学校制服やオフィスカジュアル、きれいめファッションの定番として親しまれている「ブレザー」。
特にネイビーのブレザー、いわゆる“紺ブレ”は、今や男女問わず幅広いコーデで使われる定番アイテムです。
しかし、このブレザーがもともとどこから生まれた服なのか、詳しく知っている人は意外と多くありません。
実はブレザーの起源は、今の上品で落ち着いた印象とは少し違い、19世紀イギリスの大学ボートクラブ文化と深く関係しています。
もっとも有力な語源説では、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジの Lady Margaret Boat Club が着ていた鮮やかな赤いジャケットが、ブレザーという言葉の始まりだとされています。
Lady Margaret Boat Club 自身も、その赤いクラブジャケットが “blazer” の由来だと説明しています。
この記事では、ブレザーの由来や起源をわかりやすく整理しながら、なぜ現在のような「紺ブレ」が定番化したのかまで、歴史の流れに沿って解説します。
ブレザーの語源として有力なのは「赤いジャケット」説
ブレザーの語源としてもっとも有力とされているのは、19世紀イギリスの大学スポーツ文化に由来する説です。
語源辞典 Etymonline によると、服の意味での blazer は1880年までにイギリスの大学スラングとして確認されており、もともとは Lady Margaret Boat Club のメンバーが着ていた赤いフランネルジャケットを指していたとされています。
このジャケットは非常に鮮やかな赤色で、まさに“blazing red”と呼びたくなるような強い色味でした。
そこから、「燃えるように目立つ服」というニュアンスで blazer という呼び名が広まったと考えられています。
実際に、Lady Margaret Boat Club の歴史紹介でも、ブレザーという言葉は自分たちの赤いジャケットに由来すると説明されています。
つまり、ブレザーの出発点は、現在よく知られている落ち着いた紺色のジャケットではなく、かなり目立つスポーツクラブ用の上着だったわけです。
もともとのブレザーは、今よりずっとスポーティーだった
現在のブレザーには「上品」「知的」「きちんとしている」といった印象がありますが、初期のブレザーはもっとスポーツ色の強い服でした。
Brooks Brothers のブレザー史でも、ブレザーはもともとレガッタでクラブのメンバーを識別するためのジャケットで、今でいうスポーツチームのユニフォームのような役割を持っていたと説明されています。
この背景を知ると、ブレザーが単なるテーラードジャケットとは少し違うことも見えてきます。
ブレザーは最初から“スーツの上着”として生まれたのではなく、所属やクラブのアイデンティティを示すジャケットとして発展してきた服なのです。
有名な「HMS Blazer 起源説」は本当なのか
ブレザーの起源には、もうひとつ有名な説があります。
それが、イギリス海軍の軍艦 HMS Blazer に由来するという話です。
一般には、1837年にヴィクトリア女王が艦を訪れた際、乗組員がネイビーのジャケットに真鍮ボタンを付けた服装で整列し、その装いがブレザーの始まりになったと語られます。
この説は現在でも広く知られており、Brooks Brothers でもブレザーを語る文脈で紹介されています。
ただし、この説は非常に有名ではあるものの、語源そのものの直接的な起源としては慎重に見る必要があります。
語の成立と強く結びついているのは、現時点ではやはり Lady Margaret Boat Club の赤いジャケット説の方です。
したがって、HMS Blazer 説は「後世に広く語られるようになった有名なエピソード」として扱うのが自然で、「これが唯一の起源」と断定するのは避けた方がよいでしょう。
では、なぜ現在は「紺ブレ」が定番なのか
ここで気になるのが、「語源は赤いジャケットなのに、なぜ今はネイビーのブレザーが定番なのか」という点です。
この理由は、ブレザーがその後の時代の中で、クラブウェアからより洗練されたジャケットへと変化していったからです。
Brooks Brothers は、ブレザーの名称の起源としてはケンブリッジの赤いジャケット説がもっとも有力だとしつつ、現在のネイビーブレザー像は、その後のクラブ文化や海軍的イメージ、アメリカントラッドの流れの中で確立されていったと示しています。
特にネイビーは、上品で清潔感があり、グレーやベージュ、白など幅広い色と合わせやすいため、単品ジャケットとして非常に使いやすい色です。
そうした実用性もあって、ブレザーは次第に「派手なクラブジャケット」から、「都市生活に似合う上品な定番服」へと変わっていきました。
ここで成立したのが、現在私たちがイメージする“紺ブレ”です。
ブレザーが学校制服に多い理由
ブレザーが学校制服として広く使われているのも、こうした歴史と無関係ではありません。
ブレザーはもともと、所属や団体の一体感を示す服として発展してきました。
そのため、校章やエンブレム、ネクタイ、ボタンなどで学校らしさを表現しやすく、制服との相性が非常に良いのです。
そもそもイギリスでは、教育における標準化された服装の記録が1222年までさかのぼり、近代的な学校制服の源流は16世紀イングランドにあるとされています。
そうした長い制服文化の中で、ブレザーのような「所属を可視化しつつ、きちんと見えるジャケット」が広がっていったのは自然な流れといえます。
ブレザーの由来を知ると、見え方が変わる
ブレザーは単なるジャケットの一種ではありません。
その背景には、大学クラブ、スポーツ、学校、そして海軍イメージまでが重なった独自の歴史があります。
だからこそブレザーには、スーツほど堅すぎないのに、どこか品があり、少し知的で、きちんとした印象があります。
これは単なるデザインの問題ではなく、もともとこの服が「所属」や「誇り」を表す服として育ってきたことと深く関係しているのです。
まとめ
ブレザーの由来をシンプルにまとめると、次のようになります。
ブレザーという言葉の起源として最も有力なのは、19世紀イギリスのケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジの Lady Margaret Boat Club が着ていた鮮やかな赤いフランネルジャケットです。
そこから “blazer” という呼び名が広まり、色鮮やかなクラブ用・スポーツ用ジャケットを指すようになりました。
その後、海軍風ジャケットやクラブ文化、さらにアメリカのトラッドやアイビースタイルの影響を受けて、現在のネイビーブレザーが定番化したと考えられています。
HMS Blazer 由来説も有名ですが、語源の直接的な起源としては慎重に扱うのが適切です。
以上、ブレザーの由来や起源についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









