスを購入するときは、見た目だけでなく、長時間履けるかどうかも確認しましょう。
試着時には、次の点を確認してください。
- 黒無地である
- 光沢が強すぎない
- つま先とかかとが隠れる
- 装飾が目立たない
- ヒールが高すぎない
- ヒールが細すぎない
- 歩いたときに音が響かない
- 靴底が滑りにくい
- 足幅が合っている
- かかとが脱げない
- 指先が強く当たらない
葬儀では長時間立ったり、会場間を移動したりすることがあります。
店内を少し歩き、痛みや違和感がないか確認しておきましょう。
手持ちのパンプスしかない場合の選び方
急な通夜や葬儀では、理想的なパンプスを用意できない場合もあります。
そのときは、次の順番で条件を確認しましょう。
- 黒色である
- つま先とかかとが隠れている
- 装飾が少ない
- 光沢が強くない
- ヒールが高すぎない
- 安全に歩ける
- 汚れや傷が目立たない
たとえば、黒のシンプルなローヒール靴と、黒のエナメル製ピンヒールしかない場合は、前者のほうが弔事に適しています。
すべての条件を満たせなくても、華やかさを抑え、安全に歩ける靴を優先しましょう。
履く前にパンプスの状態を確認する
弔事用のパンプスは、長期間保管されていることが多く、久しぶりに取り出したときに劣化している場合があります。
参列前には、次の点を確認してください。
- ほこりや泥が付いていないか
- カビやにおいがないか
- かかとがすり減っていないか
- ヒールがぐらついていないか
- 靴底が剥がれかけていないか
- 合成皮革がひび割れていないか
- 中敷きが剥がれていないか
古い合成皮革の靴は、見た目に問題がなくても、歩いている途中で表面や靴底が剥がれることがあります。
前日までに試し履きをして、問題なく歩けるか確認しておくと安心です。
喪服のパンプスで迷ったときの結論
喪服に合わせるパンプスは、黒無地で光沢が少なく、つま先とかかとが隠れたシンプルなデザインが基本です。
ヒールは3~5cm程度が一般的な目安ですが、必須ではありません。
歩きやすさや健康状態に応じて、ローヒールやフラットシューズを選んでも問題ありません。
迷ったときは、次の3点を優先しましょう。
- 華やかに見えないこと
- 清潔で目立たないこと
- 安全に歩けること
エナメル、オープントゥ、高いピンヒール、極端な厚底、大きな金具や装飾のある靴は避けるのが無難です。
一方で、妊娠中、高齢、けが、足の痛みなどの事情がある場合は、形式にこだわりすぎる必要はありません。
黒くシンプルで、無理なく安全に履ける靴を選ぶことが大切です。
以上、喪服のパンプスのマナーについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










