スラックスは、一見するとシンプルなパンツに見えますが、実際には多くの部位やパーツで構成されています。
ウエスト、股上、股下、わたり、裾幅といったサイズに関わる名称のほか、タック、センタープレス、ポケット、ベルトループ、サイドアジャスターなど、見た目や機能に関わる名称もあります。
これらの部位名称を知っておくと、スラックスを購入するときや裾上げを依頼するとき、お直しを相談するときに役立ちます。
特に通販でスラックスを選ぶ場合は、ウエストだけでなく、股上・股下・わたり幅・裾幅などを確認することが大切です。
また、スラックスはビジネスやフォーマルな場面で着用されることが多いため、細かな部位の違いが全体の印象に大きく影響します。
部位の名称と役割を理解しておけば、自分に合うスラックスを選びやすくなり、よりきれいに着こなしやすくなります。
スラックス上部の部位名称
ウエスト
ウエストは、スラックスの最上部にある腰まわりの部分です。
スラックス全体を支える重要な部位で、サイズ表記でもよく使われます。
「ウエスト〇cm」と表示されている場合は、基本的にこの部分の寸法を指します。
ただし、実際の穿き心地はウエスト寸だけで決まるわけではありません。
股上の深さやヒップまわりのゆとり、腰の位置などによってもフィット感は変わります。
ウエストがきつすぎると、座ったときに苦しくなったり、前立て部分に負担がかかったりします。
反対に大きすぎると、ベルトで締めたときに生地が寄ってしまい、シルエットが崩れやすくなります。
ウエストベルト
ウエストベルトは、スラックスのウエスト部分をぐるりと囲む帯状のパーツです。
単に「ベルト部分」と呼ばれることもあります。
ウエストベルトには芯地が入っていることが多く、腰まわりの形を安定させる役割があります。
この部分がしっかりしていると、スラックスを穿いたときに腰まわりがきれいに見え、シャツをタックインしたときも整った印象になります。
スラックスの内側には、ウエストベルトを補強したり、フィット感を高めたりするためのパーツが付いていることもあります。
ベルトループ
ベルトループは、ベルトを通すためにウエスト部分へ取り付けられた細い布の輪です。
一般的なビジネス用スラックスには、複数のベルトループが付いています。
ベルトループがあるスラックスは、ベルトを使ってウエストを安定させやすいのが特徴です。
特にビジネスシーンでは、ベルトループ付きのスラックスがよく使われます。
一方で、クラシックなドレススラックスやフォーマル寄りのスラックスでは、ベルトループを付けず、サイドアジャスターでウエストを調整するタイプもあります。
サイドアジャスター
サイドアジャスターは、ウエストの左右に付いている調整用のパーツです。
金具やボタン、タブなどを使って、ウエストまわりのフィット感を微調整できます。
ベルトを使わずにスラックスを穿けるため、腰まわりがすっきり見えやすいのが特徴です。
クラシックなスーツスタイルや、ドレス感のあるスラックスによく見られます。
近年では、きれいめなカジュアルスラックスにもサイドアジャスターが採用されることがあります。
ベルトなしで上品に穿きたい人に向いている仕様です。
持ち出し
持ち出しは、スラックスの前開き部分に付けられた、ボタンやホックを留めるための布の延長部分です。
ウエスト部分にかかる力を分散し、前開きを安定させる役割があります。
スラックスのフロント部分には、表側のホックやボタンだけでなく、内側にもボタンが付いていることがあります。
この内側のボタンを留めるための布部分も、持ち出しに含まれます。
持ち出しがあることで、前開き部分が開きにくくなり、フロントがすっきり整って見えます。
仕立てのよいスラックスでは、この部分の作りも丁寧に処理されています。
天狗
天狗は、スラックスの前開き内側に付けられる細長い布パーツを指すことがあります。
持ち出しと近い意味で使われる場合もあり、ボタンやホックを留めて前開きを安定させる役割があります。
やや専門的な用語のため、一般的な販売ページではあまり見かけないかもしれません。
ただし、オーダースラックスや仕立ての説明では使われることがあります。
初心者向けには、「前開きの内側を支える補助パーツ」と理解しておくとよいでしょう。
スラックス前面の部位名称
前立て
前立ては、スラックスの前開き部分を指します。
ファスナーやボタンが外から目立たないように覆う部分で、フロントの見た目を整える役割があります。
スラックスでは、前立てがきれいに閉じていることが重要です。
この部分が浮いたり、波打ったりしていると、サイズが合っていない印象や、だらしない印象につながることがあります。
前立ては「フライ」と呼ばれることもあります。
ファスナーで開閉するものは「ジッパーフライ」、ボタンで開閉するものは「ボタンフライ」と呼ばれます。
ファスナー
ファスナーは、スラックスの前開きを開閉するためのパーツです。
一般的なスラックスでは、ジッパーフライ仕様が多く使われています。
ファスナーは着脱のしやすさに関わるだけでなく、フロント部分の見た目にも影響します。
ファスナーが閉まりにくい、前立てが開いて見える、座ったときに突っ張るといった場合は、ウエストやヒップまわりが合っていない可能性があります。
また、ファスナー部分に無理な力がかかり続けると、故障や生地の傷みにつながることもあります。
ボタン
ボタンは、ウエストや前立て、ポケットなどを留めるためのパーツです。
スラックスでは、表側に見えるボタンのほか、内側に隠れたボタンが付いていることもあります。
特にウエスト部分のボタンは、スラックスを安定して穿くために重要です。
ボタンが取れかけていると、着用中に外れたり、前開き部分に負担がかかったりする可能性があります。
ビジネスシーンで着用するスラックスは清潔感が大切なため、ボタンの緩みや欠けも早めに確認しておくと安心です。
ホック
ホックは、ウエスト部分を留めるための金具です。
スラックスでは、ボタンの代わりに使われたり、ボタンと併用されたりします。
ホックは外から見えにくく、フロント部分をすっきり見せやすいのが特徴です。
一方で、ウエストがきつい状態で無理に留めると、ホックが変形したり、生地に負担がかかったりすることがあります。
ホックが外れやすい場合は、サイズが合っていないか、金具が緩んでいる可能性があります。
タック
タックは、スラックスのウエスト下に入った折りひだのことです。
腰まわりや太ももまわりにゆとりを出すためのディテールです。
スラックスのタックには、主に以下の種類があります。
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| ノータック | タックがない仕様。すっきり細身に見えやすい |
| ワンタック | 左右に1本ずつタックがある仕様。適度なゆとりがある |
| ツータック | 左右に2本ずつタックがある仕様。腰まわりにゆとりが出やすい |
ノータックはシャープで現代的な印象になりやすく、ワンタックやツータックはクラシックで落ち着いた印象になりやすいです。
また、タックが入ることで座ったときや歩いたときに動きやすくなる場合もあります。
プリーツ
プリーツは、スラックス前面に入る折りひだを指す表現です。
日本では「タック」と呼ばれることが多く、ワンタック・ツータックなどの表記で使われます。
海外ブランドやドレスウェアの文脈では、「pleats」という言葉が使われることがあります。
そのため、プリーツとタックは完全に別物というより、スラックスの折りひだを説明する際に近い意味で使われる言葉と考えるとよいでしょう。
ただし、ブランドや国、服飾分野によって使い方が異なる場合もあります。
一般的なスラックス選びでは、「腰まわりにゆとりを出す折りひだ」と理解しておけば十分です。
センタープレス
センタープレスは、スラックスの前後中央に縦に入った折り目のことです。
「センターライン」と呼ばれることもあります。
センタープレスがきれいに入っていると、脚のラインがまっすぐ見え、スラックス全体が上品な印象になります。
ビジネス用やフォーマル用のスラックスでは、特に重要なディテールです。
反対に、センタープレスが消えていたり、二重に入っていたりすると、スラックスがよれて見えることがあります。
アイロンやクリーニングで定期的に整えると、きれいな印象を保ちやすくなります。
クリース
クリースは、スラックスの前後中央に入る折り目そのものを指す言葉です。
日本ではセンタープレスとほぼ同じ意味で使われることが多いです。
厳密には、クリースは折り目そのもの、センタープレスは中央にプレスされた状態や加工を指す言葉として使われることがあります。
ただし、一般的なスラックスの説明では、どちらも「パンツ中央の縦の折り目」と理解して問題ありません。
クリースがきれいに通っているスラックスは、脚が長くすっきり見えやすくなります。
スラックスのポケット部分の名称
サイドポケット
サイドポケットは、スラックスの左右に付いているポケットです。
腰の横から手を入れるタイプが一般的で、日常的に使いやすいポケットです。
ビジネス用スラックスでは、斜めに口が開いたスラントポケットや、脇の縫い目に沿って作られたシームポケットがよく使われます。
ただし、サイドポケットに物を入れすぎると、腰まわりが膨らみ、スラックスのシルエットが崩れやすくなります。
スマートフォンや厚みのある財布などを入れる場合は、見た目への影響にも注意しましょう。
スラントポケット
スラントポケットは、斜めに開いたサイドポケットのことです。
手を入れやすく、ビジネス用スラックスでもよく見られる仕様です。
斜めのポケット口は実用性が高く、自然に手を入れやすいのが特徴です。
一方で、スラックスがタイトすぎると、ポケット口が開いてしまうことがあります。
ポケット口が大きく浮く場合は、ヒップや太ももまわりにゆとりが足りていない可能性があります。
シームポケット
シームポケットは、脇の縫い目に沿って作られたポケットです。
ポケット口が目立ちにくく、すっきりとした印象になります。
フォーマル寄りのスラックスや、ミニマルなデザインのパンツに使われることがあります。
スラントポケットに比べると見た目が控えめで、上品な印象を出しやすいのが特徴です。
ただし、形状によっては手を入れにくい場合もあります。
ヒップポケット
ヒップポケットは、スラックスの後ろ側に付いているポケットです。
「バックポケット」や「後ろポケット」と呼ばれることもあります。
スラックスのヒップポケットには、玉縁ポケットが使われることが多く、上品な印象を作るディテールのひとつです。
ボタン付きのものや、フラップ付きのものもあります。
美しいシルエットを保ちたい場合は、ヒップポケットに厚みのある財布などを入れ続けるのは避けたほうが無難です。
座ったときにポケット口が広がったり、生地が傷んだりする原因になることがあります。
玉縁ポケット
玉縁ポケットは、ポケット口に細い布で縁取りを施したポケットです。
スラックスのヒップポケットによく使われる仕様です。
玉縁ポケットには、主に以下の種類があります。
| 名称 | 特徴 |
|---|---|
| 片玉縁ポケット | ポケット口の片側に縁取りがある |
| 両玉縁ポケット | ポケット口の上下に縁取りがある |
| フラップ付き玉縁ポケット | 玉縁ポケットにふた状の布が付いた仕様 |
玉縁ポケットは、スラックスらしい上品さを出す重要なディテールです。
縫製の丁寧さが表れやすい部分でもあります。
フラップ
フラップは、ポケット口に付いたふた状の布です。
スラックスでは、ヒップポケットに付いていることがあります。
フラップ付きのポケットは、デザイン性があり、後ろ姿のアクセントになります。
一方で、フラップがない玉縁ポケットのほうが、よりすっきり見える場合もあります。
スラックスの種類や着用シーンによって、フラップの有無を選ぶとよいでしょう。
コインポケット
コインポケットは、小銭や小物を入れるための小さなポケットです。
ジーンズではよく見られる仕様ですが、一部のスラックスにも付いていることがあります。
スラックスの場合、コインポケットは実用性よりも、クラシックなディテールやデザイン要素として取り入れられることがあります。
すべてのスラックスに付いているわけではなく、比較的少数派の仕様です。
ウエスト付近やサイドポケットの内側などに配置されることがあります。
スラックス背面の部位名称
ヒップ
ヒップは、お尻まわりの部分です。
スラックスのシルエットや穿き心地に大きく関わる重要な部位です。
ヒップまわりがきついと、生地が横に引っ張られ、シワが出やすくなります。
また、ポケット口が開いたり、座ったときに窮屈に感じたりすることもあります。
反対にヒップが大きすぎると、余った生地が垂れてしまい、後ろ姿がだらしなく見える場合があります。
スラックスを選ぶときは、ウエストだけでなくヒップのフィット感も確認することが大切です。
尻ぐり
尻ぐりは、後ろ側の股まわりのカーブ部分を指します。
「後ろ股ぐり」と表現すると、よりわかりやすいです。
尻ぐりの形は、座りやすさや歩きやすさに関係します。
体型に合っていないと、座ったときに突っ張ったり、後ろ側に余計なシワが出たりすることがあります。
一般的な販売ページではあまり見かけない言葉ですが、オーダースラックスやお直しの場面では使われることがあります。
後ろ中心縫い
後ろ中心縫いは、スラックスの背面中央にある縫い目です。
ウエストの後ろから股下に向かって入っている縫い目を指します。
スラックスのウエストを詰める場合、この後ろ中心縫いで調整することがあります。
そのため、お直しの場面では比較的重要な部位です。
後ろ中心縫いが歪んでいたり、強く引っ張られていたりすると、後ろ姿のシルエットに影響します。
ダーツ
ダーツは、布を立体的に体へ沿わせるための縫い込みです。
スラックスでは、背面のウエスト下からヒップにかけて入っていることがあります。
人の体は平面ではないため、布をそのまま縫い合わせるだけではきれいにフィットしません。
ダーツを入れることで、腰からヒップにかけて自然な丸みを作ることができます。
ダーツは目立つ装飾ではありませんが、スラックスのフィット感を左右する重要な構造です。
スラックスの脚まわりの部位名称
股上
股上は、ウエストの上端から股の縫い合わせ部分までの長さです。
スラックスを穿いたときの腰位置や、着用感に大きく関わります。
股上には、浅め・標準・深めがあります。
| 股上の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 浅めの股上 | 腰位置が低く、すっきり軽快な印象になりやすい |
| 標準的な股上 | ビジネスにもカジュアルにも使いやすい |
| 深めの股上 | クラシックで上品な印象になりやすい |
股上が浅すぎると、座ったときに背中側が浮きやすくなることがあります。
股上が深いスラックスは、タックインしたときに腰位置が高く見え、脚長効果を感じやすい場合があります。
股下
股下は、股の縫い合わせ部分から裾までの長さです。
スラックスの丈を確認するときに使われる代表的な寸法です。
裾上げを依頼するときの「股下〇cm」は、この長さを指します。
同じ股下寸でも、裾幅や靴の形、好みのクッション量によって見え方は変わります。
ビジネス用スラックスでは、長すぎて裾が大きくたるむよりも、靴に自然に触れる程度の丈のほうがすっきり見えやすいです。
股ぐり
股ぐりは、股まわりのカーブ部分を指します。
前側のカーブを前股ぐり、後ろ側のカーブを後ろ股ぐりと呼ぶこともあります。
股ぐりは、股上と混同されやすい部位です。
股上は「ウエストから股までの長さ」を指すのに対し、股ぐりは「股まわりの曲線部分」を指します。
股ぐりが体型に合っていないと、歩いたときや座ったときに突っ張ったり、余計なシワが出たりすることがあります。
わたり
わたりは、太ももの付け根付近の幅を指します。
「わたり幅」と呼ばれることもあります。
スラックスの穿き心地を左右する重要な寸法です。
わたりが細すぎると、太ももに横ジワが出たり、座ったときに窮屈に感じたりします。
一方で、わたりが太すぎると、全体的にゆるく見えたり、野暮ったい印象になったりすることがあります。
スラックスでは、太ももに適度なゆとりがあり、裾に向かって自然に落ちるラインが美しく見えます。
もも幅
もも幅は、太もも部分の横幅を指します。
わたり幅と近い意味で使われることもありますが、ブランドやショップによって採寸位置が異なる場合があります。
通販でスラックスを購入する場合は、サイズ表の「もも幅」や「わたり幅」を確認すると失敗を減らせます。
特に太ももがしっかりしている人や、細身のスラックスを選ぶ場合は重要なチェックポイントです。
採寸方法がショップによって異なることもあるため、サイズ表の説明をあわせて確認すると安心です。
膝幅
膝幅は、膝あたりのスラックスの幅です。
わたり幅と裾幅の中間にあたる部分で、シルエットを決める重要な寸法です。
膝幅が細いと、全体的にシャープな印象になります。
膝幅にゆとりがあると、クラシックで落ち着いた印象になりやすいです。
スラックスのラインは、わたり幅・膝幅・裾幅のバランスで決まります。
どこか一部分だけが極端に細い、または太いと、全体のシルエットが不自然に見えることがあります。
裾幅
裾幅は、スラックスの裾部分の横幅です。
靴との相性や全体のシルエットに大きく影響します。
裾幅が細いスラックスは、すっきりと現代的な印象になりやすいです。
裾幅が広いスラックスは、クラシックで落ち着いた印象になりやすいです。
革靴に合わせる場合は、靴のボリュームに対して裾幅が細すぎるとバランスが取りにくいことがあります。
反対に、裾幅が広すぎると重たい印象になる場合もあります。
脇線
脇線は、スラックスの外側にある縫い目です。
腰から裾に向かって脚の外側を通っています。
脇線は、スラックスのシルエットを形作る重要なラインです。
穿いたときに脇線がまっすぐ落ちていると、全体がきれいに見えます。
脇線が前後にねじれて見える場合は、サイズが合っていない、縫製に歪みがある、または穿き方に偏りがある可能性があります。
内股線
内股線は、脚の内側にある縫い目です。
股下から裾に向かって、脚の内側を通っています。
歩行時に摩擦が起こりやすい部分のため、内股線付近は生地が傷みやすいことがあります。
特に太ももの内側が擦れやすい人は、この部分の状態を定期的に確認するとよいでしょう。
内股線まわりに生地の薄れやほつれが見られる場合は、早めに補修すると長く穿きやすくなります。
スラックスの裾まわりの名称
裾
裾は、スラックスの一番下の部分です。
靴にかかる位置にあるため、スラックス全体の印象を大きく左右します。
裾丈が長すぎると、足元に生地がたまり、だらしなく見えることがあります。
反対に短すぎると、カジュアルな印象が強くなったり、ビジネスシーンでは軽く見えすぎたりする場合があります。
スラックスの裾は、靴とのバランスを見ながら調整することが大切です。
シングル
シングルは、裾を折り返さずに仕上げる方法です。
すっきりとした見た目で、フォーマルな印象になりやすいのが特徴です。
礼服やフォーマル度の高いスラックスでは、シングル仕上げが選ばれることが多いです。
一方で、ビジネス用スラックスでもシングルは一般的に使われます。
細身のスラックスや、軽快な印象に見せたいスラックスとも相性がよい仕上げです。
ダブル
ダブルは、裾を外側に折り返して仕上げる方法です。
折り返し部分は「カフ」とも呼ばれます。
ダブル仕上げは、裾にほどよい重みが出るため、スラックスのラインがきれいに落ちやすいというメリットがあります。
クラシックで落ち着いた印象を出したいときにも向いています。
ビジネス用スラックスでは、シングルもダブルも使われます。
ただし、礼服などフォーマル度の高い場面では、シングルのほうが選ばれやすい傾向があります。
カフ
カフは、ダブル仕上げの折り返し部分を指します。
カフの幅によって、スラックスの印象は変わります。
カフ幅が細めだと、控えめで軽快な印象になります。
カフ幅が太めだと、クラシックで重厚感のある印象になります。
体格や身長、スラックスの太さ、合わせる靴のボリュームに応じて、カフ幅を調整するとバランスが取りやすくなります。
モーニングカット
モーニングカットは、裾の前側を短く、後ろ側を長めに仕上げる方法です。
靴に裾がきれいに沿いやすく、前から見たときにすっきり見えやすいのが特徴です。
シングルやダブルが「裾の折り返し方」に関する名称であるのに対し、モーニングカットは「裾の前後差をつけるカット方法」です。
そのため、シングル仕上げやダブル仕上げと完全に同じ分類ではありません。
靴の甲に裾が強く当たってシワがたまりやすい場合、モーニングカットにすると足元がきれいに見えやすくなります。
裾始末
裾始末は、裾の内側をどのように処理しているかを指します。
スラックスでは、まつり縫いやたたき仕上げなどが使われることがあります。
まつり縫いは、表から縫い目が目立ちにくい仕上げです。
ドレス感のあるスラックスやビジネス用スラックスでよく見られます。
たたき仕上げは、表側にステッチが見える仕上げです。
カジュアルなパンツやチノパンなどで使われることが多いですが、スラックス風のパンツに採用される場合もあります。
スラックス内側の部位名称
裏地
裏地は、スラックスの内側に付けられる生地です。
膝付近まで付いているものや、前身頃だけに付いているものなどがあります。
裏地には、滑りをよくして穿きやすくする役割があります。
表地が脚にまとわりつきにくくなり、動きやすさが高まります。
また、表地の透け防止や型崩れ防止にも役立ちます。
ウール素材のスラックスやフォーマルなスラックスでは、裏地付きのものが多く見られます。
膝裏地
膝裏地は、スラックスの膝付近まで付けられた裏地のことです。
「膝裏付き」と表記されることもあります。
膝裏地があると、膝を曲げ伸ばしするときの滑りがよくなります。
また、膝部分の表地が伸びたり、型崩れしたりするのを抑える効果も期待できます。
特にウールスラックスでは、膝裏地があることで快適に穿きやすくなります。
マーベルト
マーベルトは、スラックスのウエストベルト内側に付けられる帯状のパーツです。
ウエストまわりの形を安定させたり、フィット感を高めたりする役割があります。
商品によっては、シャツの裾が出にくいように滑り止めが付いているものもあります。
ただし、マーベルト自体が必ず滑り止め付きというわけではありません。
ビジネス用スラックスでは、内側の仕様としてマーベルトが使われることが多く、着用時の安定感にも関係します。
スレーキ
スレーキは、ポケット袋や内側の布に使われる生地のことです。
サイドポケットやヒップポケットの内側に使われます。
普段は外から見えない部分ですが、ポケットの使いやすさや耐久性に関わります。
スレーキが薄い場合、ポケットに重いものを入れ続けると穴が開きやすくなることがあります。
スラックスを長く使うためには、表地だけでなく、ポケットの内側の状態も確認しておくと安心です。
シック
シックは、股部分の内側に付けられる補強布です。
歩行時の摩擦による傷みを軽減する目的で使われることがあります。
股部分は、スラックスの中でも擦れやすく、生地に負担がかかりやすい部位です。
シックが付いていると、股まわりの耐久性を高める効果が期待できます。
ただし、すべてのスラックスにシックが付いているわけではありません。
商品や仕立ての仕様によって有無が異なります。
腰裏
腰裏は、ウエストベルトの内側部分を指します。
マーベルトやスレーキと関係する部位で、スラックスの内側仕様を説明するときに使われることがあります。
腰裏は外から見えにくい部分ですが、穿き心地や仕立ての印象に関わります。
丁寧に作られたスラックスでは、腰裏の縫製や生地の使い方にもこだわりが見られます。
内側の仕上げがきれいなスラックスは、着用時の安定感や耐久性にも期待できます。
スラックスのシルエットに関する名称
テーパード
テーパードは、裾に向かって細くなるシルエットのことです。
現代のスラックスでよく見られる形です。
太ももまわりには適度なゆとりを持たせながら、裾に向かってすっきり細くなるため、脚のラインがきれいに見えやすいのが特徴です。
ビジネスにもカジュアルにも使いやすく、幅広いコーディネートに合わせやすいシルエットです。
ただし、テーパードが強すぎると、ふくらはぎや裾まわりが窮屈に感じることがあります。
ストレート
ストレートは、太ももから裾までの幅の変化が少ないシルエットです。
クセが少なく、ベーシックな印象になります。
クラシックなスラックスや、落ち着いたビジネススタイルに向いています。
脚のラインを拾いにくいため、体型をカバーしやすいのも特徴です。
細すぎず太すぎないストレートシルエットは、長く使いやすい定番の形です。
ワイド
ワイドは、全体的に幅の広いシルエットです。
リラックス感やクラシック感を出しやすい形です。
近年では、カジュアルファッションだけでなく、きれいめなワイドスラックスも人気があります。
ゆとりがあるため動きやすく、落ち感のある素材を選ぶと上品に見えます。
ただし、ビジネスシーンでは太すぎるとカジュアルに見えやすいため、素材・丈感・靴とのバランスが重要です。
スリム
スリムは、全体的に細身のシルエットです。
シャープで現代的な印象になりやすい形です。
スリムスラックスは、すっきりとした着こなしに向いています。
ただし、細すぎるものを選ぶと、太ももや膝に横ジワが出たり、センタープレスが崩れたりすることがあります。
ビジネス用として着用する場合は、細身でも適度なゆとりがあるものを選ぶと上品に見えます。
スラックスのサイズ確認で使われる名称
ウエスト寸
ウエスト寸は、スラックスのウエスト部分の実寸です。
平置きで測る場合は、ウエスト幅を2倍にして表記されることがあります。
通販で購入する場合は、商品ページの採寸方法を確認することが大切です。
同じ「ウエスト〇cm」でも、ブランドやデザインによって穿き心地が異なる場合があります。
普段穿いているスラックスの実寸と比較すると、サイズ選びの失敗を減らしやすくなります。
ヒップ寸
ヒップ寸は、お尻まわりの寸法です。
ウエストが合っていても、ヒップ寸が合っていないと穿き心地や見た目に影響します。
ヒップ寸が小さすぎると、生地が引っ張られて横ジワが出やすくなります。
また、ヒップポケットが開いたり、座ったときに窮屈に感じたりすることもあります。
ヒップ寸が大きすぎる場合は、後ろ側に余った生地が出て、シルエットが崩れやすくなります。
股上寸
股上寸は、ウエスト上端から股の縫い合わせ部分までの長さです。
股上が深いか浅いかを判断するために使われます。
股上寸が長いスラックスは、腰位置が高く見えやすく、クラシックな印象になりやすいです。
股上寸が短いスラックスは、軽快で現代的な印象になりやすいです。
ただし、股上が浅すぎると座ったときに窮屈に感じることがあります。
股下寸
股下寸は、股の縫い合わせ部分から裾までの長さです。
裾上げや丈感を確認するときに重要な寸法です。
スラックスは、股下寸が同じでも裾幅や靴の形によって見え方が変わります。
そのため、単純な長さだけでなく、着用時に裾がどのように落ちるかを確認することが大切です。
通販で購入する場合は、自分が普段穿いているスラックスの股下寸を測っておくと便利です。
わたり幅
わたり幅は、太ももの付け根付近の横幅です。
太ももまわりのゆとりを確認するための重要な寸法です。
わたり幅が足りないと、歩きにくくなったり、座ったときに突っ張ったりします。
また、センタープレスがきれいに落ちにくくなることもあります。
太ももがしっかりしている人や、細身のスラックスを選びたい人は、わたり幅を必ず確認するとよいでしょう。
裾幅
裾幅は、裾部分の横幅です。
スラックスのシルエットや靴との相性を判断するうえで重要です。
裾幅が細いと、すっきりした印象になります。
裾幅が広いと、クラシックで落ち着いた印象になります。
ただし、裾幅は身長や体格、靴のボリュームによって似合うバランスが変わります。
サイズ表を見るときは、ウエストや股下だけでなく、裾幅も確認しておくと安心です。
スラックスの部位名称を知っておくメリット
サイズ選びで失敗しにくくなる
スラックスの部位名称を知っておくと、サイズ表の見方がわかりやすくなります。
特に通販では、試着できないため、各部位の寸法を確認することが重要です。
ウエストだけで選ぶと、太ももがきつい、股上が浅い、裾幅が好みと違うといった失敗が起こることがあります。
股上・股下・わたり幅・裾幅などを総合的に見ることで、自分に合うスラックスを選びやすくなります。
手持ちのスラックスを測って比較すると、より正確にサイズを判断できます。
裾上げやお直しを頼みやすくなる
部位名称を知っていると、裾上げやお直しを依頼するときに希望を伝えやすくなります。
たとえば、「少し細くしたい」と伝えるだけでは、どの部分をどの程度直したいのかが曖昧です。
一方で、「裾幅を少し詰めたい」「わたりは残して膝下から細くしたい」「ウエストを後ろ中心で詰めたい」と伝えれば、仕上がりのイメージを共有しやすくなります。
スラックスのお直しは、部位によってできることとできないことがあります。
名称を理解しておくことで、相談もしやすくなります。
シルエットの違いを理解しやすくなる
スラックスの印象は、単に「細い」「太い」だけでは決まりません。
わたり幅、膝幅、裾幅、股上、タックの有無など、複数の要素が組み合わさってシルエットが決まります。
たとえば、同じ細身のスラックスでも、太ももにはゆとりがあり裾に向かって細くなるテーパードと、全体的に細いスリムでは印象が異なります。
また、タックがあるかないかによっても、腰まわりの見え方や着用感が変わります。
部位名称を理解しておくと、自分の好みや体型に合ったスラックスを選びやすくなります。
コーディネートの印象を整えやすくなる
スラックスは、部位ごとのバランスによってコーディネート全体の印象が変わります。
センタープレスがきれいに入っていると上品に見え、裾丈が整っていると足元まで清潔感が出ます。
また、裾幅と靴のバランスも重要です。
細めの裾幅にはすっきりした革靴やローファーが合わせやすく、やや太めの裾幅にはボリュームのある靴が合いやすい場合があります。
部位名称を知ることで、スラックスをただ穿くだけでなく、よりきれいに見せるための調整がしやすくなります。
スラックスの部位名称一覧
基本的な部位名称
| 部位名称 | 意味・役割 |
|---|---|
| ウエスト | 腰まわりの最上部 |
| ウエストベルト | ウエストを囲む帯状の部分 |
| ベルトループ | ベルトを通すための輪 |
| サイドアジャスター | ウエストを調整するパーツ |
| 持ち出し | 前開きを安定させる布の延長部分 |
| 前立て | ファスナーやボタンを覆う前開き部分 |
| ファスナー | 前開きを開閉する部品 |
| ホック | ウエストを留める金具 |
| ボタン | ウエストやポケットを留める部品 |
| ヒップ | お尻まわり |
| 股上 | ウエストから股までの長さ |
| 股下 | 股から裾までの長さ |
| わたり | 太もも付け根付近の幅 |
| 膝幅 | 膝あたりの幅 |
| 裾幅 | 裾部分の横幅 |
| 脇線 | 脚の外側にある縫い目 |
| 内股線 | 脚の内側にある縫い目 |
| 裾 | スラックスの一番下の部分 |
ディテールに関する名称
| 部位名称 | 意味・役割 |
|---|---|
| タック | 腰まわりにゆとりを出す折りひだ |
| プリーツ | 折りひだを指す英語由来の表現 |
| センタープレス | 前後中央に入る縦の折り目 |
| クリース | 折り目そのものを指す言葉 |
| サイドポケット | 左右に付いたポケット |
| スラントポケット | 斜めに開いたポケット |
| シームポケット | 脇の縫い目に沿ったポケット |
| ヒップポケット | 後ろ側に付いたポケット |
| 玉縁ポケット | ポケット口に縁取りがあるポケット |
| フラップ | ポケットのふた状の布 |
| コインポケット | 小銭や小物用の小さなポケット |
| ダーツ | 立体感を出すための縫い込み |
裾仕上げに関する名称
| 名称 | 意味・役割 |
|---|---|
| シングル | 裾を折り返さない仕上げ |
| ダブル | 裾を折り返す仕上げ |
| カフ | ダブル仕上げの折り返し部分 |
| モーニングカット | 前を短く、後ろを長めにする裾のカット方法 |
| 裾始末 | 裾の内側の縫製処理 |
内側仕様に関する名称
| 名称 | 意味・役割 |
|---|---|
| 裏地 | 内側に付けられる生地 |
| 膝裏地 | 膝付近まで付けられた裏地 |
| マーベルト | ウエスト内側の帯状パーツ |
| スレーキ | ポケット袋などに使われる内側の生地 |
| シック | 股部分の内側に付けられる補強布 |
| 腰裏 | ウエストベルトの内側部分 |
まとめ
スラックスの部位名称を知っておくと、サイズ選び、裾上げ、お直し、コーディネートの説明がしやすくなります。
特に覚えておきたいのは、ウエスト、股上、股下、わたり、裾幅、センタープレス、タック、ポケット、裾仕上げに関する名称です。
スラックスは、細かな部位のバランスによって印象が大きく変わるアイテムです。
ウエストが合っていても、股上やわたり幅が合っていなければ窮屈に感じることがあります。
また、裾丈や裾幅が合っていないと、足元の印象が崩れてしまうこともあります。
部位名称を理解しておけば、自分に合うスラックスを選びやすくなり、購入後のお直しも依頼しやすくなります。
きれいなシルエットで穿きこなすためにも、基本的な名称と役割を押さえておくとよいでしょう。
以上、スラックスの部位の名称についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










