ポロシャツの起源について

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ポロシャツは、その名称から「ポロ競技のために作られたシャツ」と思われることがあります。

しかし、現在一般的にポロシャツと呼ばれている、半袖で襟が付き、胸元に短い前立てがあるニットシャツは、主にテニスウェアとして発展したものです。

現在のポロシャツの基本形を確立した人物として知られているのが、フランスのテニス選手ルネ・ラコステです。

一方で、「ポロ」という名称や襟付きスポーツシャツの歴史には、19世紀に近代化されたポロ競技が関係しています。

そのため、ポロシャツの起源を理解するには、次の2つを分けて考えることが重要です。

1つ目は、ポロ競技に由来する名称や襟の歴史です。

2つ目は、ルネ・ラコステがテニスウェアとして完成させた、現代的な半袖ニットシャツの歴史です。

目次

ポロ競技とポロシャツの関係

ポロは古い歴史を持つ騎馬競技

ポロは、馬に乗った選手がマレットと呼ばれるスティックを使い、ボールを相手チームのゴールへ運ぶ競技です。

ポロに似た騎馬競技の歴史は古く、古代ペルシャなどでも行われていたとされています。

ただし、現在のポロにつながる近代的な競技は、19世紀にイギリス人がインドで行われていた競技を取り入れ、ルールを整備したことで広まりました。

その後、ポロはイギリスの軍人や上流階級を中心に親しまれ、ヨーロッパやアメリカ、アルゼンチンなどにも普及していきます。

当時のポロ選手は長袖シャツを着用していた

19世紀末ごろのポロ選手が着用していたのは、現在の半袖ニット製ポロシャツとは異なる衣服でした。

当時は、長袖の襟付きシャツや乗馬用の服装で競技を行うことが一般的でした。

しかし、馬に乗って走ると、風によってシャツの襟先がめくれ上がります。

襟が顔に当たったり、プレーの邪魔になったりするため、選手たちは襟先が動かないように固定していたとされています。

この工夫は、後にボタンダウンカラーが生まれるきっかけの一つになりました。

ポロ競技から生まれたボタンダウンシャツ

ブルックス ブラザーズが襟の工夫に注目した

アメリカの老舗衣料品ブランドであるブルックス ブラザーズは、ボタンダウンカラーの誕生にポロ競技が関係していると説明しています。

創業者一族のジョン・E・ブルックスは、19世紀末にイギリスでポロ競技を観戦しました。

その際、選手たちが風で襟先がばたつかないように固定していることに注目したとされています。

この仕組みを一般的なシャツへ取り入れたものが、襟先をボタンで身頃に留めるボタンダウンシャツです。

ブルックス ブラザーズは、1900年ごろにこの襟型のシャツを商品化しました。

ボタンダウンシャツとポロシャツは別の衣服

ポロ競技が関係しているため、ボタンダウンシャツはかつて「ポロカラーシャツ」と呼ばれることがありました。

ただし、ボタンダウンシャツと現在のポロシャツは別の衣服です。

ボタンダウンシャツは、主に織物で作られた長袖または半袖のシャツで、襟先をボタンで固定する構造になっています。

一方、一般的なポロシャツはニット生地で作られ、柔らかい襟と短い前立てを備えています。

両者はポロ競技との歴史的な接点を持っていますが、直接同じ衣服から発展したわけではありません。

現在のポロシャツの原型を作ったルネ・ラコステ

当時のテニスウェアは動きにくかった

現在のポロシャツの基本形を確立した人物として、フランスのテニス選手ルネ・ラコステが広く知られています。

1920年代ごろの男子テニスでは、現在よりもフォーマルな服装でプレーすることが一般的でした。

長袖の白いシャツやフランネル素材の長ズボンが着用され、場面によってはネクタイやブレザーを合わせることもありました。

しかし、このような服装は激しく動くテニスには適していません。

長袖のシャツは腕を動かしにくく、汗を含むと重くなります。

さらに、気温が高い環境では熱がこもりやすいという問題もありました。

動きやすい半袖ニットシャツを考案した

ルネ・ラコステは、従来のテニスウェアよりも動きやすく、快適に着用できるシャツを求めました。

そこで考案されたのが、半袖、柔らかい襟、胸元の短い前立てを備えたニットシャツです。

前立てに付いたボタンを開閉することで、首元の開き具合を調整できます。

また、ニット生地は織物のシャツよりも伸縮性があり、腕や上半身を動かしやすいという利点があります。

この構造は、現代のポロシャツとほぼ共通しています。

ラコステは現役選手時代からこのような半袖シャツを着用していたとされ、1933年には本格的な商品展開を始めました。

1933年に誕生したラコステのL.12.12

ルネ・ラコステとアンドレ・ジリエが会社を設立

ルネ・ラコステは1933年、フランスのニット製造業者アンドレ・ジリエと共同で会社を設立しました。

そこで本格的に生産された代表的なシャツが「L.12.12」です。

L.12.12は、現在のラコステを代表する定番モデルであり、現代的なポロシャツの原型として知られています。

商品名の「L」はLacosteを表しています。

最初の「1」は使用された素材を表し、「2」は半袖のモデルであることを示します。

「12」は、最終的に採用された試作品の番号とされています。

通気性に優れたプチピケを採用

L.12.12には、「プチピケ」と呼ばれるコットンのニット生地が使用されました。

日本では、鹿の子生地や鹿の子編みと説明されることが多い素材です。

生地の表面には細かな凹凸があります。

そのため、肌に密着しにくく、汗をかいても比較的快適に着用できます。

また、一般的なTシャツに使われる天竺生地よりも立体感があり、襟付きシャツとしての形を保ちやすい点も特徴です。

通気性、動きやすさ、適度な上品さを兼ね備えていたことが、スポーツウェアとして広く受け入れられた理由の一つです。

ワニのロゴが胸元に付けられた

ラコステのポロシャツには、胸元にワニのロゴが付けられました。

このロゴは、ルネ・ラコステが「クロコダイル」や「アリゲーター」と呼ばれていたことに由来します。

当時は、ブランドのマークを衣服の表側に大きく見せることが、現在ほど一般的ではありませんでした。

そのため、ラコステのワニのマークは、胸元にワンポイントロゴを配置した初期の代表的な事例として知られています。

ただし、歴史上初めてロゴを衣服の表側に付けたブランドであると、断定するのは避けたほうがよいでしょう。

なぜテニスウェアがポロシャツと呼ばれるのか

名称が定着した経緯には諸説ある

ラコステが作ったシャツは、もともとテニス選手が着用するためのウェアでした。

それにもかかわらず、現在は一般的に「ポロシャツ」と呼ばれています。

この名称が定着した経緯については、明確に一つの説へ絞ることができません。

ポロ競技で襟付きのスポーツシャツが使用されていたことや、似た形のシャツがポロ選手にも着用されるようになったことなどが、名称の背景にあると考えられています。

ただし、ルネ・ラコステがポロ選手の服装を直接参考にしたため、ポロシャツと呼ばれるようになったと断定できる十分な根拠はありません。

そのため、ポロ競技のシャツがそのまま現代のポロシャツへ変化したと説明するのは正確ではありません。

テニスシャツやゴルフシャツとも呼ばれる

襟付きで半袖のニットシャツは、地域や用途によって呼び方が異なります。

英語圏では「polo shirt」のほか、「tennis shirt」や「golf shirt」と呼ばれることもあります。

テニスやゴルフなど、複数のスポーツで着用されたことが、さまざまな名称が使われる理由です。

現在の日本では「ポロシャツ」という呼び方が広く定着しており、特定の競技用ウェアではなく、衣服の形を表す一般名称として使われています。

ポロシャツが世界へ広まった経緯

スポーツウェアから日常着へ変化した

ラコステのシャツは、動きやすく通気性に優れたスポーツウェアとして評価されました。

その後、テニスだけでなく、ゴルフやリゾートなどでも着用されるようになります。

ポロシャツは襟が付いているため、Tシャツよりもきちんとした印象を与えます。

一方で、ニット素材で作られているため、一般的なワイシャツよりも柔らかく、動きやすいという特徴があります。

この「フォーマルすぎず、カジュアルすぎない」という性質が、日常着として受け入れられた大きな理由です。

1950年代以降にアメリカで普及

ラコステのポロシャツは、戦後にアメリカ市場でも広く販売されるようになりました。

アメリカでは、アイゾッドがラコステ製品を取り扱い、「IZOD LACOSTE」として展開したことで知られています。

これにより、ポロシャツはテニスやゴルフの競技ウェアだけでなく、大学生や富裕層が着用するカジュアルウェアとしても広まりました。

特に、アメリカ東海岸の学生文化やプレッピースタイルとの結び付きが強くなっていきます。

ラルフ ローレンがポロシャツをファッションとして広めた

1972年に定番ポロシャツを発売

ポロシャツの世界的な普及に大きな影響を与えたブランドの一つが、ラルフ ローレンです。

ラルフ・ローレンは1960年代後半にブランドを立ち上げ、「Polo」という名称を採用しました。

この名称には、ポロ競技が持つ上品さや、上流階級のライフスタイルを連想させるイメージが込められています。

1972年には、胸元にポロプレーヤーのロゴが付いたポロシャツを発売しました。

豊富なカラーバリエーションが展開され、ポロシャツはスポーツウェアの枠を超えて、アメリカンカジュアルを代表するファッションアイテムになりました。

ラコステとラルフ ローレンの役割の違い

ラコステとラルフ ローレンは、どちらもポロシャツを代表するブランドです。

しかし、ポロシャツの歴史における役割は異なります。

ラコステは、テニス選手が快適に動けるスポーツウェアとして、現在のポロシャツの基本形を確立しました。

一方、ラルフ ローレンは、ポロシャツを理想的なアメリカンライフスタイルやファッションの象徴として広めました。

つまり、ラコステはポロシャツの形を定着させた存在であり、ラルフ ローレンはポロシャツを世界的なファッションアイテムとして普及させた存在と整理できます。

日本でポロシャツが普及した背景

戦後にアメリカのファッション文化が流入

日本では、戦後にアメリカのスポーツウェアやカジュアルファッションが紹介される中で、ポロシャツも徐々に普及しました。

特に1960年代には、アイビールックやアメリカントラディショナルと呼ばれるスタイルが若者の間で人気を集めます。

この流れの中で、襟付きでありながら堅苦しくないポロシャツも、日常的な衣服として受け入れられるようになりました。

ただし、アイビールックの流行だけによってポロシャツが定番化したと断定することはできません。

スポーツの普及、海外ブランドの進出、カジュアルウェアの一般化など、複数の要因が影響したと考えられます。

制服や仕事着としても定着

その後、ポロシャツはファッションだけでなく、さまざまな用途で着用されるようになりました。

学校の制服や部活動のウェア、企業のユニフォーム、飲食店や介護施設の制服などにも採用されています。

襟が付いているため清潔感を演出しやすく、Tシャツよりも仕事着に適していることが理由です。

また、着脱しやすく、洗濯しやすいことも、制服やユニフォームとして普及した要因といえます。

夏場のビジネスカジュアルやクールビズでも着用され、現在では年代や性別を問わず使われる定番アイテムになっています。

ポロシャツの歴史を年代順に整理

19世紀

イギリス人がインドで行われていたポロ競技を取り入れ、近代的なルールを整備しました。

ポロ選手は、競技中に襟がばたつかないよう、襟先を固定していたとされています。

この工夫は、後のボタンダウンカラーに影響を与えました。

1900年ごろ

ブルックス ブラザーズが、ポロ選手の襟の工夫を参考にしたボタンダウンシャツを商品化しました。

ただし、このシャツは現在の半袖ニット製ポロシャツとは別の衣服です。

1920年代

ルネ・ラコステが、従来のテニスウェアよりも動きやすい半袖のニットシャツを考案し、着用するようになったとされています。

ただし、具体的な考案年や初めて試合で着用した年については、資料によって説明が異なります。

1933年

ルネ・ラコステとアンドレ・ジリエが会社を設立しました。

プチピケ素材を使った「L.12.12」の本格的な生産が始まり、現在のポロシャツの基本形が広く知られるようになります。

1950年代以降

ラコステのポロシャツがアメリカ市場でも普及しました。

スポーツウェアだけでなく、プレッピースタイルや日常的なカジュアルウェアとしても着用されるようになります。

1972年

ラルフ ローレンが、ポロプレーヤーのロゴを胸元に付けたポロシャツを発売しました。

豊富なカラー展開によって、ポロシャツは世界的なファッションアイテムとして定着していきます。

ポロシャツの起源に関するよくある誤解

ポロシャツはラルフ ローレンが発明したわけではない

ポロシャツと「Polo Ralph Lauren」の結び付きが強いため、ラルフ・ローレンがポロシャツを発明したと思われることがあります。

しかし、ラルフ ローレンが代表的なポロシャツを発売したのは1972年です。

現在のポロシャツの基本形は、それ以前にルネ・ラコステによって確立されていました。

ラルフ ローレンは発明者ではなく、ポロシャツを世界的なファッションアイテムとして広めたブランドと考えるのが適切です。

現在のポロシャツはポロ競技専用として作られたわけではない

現在の半袖ニット製ポロシャツは、主にテニスウェアとして発展しました。

ただし、ポロ競技は「ポロ」という名称や、襟付きスポーツシャツの歴史に影響を与えています。

そのため、ポロ競技と無関係な衣服と説明するのも正確ではありません。

ポロ競技に由来する服装文化と、ラコステによるテニスウェアの革新が組み合わさり、現在のポロシャツの概念が形成されたと考えるのがよいでしょう。

ボタンダウンシャツとポロシャツは同じではない

ボタンダウンシャツとポロシャツは、どちらもポロ競技と歴史的な関係があります。

しかし、現代では明確に異なる衣服です。

ボタンダウンシャツは、襟先をボタンで身頃に固定するシャツを指します。

ポロシャツは一般的に、柔らかい襟と短い前立てを備えたニットシャツを指します。

名称や歴史に共通点はありますが、同じ衣服ではありません。

まとめ

ポロシャツの歴史には、ポロ競技とテニス競技という2つの背景があります。

19世紀のポロ競技では、風による襟のばたつきを防ぐため、襟先を固定する工夫が行われていました。

この工夫は、後にボタンダウンシャツの誕生へつながります。

一方、現在の半袖ニット製ポロシャツの基本形を確立したのは、フランスのテニス選手ルネ・ラコステです。

ラコステは、動きにくい従来のテニスウェアを改良し、半袖、柔らかい襟、短い前立て、通気性のよいニット生地を組み合わせたシャツを開発しました。

1933年には「L.12.12」の本格的な生産を始め、現代的なポロシャツの形を広く定着させました。

その後、アメリカでの普及やラルフ ローレンの展開によって、ポロシャツはスポーツウェアから世界的なファッションアイテムへと発展します。

したがって、ポロシャツの起源は、単純にポロ競技だけへ求めることはできません。

ポロ競技に由来する名称や襟の文化を背景に、ルネ・ラコステがテニスウェアとして現在の形を確立した衣服と説明するのが、最も正確です。

以上、ポロシャツの起源についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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